『アウディ』の世界初“手離し”自動運転車、裏にドイツ政府

20170725 10
「自動運転を一歩先に進める画期的なクルマ」――。『アウディ』のルペルト・シュタートラーCEOは、バルセロナで今月11日に開いた発表会で、旗艦車『A8』の自動運転機能を自賛した。自動運転は、自動ブレーキ等の運転支援機能を持つ“レベル1”から、運転手のいらない完全自動運転を実現する“レベル5”まで、5段階に分類されている。新型A8が搭載するのは“レベル3”。運転手がハンドルを離しても自動車が運転を代行できる水準だ。具体的には、6つの高機能センサーがクルマの周囲を解析し、自動的に加速・減速・停止等を制御して走行する。運転手はハンドルを離したまま動画を見たり、同乗者と会話したりできるようになる。「運転手がハンドルを離せないレベル2とレベル3では、自動運転の価値に雲泥の差がある」と、開発担当のペーター・メルテンス取締役は言う。尤も、今回搭載されたレベル3機能は、他社の追随を許さないほどの高度な技術とは言い切れない。自動運転機能の利用は混雑時に限られ、“中央分離帯のある高速道路を時速60㎞以下で走行している場合”という条件が付く。

「技術的には日本メーカーでも実現可能」と、ある日本の自動車業界関係者は言う。それでも、日本車メーカーがレベル3の自動運転車の投入を躊躇するのは、事故が発生した場合の責任の取り方が明確に定義されていないからだ。現状の道路交通法では、レベル3の自動走行は認められておらず、自動運転に関わる法整備が追いついていない。一方のドイツ。実は、A8発表の約2週間前に道路交通法が改正され、レベル3の自動運転が認められた。レベル3機能を利用する為には、道交法の改正に加えて、A8の安全性を審査する規格当局の承認が必要だが、審査プロセスも順調に進んでいるという。A8の発表に合わせたかのように改正された法律は、「ドイツ政府が自動運転で世界市場をリードするという意思の表れ」との見方が専らだ。「政府も、自動運転の発展を積極的に後押ししてくれている」と、自動運転責任者を務める同社のミルコ・ロイター氏は言う。目下、ドイツ経済の中核を担う自動車産業は、転換期を迎えている。環境汚染問題からディーゼル産業の将来性が危ぶまれ、新産業の育成は急務。それを代替できる可能性のある自動運転分野を育てることが、焦眉の急となっている。事情はアウディも同じ。発表会の直前には、同社元社員が排ガス不正問題で逮捕されたことが明らかになり、毀損したブランドの回復が課題となっている。『フォルクスワーゲン(VW)』傘下の高級ブランド車部門として地位を保ち続けるには、最先端技術を真っ先に世に問い、普及を促す“覚悟”を見せる必要があった。そんな両者の思惑の一致が、“世界初レベル3搭載車”の発表に繋がった。官民一体で自動運転分野を切り開くドイツ。新型A8は、旧来の規制に阻まれた日本勢との差を広げる“起点”になるかもしれない。 (取材・文/本誌ロンドン支局 蛯谷敏)


キャプチャ  2017年7月24日号掲載
スポンサーサイト

テーマ : 自動車バイクのニュース!
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR