【Test drive impression】(29) 『フォルクスワーゲン ゴルフ TSIハイライン』――4年ぶりの改良でゴルフは一体どこが変わったのか?

2013年5月の日本登場から4年が経過した世界の名車、『フォルクスワーゲン(VW)』の『ゴルフ』がフェイスリフト(商品改良)を行った。既に国内では5月29日から発売が開始されている。抑々、ゴルフは1974年の登場から2016年末まで、全世界で実に累計3331万2123台を販売! 今も、世界中のメーカーがコンパクトカーのお手本にしているクルマである。日本ではドイツ発表から1年後の1975年に導入されて以来、シリーズ累計で約85万台の販売台数を誇る。昨年こそ、ゴルフは初めて輸入車販売のトップから陥落し、その座を『BMW』の『ミニ』に譲ってしまった(※ゴルフが2万2802台、ミニが2万4548台)。なので、この新型ゴルフがミニから首位を奪い返すかが注目を集めている。今回の改良で驚きなのは、メカニズム関係にほぼ変更が見られないこと。通常、フェイスリフトというのはデビューから3~4年の間で行われる。要は“化粧直し”のようなもので、自身が旧型になった際、進化したライバルと比較された時に商品力で負けないようにする為だ。クルマのタイミングによっては、このフェイスリフトで新たなメカニズムやエンジンを搭載…というような場合もあるのだけど、今回のゴルフはそうではなかった。では、何が変更になったか?

最もわかり易いのは、ヘッドライトのデザインが改められたこと。最近はLEDのポジションランプがデザイン的な新しさを物語るポイントになっているので、当然のように変更されている。合わせてフロントバンパーも新デザインのものになっており、その顔つきは精悍なものになったと表現できる。一方で、リアもテールランプのデザインが最新のLEDを備えたものへと変更された。ウインカーを点灯してみると、内側から外側に流れるように光が動く“ダイナミックターンインジケーター”と呼ばれるものになった。そしてインテリア。これは上級モデルに用意された装備だが、メーターは全面液晶に! つまり、スピードメーターやタコメーターはグラフィックとして描かれ、そこにナビ画面も表示するというデジタルぶりを発揮している。実はこのメーター、同じグループの『アウディ』や『ティグアン』等で採用されている。それをゴルフでも採用したという流れだ。そんな訳で、大きな変更はこの程度である。正直、「えっ?」と思うくらい何も変わっていないのだ。「ならば試乗しても意味ないでしょ?」と思って走らせてみたら、意外と目から鱗だった。今回乗ったのは、TSIハイラインと呼ばれる、所謂ノーマルモデルの上級グレード。上級グレードは、エンジンや足回りにメカニズム的な変更は無い。だが、走り始めると、「これはいい!」と思えるフィーリングが即座に伝わってきた。

タイヤが転がり始めて回転する素直な感じ。そして、相変わらずスッキリとした乗り心地の良さ。その走りは、全体的に薄味ながらも、しっかりとダシが効いていて何度も味わいたくなる飽きのこない味…と言ったらわかり易いだろうか? けれど、ゴルフは登場から4年が経過し、ライバルも次々と進化を果たしている。実際、僕自身もライバル車の進化は試乗して知っている。にも拘わらず、今回のメカニズム変更を特にしていない普通のゴルフに乗ると、改めて「いい!」と思える。ゴルフ7が如何に優れた1台かという話だ。特にハンドルを回した時のフィーリングは、登場から4年が経過した今もライバルには全く追いつかれていないし、エンジンの清らかさと使い勝手の良さも、最新のライバルと比べて色褪せていないのだ。強いて言えば、タイヤのノイズは、周りのライバルの静粛性が向上した為、「少し大きいかな?」と感じる部分もあるけれど、そこを声高に騒ぐほど劣っている訳ではない。最初は「新型ゴルフに乗っても何も得るものは無いかな」と思っていたが、乗った瞬間から「ゴルフって本当に凄いな!」と思わされた。そんな風に感じさせるクルマというのは、実は中々存在しない。更に言えば、メカニズム的な変更が無くとも戦える実力が備わっているから、敢えて多くを変更しなかった――。そういう当たり前の結論に辿り着いた。ゴルフは、世界中の自動車メーカーが参考にして商品開発の役に立てる、所謂“ベンチマーク”と呼ばれる存在だ。要は、それほど商品としてバランスが良い存在でもある訳だが、新型になった感の薄い見た目がウケるかどうかは…。


河口まなぶ(かわぐち・まなぶ) 自動車ジャーナリスト・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1970年、茨城県生まれ。日本大学藝術学部文芸学科卒業後、『モーターマガジン』のアルバイトを経て、1995年からフリーに。現在、YouTubeLIVEにて『LOVECARS!TV!』(毎週金曜日22時)の司会を担当中。


キャプチャ  2017年7月24日号掲載

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