【地方銀行のリアル】(04) 佐賀銀行(佐賀県)――山口FG“統合構想”の現実味

20170714 08
「不祥事はいつだって福岡からやって来る」――。『佐賀銀行』幹部の1人は、こう言って苦り切る。現役行員が職員通用口の鍵とセキュリティカードを同僚から無断で拝借して支店に忍び込んだ上、窃盗団を手引きして多額の現金を盗み出す。明治期から今に至るまで幾多の犯罪に彩られた銀行裏面史の中でも、「掉尾を飾るに相応しい」(メガバンク筋)と皮肉られる前代未聞の事件が発覚したのは、昨年10月のことだった。舞台となったのは、福岡市城南区内にある同行干隈支店。被害金額は5430万円にも上った。窃盗団の“首魁”とされているのは闇金業者の男で、営業支援部調査役だった行員は、この業者に多額の借金を抱えていたらしい。だが、事はこれだけでは終わらなかった。同行員は、同8月に箱崎支店(東区)で起こった金庫破り未遂事件にも関与していた。今年2月には、顧客から預かった定期預金や投資信託計1300万円を流用していたことや、顧客名義のカードローンや消費者ローンで350万円を借り入れていたことなども判明した。更に、6月に入って明るみに出たのが、顧客情報の流出だ。同行員は行内のデータベースを使って高額預金者を検索。残高1億円以上の預金者169人分の名前・住所・電話番号等の情報を引き出し、窃盗団に渡していたという。今のところ被害は確認されていないが、銀行界では「富裕層になればなるほど資産防衛意識が強い」(大手地銀幹部)と言われている。それだけに、一部では「(情報漏洩を嫌気した)大口顧客の佐賀銀行離れが起こるのでは?」との声も飛んでいる。実は、佐賀銀行にとって、福岡発の不祥事は今回の一連の事案だけではない。2009年5月に表沙汰となった横領事件も、舞台は福岡だ。2003年から2008年にかけて、野間支店(南区)に勤務していた行員が、女性顧客を騙して貸金庫の合鍵を作製。20回以上に亘り計3741万円を着服していたもので、発覚時、この行員が在籍していたのは、奇しくも窃盗事件のあった干隈支店だったというから、何かの因縁か?

そして、この際の謝罪会見で、「社会的・公共的役割を担い、高い信用を求められる銀行にあって、このような不祥事を発生させたことを深く反省致します」として頭を下げたのが、当時は未だ常務だった現頭取の陣内芳博だ。まさか、その約8年後にそれと全く同じ台詞を、しかも複数回に亘って繰り返すハメになるとは、思いもよらなかったに違いない。それにしても何故、福岡で不祥事が頻発するのか? 「佐賀銀行の福岡進出加速化の動きと決して無関係ではない」というのが、地元関係者らの見立てだ。佐賀銀行が“福岡本部”を新設し、福岡で本格的に営業攻勢をかけ始めたのは、バブルの絶頂・崩壊期と重なる1989年から。福岡都市圏と筑後地方等に集中出店を重ね、今では福岡県内の店舗網は38店に上っている。佐賀県内の店舗数61店の6割超に当たる。しかも、佐賀県内の店舗が次々と原則、法人向け業務を手掛けない出張所や無人ATM等に“格下げ”されているのに対し、福岡は法人向け中心。佐賀県内店舗の内、3割近い18店が出張所だが、福岡県内は2出張所に留まる。佐賀銀の今年3月期末における貸出金残高は1兆4565億円。前年同期に比べて422億円拡大した。とはいえ、佐賀県内向けの貸出増加額は99億円に過ぎない。一方で、福岡向けの増加額は398億円。その凡そ4倍にも達した。貸出金総額に占める福岡向けのボリュームも、今や4割超。ここからも、その営業攻勢の猛烈ぶりがみてとれよう。要するに、こうした身の丈を超えたとも言える攻勢を続け、「無理に無理を重ねてきた過程で、組織に歪みが生じて経営管理体制が後手に回る一方、現場に過重な負荷がかかって人心が荒廃。不祥事を誘発する遠因になっているのではないか?」(地元中小企業経営者)という訳だ。ならば、今後も福岡発の不祥事は続発する可能性があるが、そんな佐賀銀行に迫っているのが、これも福岡発の再編の大波だ。きっかけは他でもない。福岡銀行を中核とする『ふくおかフィナンシャルグループ』が打ち出した、長崎県地盤の『十八銀行』との経営統合計画だ。「競争政策上、問題」として公正取引委員会の“待った”がかかっているとはいえ、ふくおかFGは既に2007年から長崎県2位の『親和銀行』も傘下に入れている。統合が実現すれば、ふくおかFGは持ち株会社の下で十八銀行と親和銀行を合併させる計画で、佐賀銀は十八・親和銀行と福岡銀行双方に東西両県境から挟み撃ちにされる、「まさに雪隠詰め状態」(地元筋)に追い込まれる。生き残りに黄信号が灯る格好だ。システム上の問題も侮れない。佐賀銀行は、十八銀行と『筑邦銀行』の3行で、銀行の基盤とも言える勘定系のシステムインフラを共同化している。統合は当然のことながら、この連合体からの十八銀行の全面離脱を意味し、そうなれば残留組の負担割合が重くなり、システムコストが跳ね上がることになるからだ。佐賀銀行の今年3月期の実質業務純益は38億円弱(※単体ベース)。前期比で3割近い大幅減益となった。マイナス金利政策が続く中でのシステム経費増は、それこそ「命取り」(関係者)ともなりかねない。

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こうした中、行内で急浮上しているのが、『山口銀行』や『もみじ銀行』を核とする『山口フィナンシャルグループ』との統合構想だ。一連の難題解決に道を付けるには、「自らも再編の渦中に身を投じなければ浮かぶ瀬がない」(事情通)といったところだろう。一部で“オセロゲーム作戦”とも呼ばれているこの構想は、佐賀銀行が一旦山口FGの傘下に入った後、同FGが山口銀行の福岡県内店舗を切り離す形で2011年設立した『北九州銀行』と持ち株会社の下で合併する。北九州銀行の店舗数は現在36店舗。出店は北九州を中心に福岡県北部に集中しており、南西部中心の佐賀銀と重複が殆ど無い。相互補完のメリットが最大限生かせる形となる。福岡銀行の152店に遠く及ばなかった県内店舗網は、単純合算で74店に拡大。その半分近くにまで迫り、同行に一泡吹かせることも可能だ。何より、ふくおかFGに挟撃されかねない状態に追い込まれていた佐賀銀行が山口FGと組むことで、逆にふくおかFGを挟撃。謂わば、黒を白に変えられる。オセロゲームたる“異名”を取る所以か。尤も、花婿候補に挙げられた山口FG内部には、佐賀銀行の財務内容に対する一抹の不安も燻っている。不良債権比率が3月末で2.46%と、地銀106行平均の1.90%を大きく上回っている上、保有外債等に含み損を抱えている為だ。“佐賀もんが歩けば草木も生えん”と揶揄される佐賀県人のがめつさへの漠然とした忌避感も背景にあるらしい。絵に描いた餅で終わる可能性も否めない。 《敬称略》


キャプチャ  2017年7月号掲載

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