【徹底解剖!東京都庁】(09) 都庁職員を悩ませる23区職員のあり得ない高給事情

都庁志望者の多くが受験を考えるという東京23区(特別区)職員採用試験。難易度では都庁・国家公務員一般職に劣るをされながら、都庁とほぼ変わらぬ待遇を受けている“隠れブルジョア”たちの生態を暴く。 (取材・文/本誌編集部)

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都庁を目指す学生や既卒者たちの併願先として、国家公務員と並び多いのが、“特別区”と呼ばれる東京23区で働く地方公務員だ。東京で公務員試験を受けたことのある人以外にはあまり知られていないが、この23区の職員になるまでには、少々変わった選考方法をパスする必要がある。受験者は其々個別の区の試験を受けるのではなく、先ず特別区人事委員会の共通の筆記試験(1次試験)を受けることになる。これに合格すると、次に2次試験(面接)がある。これも人事委員会による面接で、合格すると“採用候補者名簿”に氏名が登載される。ここで初めて、受験者は希望の区の面接に進むことができるのである。合格者は予め、希望の区を3つまで出しておく。それを見た区から面接の連絡が来る仕組みになっているのだが、港区や千代田区等といった人気が高くて採用数も少ない区では、試験の成績次第で連絡すら来ないことがある。つまり、ある程度上位に入る得点を取っておかないと、面接すらしてもらえないということが起こり得る――そんな試験なのである。2016年の場合、特別区全体で2次試験に合格した受験者は2909人(※うち女性は1005人)。そこから区に採用された最終合格者は1781人(※同771人)で、1次試験受験者から見た合格倍率は平均6.6倍だった。「特別区の1類筆記試験は概ね、都庁のⅠ類B・行政と主題範囲・形式が似通っていますが、試験そのものの難易度は低い。最後の面接で超人気の区に拘るのであれば話は別ですが、都庁に受かる人であれば特別区の試験にも合格するでしょう。しかし、この試験日程は1次試験が重なっていて、両方受けられないようになっている。『都庁を受けるほどの自信が無い』という人は、“特別区に回る”という発想が出てくる訳です」(都政担当記者)。

都庁の仕事と23区の区役所職員。仕事のスケールの大きさで言えば、都庁の仕事のほうが大きいことは明らかだが、悩ましいのは、同じ地方公務員で両者の待遇に大きな差が無いということである。特別区には都庁からの出向者も多く、同じ役職であったとしても、出向組のほうが大抵年齢は若いことが多い。これは、都庁職員と区役所職員の力関係を象徴的に表している。しかし、肝心の給与はそれほどの差が無いので、23区職員はちっとも都庁職員を「羨ましい」と思わないのである。都庁で課長・部長までいけば、当然ながら、その後の“天下り”も含め、生涯賃金は多くなるが、そこに到達できるのは10人に1人以下。特別区の職員の場合も、昇進については其々管理職選考があるものの、都庁のように東京大学や一流私大出身の強力なライバルがそこまでいる訳ではないので、採用時の難易度と同様、出世のハードルも都庁と比べれば低い。2016年の特別区モデル年収を見てみると、25歳係員で年収392万円、40歳係長で737万円(※妻・子2人)、45歳課長で大台の1045万円(※妻・子2人)、そして50歳部長で1259万円(※妻・子2人)である。18%の地域手当がある分、他県の市役所等と比べればかなりの年収だ。既に本連載で触れてきたように、都庁で“45歳課長”のポジションを獲得する為には、難易度の高い昇進試験を受け、合格する必要がある。特別区の課長は全体の職員の4~5%、部長級ともなると2~3%くらいと言われるが、それでもあまり出世欲がある人は少なく、昇任試験を受けない人が多くなっている為、少しやる気を出せば、都庁で出世するよりは少ない労力で好待遇をゲットできると言えるのかもしれない。「いや、やる気を出す必要もそれほどないんですよ」とは前出の記者。「40歳係長でも、その後、恙無く過ごしていくだけで、給与は毎年4号上昇します。50歳では基本給が40万円近くになり、残業代もあれば年収は900万円から1000万円近くになる。つまり、数十人に1人の割合でしか出世できない部長と、のんびり仕事をしている職員で、50歳になってもたった200万~300万円くらいしか差が付かないことになります」。業績評価がかなり給与に反映されるようになっている都庁に比べ、特別区や他の地方公務員では、未だ年功序列の制度が色濃く残っている。仕事のリスクが低くて恵まれた給与を受け取れるなら、誰も好き好んで昇進したいとは思わなくなるだろう。

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もう少し拡大して考えれば、国家公務員の一般職でも、平均的な出世を前提に考えれば、国家公務員一般職・都庁行政職・区役所事務職で、そう大きな給与格差はないということも言える。都庁の場合、勤務地は東京都内とはいえ、その範囲はそれなりに広く、出先機関は島嶼部まで広がっているし、都心の区役所勤務であれば原則、その区内での異動なので、転勤や引っ越しをする必要性も殆ど無い。試験の難易度にはかなり違いがあるとされるの、待遇そのものは大きく変わらないというのが、ある意味日本的な話だが、確実に就職先を確保したいというタイプにとっては(※区役所に勤務しながら翌年以降に都庁や国家公務員にチャレンジするという人も中にはいる)迷うところである。「都庁の仕事に比べ、区役所では住民対応の仕事が多く、より適性が重要になってきます。足立区や葛飾区のような下町と、千代田区や港区のような都心部では、同じ23区であっても、部門によって仕事のタイプが変わってくる人もいます。難しい昇任試験もありませんので、区役所のほうが楽と考えるのは早計ですが、バリバリと上を日指すのは苦手というタイプにとっては、目立つことなく仕事ができ、マスコミからの批判も受けず、しかも安定度では全く変わらない区役所で十分と言えるかもしれません」(前出の記者)。今から10年ほど前、大阪市等関西を中心とする地方自治体で、大がかりな学歴詐称問題が発覚したことがあった。本当は大学を出ているのに、“高卒”と偽って難易度の低い試験を受け、地方公務員になる。そういう職員が、1つの役所だけで何百人と働いていたのである。まさかの“低学歴”詐称が罷り通っていたのも、地方公務員の恵まれた待遇の証左と言える。今はもう、そうした裏技は使えないが、地方公務員の世界も、不自然な受験者たちが生まれないほどの“待遇格差”を付けていかないと、折角の人材が本来の力を出さぬまま、安穏と一生を過ごすケースが無くならないと思われる。


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