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きつい、帰れない、給料安い! 貧困の保育士、その絶望すぎる実態

女子の将来なりたい職業ランキング上位の“保育士”。その一方で、業務内容の過酷さに見合わない、給料の安さや待遇の悪さから離職率が高い職業でもある。給料手取り11万・サービス残業・休憩無し・劣悪な職場の人間関係…。その身を犠牲にして子供たちに尽くす保育士たちの優しい笑顔に隠された悲しい現実とは――。

20160715 06
「保育園落ちた。日本死ね!!!」と世の母親が思わず呟くほど、待機児童が溢れ返っている現代の日本。この事態を受け、国は『待機児童解消加速化プラン』を掲げ、児童の受け皿となる保育所増設と保育士の確保を推し進めている。平成29年までに約40万人の保育の受け皿増設と、46.3万人の保育士確保を目指しており、保育士の有効求人倍率は全国で約2倍、東京に至っては約5倍にまで跳ね上がっている。保育士の資格さえあれば引く手数多の状況にある一方で、平成25年10月に厚生労働省統計情報部が行った調査では、約3.3万人の保育士が離職している事実が判明。これは、保育士全体の約10.3%に当たる。彼らが保育園を去っていく理由は、“低過ぎる給料”に他ならない。公立・私立等の運営形態にもよるが、保育士の初任給は16~17万円、手取りで13~14万円が一般的な相場と言われている。中には、手取りの給料が11万円と記載された自身の給与明細をインターネット上に晒した強者もいる。「確かに賃金は低いが、子供と遊んで給料が貰えるだけで幸せなのでは?」と考えている人もいるかもしれない。しかし、保育士の仕事はただ遊ぶだけではない。ほぼ毎月ある行事の準備や、子供が帰宅した後に片付ける大量の事務作業でサービス残業。面倒な保護者に気を遣い、保育中は子供を守る責任がのしかかっている。まさに激務。それにも拘らず、未だに“楽な仕事”というイメージが払拭できていないのも事実だ。この勘違いこそが、保育士がブラック化する原因の1つとなっている。

「1日9時間勤務で休憩1時間という規定なのですが、実質休憩はありません。更に残業もするので、体力的に厳しいです…」。溜め息混じりに語るのは、保育士歴7年の村田明子さん(仮名・27)。彼女の勤務する保育園は、基本給の16万円に時間外手当が付き、手取りで18万円前後が月収となる。但し、交通費・住宅手当が基本給に含まれている為、時間外が付かなければ給料は据え置きになってしまうという。「8年目になるのに、基本給が全く上がらないんです。実家暮らしなので何とかなっていますが、30歳になってもこの給料では厳しいので、転職を考えることもあります。それでも、子供たちの小さな変化や、其々違った発想や感情を間近で見るのが本当に楽しいんです。子供たちから『大好き』という言葉をかけられる度、やりがいを感じて踏み留まっています」。将来への不安とやりがいの狭間で、村田さんは揺れている。近年では、キツイ・帰れない・給料が安い、所謂“新3K”の1つに数えられている保育士。「24時間仕事のことを考えて生活し、休日も保育計画を立てたりして、仕事をしているのがツラい」(保育教論・27)と語るように、激務に耐えられず、職員の入れ替わりが激しいのも、この仕事の特徴だ。保育士歴6年の高木遥さん(仮名・28)は、職員の定着率の悪さを嘆く。「1~2年で異動になったり辞めてしまう等、中々人が定着してくれないんです。経験不足の保育士が多い時期は、子供たちが怪我をしないように気をつけながら、後輩には最低限のことしか教えてあげられませんでした。当時は、保護者の方から『若い人ばかりで心配』と言われてしまったこともあります。私たちの不安感が親御さんにも伝わっていたんでしょうね…」。高木さんが在籍している保育園は、初任給が手取りで13万円ほど。休日も仕事が残っている為、夜の仕事等のダブルワークもできず、副収入も得られない。待遇面を考えると、職員の離職も仕方がないと語る。「今は、やっと給料も安定してきましたが、新卒入社後4年間はずっと実家住まいでした。賞与や手当面があやふやなので、未だ不安があります」。彼女のように、収入の低さから1人暮らしができないという保育士はとても多い。低賃金に加えて深刻な人手不足。業界が抱える闇を一身に受ける高木さんだが、今後も保育士を続けていく意志は固い。「仕事内容や子供たちの命を預かるという責任の重さに対して、給料が低いとは感じます。でも、毎日色々な変化があり、子供と一緒に成長できる仕事なので、ずっと続けたいですね」。彼女たちが安心して子供たちの成長を見届けられる日は来るのだろうか…。

