【Test drive impression】(30) 『シトロエン C4カクタス』――限定200台が発売され、瞬く間に売り切れたC4カクタスを試す!

孫が曽祖父に激似だったり、息子が父親の悪いクセをまんま受け継いでいたり、まさにカエルの子はカエル! これぞDNAって思うことはままあるけれど、久々に自動車ブランドでもそれを感じてしまったぜ! 一部では「走る石破幹事長!」とも「奇天烈シトロエンの再来!」とも言われている『C4カクタス』のことである。ヨーロッパでのデビューは2015年。日本では昨年10月、限定200台で発売されると、まさかの即完売に! 因みに、新車の販売価格は238万円だったが、今、中古車市場では平均価格は300万円前後に跳ね上がっているのだ! とはいえ、全長4mちょいのレアでオタクなハッチバック。しかも、超久々の衝撃的なお笑いデザインである。ベースは旧型『C3』で、フォルム自体は非常にオーソドックスだが、その怒ったウーパールーパーのような漫画的仏頂面マスクや、“板チョコ”とも言われるサイドパネルは、誰がどう見ても圧倒的にヘンだ。実際、サイドの“エアバンプ”は空気入りポリウレタン製クッションで、絶対トヨタじゃ思いつかないカタチだし、思いついても絶対採用しないだろう。まさにカーデザインの限界に挑戦するようなアバンギャルドさ。まぁ、カクタスの名前からして“サボテン”ってふざけた意味だしね(笑)。だが、それも歴史を知れば納得だ。

抑々シトロエンは、1950年代の油圧と空気で動くハイドロ式サスペンションを持つ宇宙船顔負けスタイルの名車『DS』や、“走るこうもり傘”と言われるクラシックシトロエンの代表モデルである『2CV』が有名だ。その見るからに他じゃ思いつかないデザインやメカが身上で、“自動車業界のアバンギャルド”の代名詞である! 乗ってもかなりその通りで、前後バンパーはエアバンプにも似たポリウレタン素材で玩具っぽいし、前後が尖った樹脂性ルーフレールもユニーク。「こんなんでよく車検通ったね」的な感じだ。インテリアは外観ほど非常識さはないが、ダッシュボードは他にない物置棚デザイン。角張ったセミバケット風シートも、ギアシフトと間違えちゃいそうな下から生えているハンドブレーキも印象的である。オタクなところでは、ワイパーゴムの根元から液が出るウォッシャーシステムや、天井に取り付けられたエアバッグ、センター下に備わるスイッチ式ATシフトも、他には先ず無い。殆どハメ殺しで、隙間のみが開くサイドのリアウィンドウも、フランス車ならではの割り切りだ。走りは意外にも現代的でしっかりめ。ドイツ車ほどの硬さは無いものの、路面の継ぎ目を通ると、衝撃は「ビシッ! ドンッ!」とそれなりに入ってくるし、シートも予想以上に硬めだ。

表面は柔らかく、座り心地はいいけれど、昔のシトロエンの如くフカフカのソファとは言い難い。一方、それに比べてクセがあるのは加速フィーリングで、エンジンは『プジョー208』やシトロエンC3に搭載済みのダウンサイジング系の1.2リッター直3からターボを取ったもの。パワースペックは82馬力と低めだが、数字以上にクリアなフィーリングと共に気持ち良く加速する。但し、問題はやや時代遅れのシングルクラッチの5速ギアで、特に1速から2速のシフトアップで空走感は大! この辺りのマナーが、日本車やドイツ車じゃ先ずあり得ないレベルなのだ。けれど、独特のクセに慣れれば普通に走れるし、長距離走る度に日本車やドイツ車には無い優しさが迫ってくる。同じヨーロッパハッチの『フォルクスワーゲン(VW)』の『ゴルフ』や、『プジョー308』ほどの実用性は正直無い。ただ、乗ってて確実に面白いし、下手すると昨年、日本で最も売れた輸入車である『BMWミニ』の強力ライバルにもなり得るんじゃないだろうか? サイズ的にも狭い日本で使い易いし、早いとこ限定販売から卒業し、カタログ販売してほしい。因みに朗報もあって、兄弟車とも言うべきよりコンパクトな新型C3が、今月から日本でも発売となった! コイツは世界累計販売台数360万台を超えるコンパクトカーである。しかも、価格は216万円からとお手頃で、検討の余地ありでは? 小沢的に、シトロエンはいつの時代もちょっとヘンなアバンギャルドキャラクターであってほしい。早いとこ、このフランス流のお笑いグルマが定着すれば、洒落の通じない日本もちっとは楽しくなる筈なんだが…。


小沢コージ(おざわ・こーじ) 自動車評論家・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1966年、神奈川県生まれ。青山学院大学卒業後、『本田技研工業』に入社。1990年に『二玄社』に転職し、自動車雑誌『NAVI』の編集を担当。1993年からフリーに。『週刊自動車批評』(TBSラジオ)にレギュラー出演中。著書に『クルマ界のすごい12人』(新潮新書)・『マクラーレンホンダが世界を制する!』(宝島社新書)等。


キャプチャ  2017年7月31日号掲載

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

日本列島創生論 地方は国家の希望なり (新潮新書) [ 石破 茂 ]
価格:820円(税込、送料無料) (2017/7/23時点)

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

石破茂の「日本創生」 [ 大下 英治 ]
価格:1944円(税込、送料無料) (2017/7/23時点)

スポンサーサイト

テーマ : 新車・ニューモデル
ジャンル : 車・バイク

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR