【JR・栄光と苦悩の30年】(14) 綺麗事では描けぬ未来…旅客機と自動運転車の挟撃

北海道から九州まで新幹線が繋がる等、JRには明るいムードが漂う。しかし、未来が安泰な訳ではない。航空会社やITジャイアントが、虎視眈々とJRの縄張りを狙っている。

20170724 18
「新幹線を選ぶことはひとつのエコ」「地球温暖化のために、できること。新幹線でECO出張」――。これは、『JR東海』が国内出張の多いビジネス旅客を取り込もうと展開するキャンペーンのキャッチコピーだ。主要路線で競合する航空会社への敵意が剥き出しになっている。優等生的なキャラクターで知られるJRグループにしては、些か露骨な表現ではある。人1人を1㎞運ぶのに排出する二酸化炭素(CO2)は、航空機99gに対して鉄道は22gと圧倒的に少ないことをアピール(※データの出所は国土交通省)。そして、東京-大阪間の出張が全て航空機から新幹線にシフトされれば、CO2排出量を25%削減できることを強調している。当然のことながら、航空会社はこのキャンペーンを苦々しく思っている。ある航空会社幹部は、「私たちは多大なコストを掛けて手荷物検査をやって安全性を高めている。一方のJRは、テロの脅威を見て見ぬふりをしている。不公平だ」と憤懣やる方ない様子だ。確かに、航空会社は乗客に不便を強いてでも手荷物検査等の対策を怠らず、テロの未然防止に努めてきた。JR東海がテロ対策を強化せぬままに(※詳細は次回)、“新幹線でECO出張”とアピールされては、心中穏やかでなくなるのも頷ける。現在は東京-大阪間の出張の8割、東京-広島間ですら5割で新幹線が利用されている。JRと航空会社のシェア争いでは、JRに軍配が上がる。

だが、航空会社も手を拱いている訳ではない。“リージョナルジェット”と呼ばれる小型旅客機を導入し、地域間輸送を拡充しようとしているのだ。例えば、愛知県の小牧空港を本拠地とする航空会社の『フジドリームエアラインズ』は、リージョナルジェットを使った国内就航路線数を着々と増やしている。『三菱重工業』製の『三菱リージョナルジェット(MRJ)』は、認証作業で足踏みしているものの、競合機も含めたリージョナルジェットが、地方間の移動手段の本命に躍り出る日が近付いている。また、鉄道を脅かすのは航空機ばかりではない。中長期的には、もう1つの本命になりそうなのが自動運転車である。現在、自動運転技術の導入が早いとされているのが、高速道路走行と、都市型・地方型等エリアを限定したコミューターである。将来的に、自動運転技術は“車の公共交通機関化”を加速させることになるのだ。玄関先から目的地までの“ドアツードア”のプロセスの中で、これまで鉄道・航空会社が担ってきた土俵に車が参入してくるイメ ージだ。そんなことぐらいは、JRグループとて百も承知だろう。だからこそ、『JR東日本』は昨年12月に技術革新中長期ビジョンを発表し、IoT(モノのインターネット)や人工知能を活用することで、“モビリティー革命”を実現する方針を示してみせた。だが、この方針はビッグデータの解析といった“流行もの”を全て盛り込んだ総花的な内容に終始している。JR東日本関係者も、「10~20年後に目指す理想像を語っていて、それに至るロードマップの作成までには至っていない」と率直に認める。『Google』等のITジャイアントや、配車サービスの『ウーバー』等の新興勢力が世界の交通網を牛耳ろうとする中、オールドエコノミーの象徴である鉄道会社が主導権を握り、存在感を発揮できるかどうかは未知数だ。


キャプチャ  2017年3月25日号掲載
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