【平成の天皇・象徴の歩み】(06) 岬へ島へ、心配り巡る

20170713 04
天皇・皇后両陛下は2006年9月、北海道日高山脈の最南端に位置する襟裳岬に立たれた(※左画像)。沿岸のクロマツの植林地で、“ゴタ”と呼ばれる雑海藻の感触を確かめ、「どんな種類の海藻なのですか?」等と質問を重ねられた。えりも町は戦前、燃料調達や放牧で木々が伐採され、荒れ地が広がった。植林事業が始まったのは1953年。日本屈指の強風から守る為、種にゴタを被せる作業を繰り返し、植林地を誕生させた。この地道な取り組みが1993年、朝日森林文化賞に選ばれて以来、陛下は同町への訪問をずっと望まれてきたという。陛下は、手が汚れないように差し出された手袋を使わず、ゴタを手にされた。父の代から植林に携わってきた飯田英雄さん(58)は、「長年の苦労を直に感じてくれた」と感激したという。両陛下は、この視察の2日前、札幌で国際顕微鏡学会議の式典に出席し、1泊して往路だけで282.5㎞を移動された。式典当日の朝、秋篠宮ご夫妻の長男・悠仁さまが誕生されたばかり。行く先々で車列は「おめでとう」と祝福された。

「ひたすら南を目指す大変な旅だったが、41年ぶりの皇族男子の誕生で皆、笑顔だった」。当時の宮内庁長官・羽毛田信吾さん(75)は懐かしむ。陛下が昨年8月のお言葉で、“天皇の象徴的行為として大切”と挙げられた“遠隔の地への旅”を代表する訪問となった。陛下は2003年11月の鹿児島訪問で、即位後全ての都道府県を一巡された。空路で奄美大島に向かい、奄美群島日本復婦50周年記念式典に出席すると、「人々の生活に配慮しながら貴重な生物を守っていくことは極めて大切」と述べられた。式典会場にいた元名瀬市長の平田隆義さん(80)は、島の固有種・オオトラツグミが100羽程度に減ったことまで調べ、言及されたことに驚いた。“本土並み”の生活を目指し、道路や港湾の整備を進めていた島民らの胸に、「島の特性を生かして、島を豊かに」というお言葉が響いた。この式典を機に、島はアマミノクロウサギ等希少動物の保護に乗り出した。今年3月には国立公園に指定され、世界自然遺産への登録も目指す。「陛下の訪問が無ければ、島は大切なものを失うところだった」と平田さんは考えている。皇后さまも2004年10月、陛下と香川県を訪れ、全都道府県を一巡された。高速船で向かった瀬戸内海の小豆島で、約300年前から島に伝わる農村歌舞伎を鑑賞された。「江戸時代は大阪から役者を呼んだが、遠くてお金もかかり、自前で演じるようになりました」。『中山農村歌舞伎保存会』の矢田徹さん(84)が語る離島ならではの歴史に耳を傾けられた。千枚田の視察では、目の前に蛙が現れた。陛下が伸ばされた手を逃れ、皇后さまからも逃れ、水路にぽちゃん。蛙と両陛下の追いかけっこに、周囲は沸いた。「今日はとても楽しい時間を過ごしました」。岸壁で見送る島民らに手を振り、両陛下は船に乗り込まれた。「遥々足を延ばし、島の支化や暮らしを理解して頂けた」。矢田さんは、あの日を思い出すと温かい気持ちになるという。


⦿読売新聞 2017年6月19日付掲載⦿
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