【ビジネスとしての自衛隊】(08) 「中国・北朝鮮の脅威に自衛隊はどう対処するか?」――石破茂(自民党)・前原誠司(民進党)両氏インタビュー

海洋進出を強める中国、核兵器を保有してミサイル実験を繰り返す北朝鮮――。東アジア情勢の緊迫感が増している。安全保障に精通した与野党の政治家に聞いた。

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■ミサイル防衛の整備で“拒否的抑止力”を  石破茂氏(元防衛大臣)
――北朝鮮が弾道ミサイルの発射実験を続けています。日本にとって新たな脅威になりますか?
「特にそうとは考えていない。“新しい局面”“新しい危機”という表現も一部で聞かれるが、日本全土が射程内にあるノドンは200発前後あり、既に十数年前から配備されている。長距離弾道ミサイルのテポドンも、1998年には1回目の発射実験が行われている。ノドンの命中精度がかなり高いというのも、以前からわかっている。今回は、4発同時に打ち上げられた映像の効果が大きいのだろう。但し、以前と大きく変わった点として、液体燃料でなく固体燃料を使い、直ぐに発射できるようになったことと、発射装置が運搬式になったことがある。運搬式になれば、どこから発射されるか予測し難い」

――北朝鮮には核兵器があります。
「断定はできないが、北朝鮮にとって核はあくまでもアメリカへの対抗手段であり、日本に対して使用するメリットが無い。勿論、保有自体許されざることだが、実際に使われたら(核の報復を受けて)終わりだ。日本に対しては、工作員や特殊部隊を使った他の攻撃手段も十分考えられる為、日本に向けて核攻撃をするとは考え難い」

――通常兵器による北朝鮮の軍事的脅威はどう考えますか?
「安全保障は万が一の事態に備えるべきものであり、ミサイル防衛も国民保護も“拒否的抑止力”として機能する。相手は想像を絶する独裁体制の国であり、通常では予想もしないような展開もあり得る為、政府としては想定を広げておくべきだ」

――所謂“先制攻撃論”は?
「専守防衛の原則は変えない。しかし、『相手のミサイル発射準備が目前に迫っている』と察知できた場合に、敵基地を攻撃するのは自衛権の行使として許される。これは先制攻撃とは別のものだ」

――中国の軍事的脅威については?
「日米同盟が中国の軍事力に対して優位にあるかどうかを、常に点検しなければならない。中国には“戦略的国境”という概念があって、国力に応じて国境が変動するのは当然と考える。尖閣諸島を『自国の領土だ』と考えれば、公船や漁船を近付け、実効支配を少しずつ既成事実化しようとするだろう。漁民を装った海上民兵が上陸することもあり得る。警察権でどこまで対処し、どこから自衛権の行使で対処すべきかを早急に詰める必要がある。海上民兵が上陸した段階では、アメリカ軍は動かない。日本が的確に対処するには、事態の推移に応じた海上保安庁・警察・自衛隊の役割分担が必要だ」

――国連平和維持活動(PKO)について、自衛隊の役割は?
「憲法上の制約は、“国際的な紛争の一環としての戦闘行為”の禁止。この“戦闘行為”は無くとも、明白に危険な地域はあり、だからこそ自衛隊が派遣されることになる」

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■“加憲”で憲法に自衛隊を明記すべき  前原誠司氏(元外務大臣)
――北朝鮮を取り巻く情勢が緊迫しています。
「北朝鮮に関しては、これまでと比較できないほど緊迫度を増している。ミサイルについては、弾頭の軽量化・長距離化・精度の向上・液体燃料に加え固体燃料の開発と、その開発速度が上がっている。核についても、プルトニウムからウランによる製造に移る等、非常に憂慮すべき事態だ」

――そのような状況に対し、自衛隊の役割をどう見ていますか?
「自衛隊は、アメリカ軍とは盾と矛の関係にある。今後、『情勢の変化によって役割分担をどうすべきか?』といった議論をすることは大切だ。冷戦時代は、旧ソビエト連邦を念頭に自衛隊は存在していた。ソ連の侵攻を水際で食い止め、その間にアメリカ軍が打撃するといった役割分担だった。ソ連は崩壊し、今では北朝鮮からミサイルが飛んでくる等、戦略環境が一変してしまった。盾と矛の関係見直しに関する議論は必要だろう」

――見直しへの議論は具体的にどうなりますか?
「2つの観点が必要だろう。先ずは、北朝鮮が持つ反撃能力の見極めだ。1994年の第1次核危機の際、当時のビル・クリントン政権は、『90日間の戦闘で100万人の犠牲者が出る』と想定した。在韓・在日アメリカ軍の約8割が犠牲になると見積もった。北朝鮮の能力が当時より更に高まっている中で、どの程度の犠牲を想定すればよいのか、慎重な見極めが必要だろう。次に、1994年当時と大きく違うのは、中国の軍事力も更に増大しているという点だ。また、中朝関係は今でも“血の同盟”であり、有事の際に中国、延いてはロシアがどう出てくるのか。この点もしっかり考える必要があるだろう」

――先制攻撃論が国会議員の間でもり沙汰されています。
「先制攻撃を行う際には、弾道ミサイル・巡航ミサイル・航空機による攻撃という3つの類型がある。しかし、何れを保有・運用するにせよ高価になり、防衛費負担増に繋がってしまう。時間も10年仕事になるだろう。イージス艦による防衛システムにしても、イージス艦6隻(※将来的には2隻増)体制で100%対処するのは難しい。飛来するミサイルが多弾頭のものであれば、それを察知・認識して対処できるか。以上を踏まえると、先制攻撃の是非について、見直しの為の議論はあってもよいが、時間がかかるだろう。また、これにはアメリカ軍の協力も不可欠だ」

――「敵地攻撃もできるようにすべき」との意見があります。
「敵地攻撃については、私は否定的なスタンスではない。だが、それを万能なものとして国民に示すのには疑問を持つ。『敵地攻撃能力は北朝鮮だけに向けられたものではない』と中国は反応するだろう。その場合、日本に勝ち目はあるのか? 敵地攻撃能力も全てを日本が持てる訳ではない」

――自衛隊と憲法との関係は、どう考えますか?
「私は改憲ではなく、“加憲”を主張してきた。9条第3項、或いは10条といった形で、自衛隊の存在を明記してはどうかと考えている」


キャプチャ  2017年5月13日号掲載
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