20160715 05
保育園とは、共働き等の理由で乳幼児の保育ができない親から、一時的に子供を預かる児童福祉施設のことを指す。大まかに分けて、市区町村が運営する公立保育園と、国が定めた設置基準を満たした私立の認可保育園、認可外保育所の3つがあり、保育士のブラックさが話題になっているのは私立保育園と認可外保育園の保育士たちだ。何故、これほどまでに私立保育園の給与が低いのか。その理由は、“保育園”という施設の制度が関係している。私立の認可保育園の財源となるのは、国や都道府県から受け取った補助金や負担金と、保護者からの保育料。これらは、保育園に直接渡る前に市区町村で一括集金した後、各保育園の定員や状況に合わせて“運営費補助金”を支給される。保育園は、この運営費補助金の範囲内で園の運営をやり繰りしていかなくてはならない。国の税金から捻出される補助金や、国が定めた保育料の価格は値上げすることができず、最早人件費を切り詰めるしか保育園には術が残されていない。その為、私立保育園の保育士の昇給は夢のまた夢なのだ。ブラック化が進むばかりの私立認可保育園と一線を画しているのが、市町村が運営する公立保育園だ。公立保育園の保育士は地方公務員の為、平均的な公務員と同程度の収入があり、毎年昇給、福利厚生も完壁。当然、公立保育園の保育士の採用試験には応募が殺到し、地域によっては採用倍率が10倍を超える保育園もあるという。まさに狭き門なのだ。「私も公立保育士の保育士採用試験を受けたのですが、残念ながら不合格でした。公務員試験資格は不要ですが、かなりの難関なんです」。そう語るのは、公立保育士の友人を持つ私立保育園勤務の中野弥生さん(仮名・30)。「その枠を勝ち取った友人のことは凄く尊敬しています。でも、長期休みに国内外問わず楽しそうに旅行している姿をSNSで見ると、あまりの違いに溜め息が出ることもあります」。更に、正規雇用の公立保育士であれば、自治体が育児休暇を推奨している為、産後の復帰がし易いというメリットもある。当然、公立保育士の離職率は低い。

一方の私立保育園の場合は、福利厚生が整っていない為、産後復帰できずに退職するケースが殆ど。中には、「退職を防ぐ為に、妊娠しないよう先輩から釘を刺された」という声もある。同じ職種・同じ業務内容でありながら、民官の格差は計り知れない。政府が声高に叫んでいる保育士の確保だが、保育士登録者数は平成25年の時点で約119万人。この数字は、政府が目標に掲げている46.3万人を優に超えている。しかし、資格を持ちながら保育園に勤務していない、所謂“潜在保育士”が70万人以上存在する。そんな潜在保育士の中には、一度は保育士として働いたものの、現実に打ちひしがれて職場を去る人々も多い。現在主婦の山田加奈子さん(仮名・28)も、その1人だ。「手取り16万円の月給で1人暮らしをするのも大変でしたが、一番苦労したのは人間関係。園長が気分屋だったので、常に園長のご機嫌を伺わなくてはならないのが辛かったですね。特に、行事前のピリピリムードには耐えられませんでした…」。職員の気持ちを一番に汲まなければならない筈の園長が、精神的負担になっていては本末転倒。結局、山田さんは2年余りで勤務先を退職している。「本当に子供が好きなので、育児休暇等の待遇が良くなれば、もう一度保育士をしたいです」。現場を離れた保育士の獲得も、給与・待遇の改善にかかっているのだ。また、敢えて保育士の道を選ばなかった資格保有者もいる。東京都が平成25年に行った『保育士実態調査』によれば、保育士資格保有者全体の約2割が、保育士未経験のまま他の職業に就いているという。中島敦子さん(仮名・32)は、大学で保育について学び、幼稚園教論の資格も取得しながらも、食品メーカーに入社した。「元々は子供好きだったこともあり、幼稚園教論や保育士になる為に大学を選びました。でも、保育実習で元気過ぎる子供たちのお世話を実際にしてみて、『自分には向いてない』と感じました。他人の子を預かる責任も重かったし…。ただ、本音を言えば、自分が希望する給与や勤務条件に合う保育園の求人が無かったのも理由として大きいです」。せめて、業務に課せられる責任の重さと釣り合うほどの待遇が整ってさえいれば、彼女も保育士として活躍していたのかもしれない…。

20160715 07
保育園制度の仕組みの問題・潜在保育士の復帰・民官格差等、最早個人レベルではどうにもできない“保育士の貧困問題”。この現状を打開するべく立ち上がったのが、元認可保育園の園長だった大川えみる氏。彼女は、現在の保育士の平均給与を17.5万円とし、「平均22.5万円、せめて20万円くらいは必要です。5万円上がると、女性の同年代の給与水準に合わせられます。【中略】せめて世間並みの待遇で仕事ができるようにしてほしいのです」と、署名サイト『Change.org』内で強く訴えている。その後、大川氏は3月30日に、保育士給与1人当たり5万円の増額を求める3万人分の署名を厚生労働省と内閣府に提出した。様々な議論が巻き起こる中で、4月26日に開かれた1億総活躍国民会議の中で、安倍晋三首相は「保育士と介護士については、競合他産業との賃金差が無くなるよう処遇改善を行う」ことを指示。保育士の給与を月額で約6000円引き上げるという。また、長年保育に携わっているベテラン保育士には、最高で4万円ほどの昇給をサポートすると公言した。何やら大仰に語っているが、6000円程度の給料アップで手取り11万円の保育士が救われ、離職を余儀なくされる保育士が減る等と、本気で思っているのだろうか。流石は、待機児童の増加に対して「嬉しい悲鳴」なんてお門違いなことを口走る、オツムの軽い首相である。また、認可外保育所も給与の引き上げの適応範囲に含まれているか否かも不透明なままなので、政策の見切り発車感は否めない。子供たちの為に休み無く働いているにも拘らず、満足に給料も支払われない保育士たち。彼らの悲痛な叫びを聞いても尚、貴方は“子供と遊んでるだけの仕事”等と見て見ぬふりを続けるつもりだろうか?


キャプチャ  2016年7月号掲載




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テーマ : 社会問題
ジャンル : ニュース

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George Clooney

Author:George Clooney

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