【有機EL&半導体バブル】(04) 『サムスン』も『Apple』も中国勢もVR普及で商機拡大か

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ここ最近、スマートフォンのディスプレイに、液晶ではなく有機ELを搭載するケースが急速に増えている。中でも大きなインパクトを与えたのが、韓国の『サムスン電子』が今年3月に発表した新スマホ『ギャラクシーS8』・『ギャラクシーS8プラス』だ。両機種は約6インチの大きな画面サイズで、縦長のデザインにした。この特性は映画鑑賞で発揮される。横に倒すと、他機種より映画で採用する横長のサイズ感に近く大画面を楽しめるからだ。更に、有機ELならではの特性をフルに生かして、左右の両側面をカーブさせること等で、ディスプレイの縁の部分を極限まで取り除いた“インフィニティー(無限)ディスプレイ”を採用した。サムスンは、昨年発売したスマホ『ギャラクシーノート7』がバッテリーの発火事故を相次いで起こし、顧客からの信頼を大きく落としていた。だが、ギャラクシーS8シリーズは、ディスプレイのインパクトの大きさから大きな注目を集めている。先行して販売されている韓国では、「予約販売だけで100万台を超えたと」の報道もなされる等、事故の影響を吹き飛ばす人気となっている。有機ELディスプレイを採用したスマホを積極的に投入しているのは、サムスンだけではない。世界市場で躍進を遂げている『オッポ』・『ビーボ』・『シャオミ』といった中国の新興スマホメーカーが、主に高級モデルで採用するケースが増えているのだ。また、『富士通コネクテッドテクノロジーズ』の『らくらくスマートフォン4 F-04J』のように、国内メーカーでも採用するケースが出てきた。

更に、一部報道では、「Googleのスマホ“ピクセル”や、AppleのiPhoneの次期モデルにも有機ELが採用されるのではないか?」という観測情報もある。サムスンに次ぐ市場シェアを持つAppleが、iPhoneへの有機ELの本格採用へと動いた場合、他のスマホメーカーもより積極的に有機ELの採用へと舵を切るだろう。そうなると、有機ELディスプレイのシェアが一層高まり、液晶の存在を脅かす可能性もある。今後発表されるiPhoneの新機種で、有機ELがどこまで本格的に取り入れられるかが注目される。何故、スマホのディスプレイに有機ELを採用するメーカーが増えているのだろうか? 理由の1つとして考えられるのは、元々、有機ELがバックライトが不要なことから、薄型化や省電力化がし易いことだ。これに加え、横・斜めと正面から逸れても画面が見られる範囲である“視野角”が広く、屋外でも見易い点も強みだ。有機ELには、長時間表示した画像が残像で映る“焼き付き”が生じ易いという弱点があるものの、スマホは買い替えのサイクルが早いことから、テレビと比べ焼き付きが大きな問題となり難いというのも、採用し易いポイントと言えるだろう。有機ELは液晶よりも値段が高いことから、採用するメーカーも限られていた。だが、最近では『サムスンディスプレイ』を中心として量産体制が進んだことにより、メーカー側が購入・調達し易くなっている。それ故、スマホの進化が停滞し、市場も停滞傾向にある中で、新たな差異化要素として有機ELを採用するケースが増えていると言えそうだ。そしてもう1つ、有機ELの広まりに大きく影響していると考えられるのが、仮想現実(バーチャルリアリティー=VR)の存在だ。最近、『ソニー』の『プレイステーションVR』等、ヘッドマウントディスプレイを装着して、リアルな仮想空間を体験できるVRの人気が高まっている。その波はスマホにも押し寄せており、Googleがアンドロイドスマホ向けのVR共通システム『デイドリーム』を開発した。デイドリームの技術仕様に沿って、VRに対応したスマホ、アプリ、ヘッドマウントディスプレイが開発・製造されることになる。VRのコンテンツを快適に楽しむには、人間の動きに映像が素早く追従し、映像がぼやけないことが必須となる。そうでないと脳が違和感を起こし、車酔いに似た“VR酔い”のリスクがあるからだ。その為、VR用のヘッドマウントディスプレイには、酔いを起こさず快適にコンテンツを楽しめるよう、応答速度が速い有機ELを採用することが殆どだ。同様の理由でVR対応を謳うスマホにも、有機ELの採用が一般的となりつつある。実際、スマホ向けVR分野で先行するサムスンの高級モデルや、デイドリームに対応した台湾の『エイスース』、アメリカの『モトローラモビリティー』、中国の『ZTE』等のスマホにも、有機ELディスプレイが採用されている。

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では、有機ELのもう1つの特長でもあるディスプレイを“曲げられる”ことは、スマホメーカーの採用理由に繋がっているのだろうか? ディスプレーを折り畳めるスマホ等、新しいスタイルのスマホが登場することを期待する声は以前より多く聞かれる。しかし、市場動向を見ると、ディスプレイが曲げられることを強く望むユーザーはあまり多くないというのが正直なところだ。嘗て、サムスンや『LG電子』が、曲げられる特性を生かして、湾曲したディスプレイ等ユニークな形状のスマホを投入したことがあるものの、市場に受け入れられたとは言い難い状況であった。その為、現在ではサムスンでさえディスプレイが曲げられることを前面には打ち出さなくなり、側面をカーブさせて画面を広く見せる等、デザインの前面ではなく、ほんの一部として活用するに留まっている。サムスンに近いデザインを実現する為に、有機ELを導入するメーカーが出てくる可能性はあるかもしれないが、ディスプレイを曲げることを目的として採用するメーカーはあまり多くないと思われる。更に、ディスプレイを折り曲げられるスマホの実現となると、他にも幾つか解決すべき課題を抱える。曲がるディスプレイの場合、有機EL層を挟むガラス基板をプラスチック基板に代えることが想定される。ここで、「ディスプレイの強度をどのようにして保つか?」という課題が出てくる。また、ガラス基板に埋め込んでいたタッチパネルを、プラスチック基板に埋め込む新技術も必要になる。仮に、これらの課題をクリアして実現できたとしても、価格は高額になるし、手にできる人もごく一部に限られてしまうことから、先進性はあるものの、普及という意味ではあまり現実的ではないだろう。 (携帯電話ライター 佐野正弘)


キャプチャ  2017年6月13日号掲載

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