【香港返還20年】(下) 若者、“中国化教育”に抵抗

20170719 05
返還20周年を迎える前日の先月30日夜、香港のバプティスト大学で、独立を訴える政党『香港民族党』の陳浩天氏(26)が「我々は中国人ではない。香港人だ」と広東語と英語で訴えると、それに呼応する200人余りの学生たちの声が夜闇に木霊した。聴衆の中に、大学入試を終えたばかりという李燕霞さん(仮名・19)がいた。李さんも、自分を“香港人”と認識する。「生まれ育ったから」が一番の理由で、少し考えてから「自由だから」と答えた。香港大学の調査によると、自分を香港人、或いは中国の香港人と認識する人は63.3%。中国から逃れて来た人が多い60代以上の世代が中国に郷意を抱くのに対し、若年層は香港人意識が強いと言われる。ごく少数派の独立主張の根底にも、香港人意識がある。2014年に選挙制度の民主化を求める道路占拠運動を呼びかけた1人である香港大学の戴耀廷副教授は、「香港人意識が形成されていなかったら占拠運動は不可能だった」と振り返る。

戴氏は独立は主張しない。だが、「若し中国共産党政権が崩壊して、中国が分裂状態に陥ったとしたら、その時こそ香港人意識が重要になる」とみている。こうした香港人意識の広がりを、中国は見過ごしてはいない。習近平国家主席は今月1日の演説で、「国家や歴史、民族の文化について、教育や宣伝も強化する必要がある」と述べた。その10日ほど前、行政長官就任直前の林鄭月娥氏が、『新華社通信』等中国メディアの取材に、「幼少期に『私は中国人です』という概念の養成を始めるべきだ」と答えていた。香港政府は2012年、愛国心育成を狙った道徳・国民教育科の小中学校(※日本の小学~高校に相当)導入を目指したものの、生徒らの抗議活動で断念した経緯がある。「突然、小学生の子供が『私は中国を愛します』と歌い出した時にはびっくりした」。1日午後、民主派団体のデモに参加していた40代の女性は、表情を曇らせた。道徳・国民教育科の導入は頓挫したものの、学校の様々な場面で「中国化が進んでいる」(小学校教師の女性)という。典型的なのが、小学3年生から中学6年生(※日本の高校3年生)までが対象の、情緒性や社交性の自己評価だ。「中国の歴史に誇りを感じる」「中国の伝統・文化に外国人が影響を与えるのを防止すべきだ」という設問が含まれ、「全く同意」から「少しも同意しない」の4段階で回答するというものだ。「無条件の愛国を要求するものだ」との批判が強い。民主派の教育団体の幹部は、「中国共産党の負の部分を誤魔化そうとしているのも問題だ。中国は思想教育をしようとしている」と受け取っている。経済成長により国力を増した中国が、あらゆる分野で力で押してくる中、単独では活路を見い出せない香港には、重苦しい空気が立ちこめる。民主派の重鎮で、1980年代に香港基本法(憲法)の起草に携わった李柱銘氏(79)は、「それでも歩き続け、戦い続けることだ」と語った。

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幸内康・竹内誠一郎・吉永亜希子が担当しました。


⦿読売新聞 2017年7月5日付掲載⦿
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