【香港返還20年】(中) 国策経済圏の一翼に

20170719 04
香港では、何れも総工費1兆円を超える2つの巨大建設事業が進んでいる。1つは、香港・マカオ・広東省珠海を海を跨いで結ぶ全長約55㎞の『港珠澳大橋』。もう1つは、香港から広東省深圳までの26㎞を繋ぐ高速鉄道だ。深圳から広州を経て、北京まで行くことが出来るようになる。大陸との交通の便を改善する両事業は、深圳・広州・珠海等広東省の9都市と、『一国二制度』を採用する香港とマカオを一纏めにして、経済連携の強化を図る中国の構想『大湾区(ビッグベイエリア)』の一翼を担う。香港返還20年の一連の記念行事を終えた習近平国家主席は今月1日、大橋の工事現場に態々立ち寄ってから帰途に就いた。香港政府関係者によると、中国は前の胡錦濤政権時代、香港と深圳を統合して宝安市に、マカオと珠海を統合して香山市にするという構想を練っていた。習主席は経済面をより重視し、範囲も広げた。深圳は電子産業で世界的な強みを持ち、広州には自動車産業が集積する。香港は金融業、マカオは娯楽産業が盛んだ。中国は具体的な政策を明らかにしていないが、習主席の構想は、各都市が特徴を生かして連携を強め、人口6000万人超の「巨大な経済特区を形成するイメージ」(通商関係者)とみられる。

香港の役割について、新行政長官の林鄭月娥氏(60)は、『一帯一路』の関連プロジェクトの資金調達や、中国企業の海外進出の支援等を挙げる。中国の国策にぴったり寄り添うことが求められている。香港はこれまで、海外から中国へ流れ込む資金の中継点となったり、中国企業に株式上場の場を提供したりして、中国経済の発展に一定の役割を果たしてきた。しかし、香港の域内総生産(GDP)は、中国に返還された1997年当時、中国の18.4%を占めたが、中国の急速な経済成長で、2016年には2.9%に過ぎなくなった。経済面での重要性は低下した。「(江蘇省の)蘇州を過ぎれば、乗れる船は無い」。習主席は1日の演説で、香港経済に触れた際、“最後のチャンス”を意味する諺を引用した。翌2日付の香港有力紙『明報』は、言葉の真意について、「チャンスを掴めとの警告」と報じ、「習主席が香港を見放しかねない」との危機感を滲ませた。香港は、このまま存在感が薄れ、埋没するのだろうか? 『香港証券取引所(HKEX)』で昨日、中国国内で流通している債券の取引が始まった。中国国内と異なり、香港市場では外国人も自由に購入できる。中国の債券市場は世界3位の規模だが、外国人の保有率は1.5%に満たない。殆ど閉じていた扉を開く実験場に、香港を選んだのだ。中国は人民元の国際化を掲げる一方、未だに貿易以外で外国と資金が出入りするのを制限している。経済成長が減速した煽りで、人民元の為替相場等金融自由化に向けた改革は、寧ろ後退気味だ。返還前から滞在する外国人金融マンは、「独立した司法や言論の自由が実現しない限り、香港を代替する国際金融都市が大陸に生まれるのは難しい」とみる。中国にとって、香港の利用価値は未だ残っている。


⦿読売新聞 2017年7月4日付掲載⦿
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