【危うき皇位継承】(05) 女系容認、放置された提言

20170714 07
「皇位継承が逼迫した問題だということは、事務方の官房副長官に伝えた。但し、宮内庁が言えるのは問題の状況説明までだった」――。宮内庁の羽毛田信吾元長官は、同庁次長時代の2000年代前半を振り返る。説明を受け、政府が初めて皇位継承問題に取り組んだのが、2005年1月からの『皇室典範に関する有識者会議』だった。会議は同年11月まで、計17回開かれた。「晩婚化・少子化の傾向が将来も続く」と予想され、「男系男子限定では継承は困難だ」として、「長子優先で男女に継承を認めるべきだ」と結論。報告書を小泉純一郎首相に提出した。これに対して、「男系継承が伝統」と主張する保守層の抗議運動が起こる。2006年9月、秋篠宮家に“男系男子”の悠仁さまが誕生したこともあり、この時の制度改革提言は棚上げされる。「悠仁さまが誕生されても、皇位継承の構造的問題は解決していなかった。(2005年4月に)長官に就任して以降も、課題として常に頭にあり、内閣が変わる毎に問題は残っていることを言い続けていた」と羽毛田氏は話す。

しかし、政治は動かなかった。小泉内閣時の提言から6年余りが過ぎた2012年2月末、民主党(※当時)の野田佳彦内閣で『皇室制度に関する有識者ヒアリング』が始まる。ただ、主題は皇族数の減少に対処する為の女性宮家の創設の是非で、皇位継承問題は本格的に議論されなかった。保守層の反発に配慮した為だ。小泉・野田両内閣の有識者ヒアリングで意見を表明した京都産業大学の所功名誉教授は、「小泉内閣時に出された報告書は、現実的で一定の合理性があった。皇統の大きな枠から男系男子だけを選択し、『そこから外れたら天皇ではない』という主張は行き詰まる恐れがある。女子も含め、皇室に生まれ育った方を尊重することが最も大切な包括要件」と話す。これに対し、同じく両ヒアリングに出席した麗沢大学の八木秀次教授は、「皇室は男系継承を重ねて、皇族対象者を絞り込んでいく仕組みになっている。女系は皇室から外れる存在。旧宮家の皇籍復帰によって男系の宮家を確保すれば、男系継承は維持できる」と反論する。先月9日に国会で成立した天皇陛下の退位特例法の付帯決議で、安定的な皇位継承を確保する為、女性宮家の創設等の検討が重要課題と明記された。だが、一部保守層は「女系継承に繋がる」とみて、反対の姿勢を強めている。羽毛田氏は、「皇族減少対策の選択肢としての女性宮家だったが、今日の状況を考えると、皇位継承問題と切り離して論議するのはもう無理ではないかと思う。そろそろ、継承資格の問題として現実策を話し合う時期かもしれない」との意見を示している。 =おわり

               ◇

編集委員 井上亮・今井孝芳・榎本行浩が担当しました。


⦿日本経済新聞 2017年7月1日付掲載⦿
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テーマ : 天皇陛下・皇室
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