【危うき皇位継承】(04) 女性天皇、保守論争続く

20170714 06
「個人的には女性の天皇陛下でもいいんじゃないかと思う」――。皇太子妃雅子さまの懐妊が発表された2001年5月、当時の小泉純一郎首相は、女系継承を認める為、皇室典範改正に前向きな考えを示した。与野党共に、女性天皇に賛成する声が相次いだ。皇太子家の長女・愛子さまが誕生した同年末から2005年の間、各種世論調査で女性天皇支持が50~80%超と高い数字を示していた。新聞等各メディアも、当初は挙って「女性天皇を認めるべきだ」との意見を表明していた。様相に変化が生じたのは、2005年に小泉内閣が設置した『皇室典範に関する有識者会議』だった。継承順位を長子優先にして女系継承を認めた同会議の報告書に、男系継承を伝統とみる保守識者らが猛反発。一方、同じ保守陣営から女系容認論も出て、激しい論争が続いた。「側室・養子制度なしに男系の永続など自然の道理としてありえない。人間の生活における男女生誕の自然則を皇室だけに適用しないというのは神がかりの論理」。93歳の保守系歴史学の重鎮である元皇学館大学学長の田中卓氏は、月刊誌や著作で「女系天皇を認めるべきだ」との論陣を張った。

「男系継承は外来思想の影響を受け、明治期に創られた観念だ」と主張する。「結果的に男系でつながってきたが、それは中国の制度や武家中心社会が長く続いた影響。日本の農耕社会には本来男女平等の慣習がある」。これに異を唱えたのが、同じ皇学館大学教授の新田均氏で、月刊誌上で両者の論争が続いた。同氏は、「皇位継承の歴史で男系が切れたことは一度もない。その伝統尊重のために絶対に男系継承を優先しなければならない」と反論する。「血統を男系で考えるのはほぼ人類普遍の観念。他国の王室でも女系というものは存在せず、女王の子の代になると別の男系に王位が移る。日本には移るべき別の血統が存在しない」と言う。田中氏は、「男系男子に固執すれば将来の皇太子妃は必ず男子を生まなければならない重圧にさらされる。人格と生理を無視した非情ともいえる地位に就こうという人を探すのは至難。配偶者選考の点から皇統断絶の危機が生じる」と危惧する。新田氏は、「女性への重圧は直系主義の弊害。適当な数の宮家があれば緩和される。現在の男性皇族の減少は戦後に占領軍の政策で皇族が強制的に皇籍を離脱させられたから。これがなければ危機は生じていない。女系を認めても配偶者を探すのは至難」として、「旧宮家の系譜を引く人々の復帰を検討すべきだ」との意見だ。ただ、ある宮内庁関係者は、「旧皇族で手を挙げる人がいたとして、世間から人格・経歴等の厳しい詮議を受ける。それに耐えられるかどうか。また、男女双方を認める場合に比べ、男系限定は確率が2分の1になるので、皇族の数をうんと増やさなければ維持は難しい」との見解を示している。


⦿日本経済新聞 2017年6月30日付掲載⦿
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