【儲かる農業2017】(17) 「減反廃止は寧ろチャンスだ」――冨田隆氏(『JA越前たけふ』代表理事組合長)インタビュー

前回のJA満足度ランキングで首位に立った福井県の『JA越前たけふ』は、肥料を独自開発して価格を2割以上下げる等、農家支援に力を入れる。冨田隆組合長に改革に手応えについて聞いた。

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――組合長に就任して7年になります。これまでの成果と今後の課題を教えて下さい。
「5年前、JA全農・経済連も取引先の選択肢の1つということにして、競争原理を導入しました。その結果、農家に供給する肥料の8割超が、メーカーと共同で開発したオリジナル商品になり、発売当時の価格は全農・経済連のものより2~3割も安くなりました。コメも、全農・経済連に出荷するより有利な条件で売れています。求められる品種・品質のコメを、約束した数量分、安定的に供給することで、外食チェーン等と信頼関係を作りました。無農薬・無化学肥料で作った高付加価値なコメは、60㎏2万1400円と、地域で流通する通常のコメに比べて1万円も高く売れています。減反が廃止される2018年産からは、“全量主食用米の生産を基本”にします。そうアナウンスしたところ、集荷量の1.9倍の引き合いが来ました。日本市場全体ではコメ余りでも、良質なコメを安定して供給できる産地には発注が殺到するものなのです。2017年からは、成長を軌道に乗せる為の先行投資を行います。コメの販売量を1.5倍まで増やすた為、低温倉庫を建てるのに3億円、トマトの生産施設の建設に2億円等、合計9億円規模の投資になります。JA越前たけふでは、5年前に農業関連事業を分社化して改革を進め、年間5000万~7000万円の利益をコンスタントに計上できるようになりました。この成果があるからこそ、今、投資できるのです」

――政府の農協改革をどのように見ていますか? 「全農任せの組織改革となったことで、農協改革は後退した」という見方もありますが。
「改革の緊張感が緩んでしまった印象があるのかもしれませんが、それに安住して改革を怠れば、必ずやJAは5年以内に行き詰まります。多くのJAが金融事業に依存していますが、このマイナス金利の情勢で経営は厳しくなるばかりです。現在運用している長期債券の利回りは2~3%ですが、それらが償還されて買い直す債券は金利がほぼゼロです。共済事業にしても、組合員の高齢化で次々と契約が満期を迎えます。こうなるとJAの経営はジリ貧です。規模拡大した農家も、JAが期待に応えられなければ離れていってしまいます。ですからJAは、コスト削減や農産物の高値での販売で貢献できるようにならなければいけません。JAの経営も、農業関連事業で利益を出せないと成り立たなくなるのです。立ち行かなくなったJAは県域の連合会等に救済され、配下に入ることになるでしょう。以前の合併では未だスケールメリットがありましたが、今後は行き詰まった者同士の連合になるので大変です」

――上部団体のリーターとなって、JAグループを改革しようとは思いませんか?
「全農等、連合会のポストに就いたからといって、改革を実践できるとは限りません。自由な立場で地域農協の在り方を示し、発信できればいいのです。こんなに小さい農協でも注目してもらうことは可能です」

――組合長が辞めたら、改革は後退するのではありませんか?
「昨年、役員の定年制を導入しました。トップが10年もやったら人が育たないからです。2年後にバトンタッチします。幹部は真剣に取り組むようになりました。私が辞めても大丈夫です。農業は土作りが大事ですが、組織も同じ。培われた土壌は受け継がれていくものなのです」


キャプチャ  2017年2月18日号掲載
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テーマ : 経済・社会
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