偏っていた独メディアの難民危機報道――懸念を持つ人を顧みず、保守とリベラルの溝は深まる一方

20170728 03
ドイツのメディアは、2015年の難民危機の際、あまりにも批判能力を欠いていたことで、アンゲラ・メルケル首相が自由に門戸開放政策を実施できるようにし、難民流入に危機感を募らせた人々が、当然ながら抱く懸念の代弁はしなかったことが、調査で明らかになった。フランクフルトの『オットー・ブレンナー財団』が委託作成した報告書によると、報道が過度に偏っていた為、同国のリベラル派と国家主義者・保守派との間のイデオロギー対立の溝を深める結果となった。報告書は、「2015年の秋の終わり頃まで、懸念や恐れ、抵抗感を持つ人が増えているのに、それを論じた社説は殆ど無かった」とした上で、「あったとしても、説教を垂れるようであり、(反移民感情が最も強い)東部では軽蔑した論調だった」と記している。

ドイツの週刊紙『ツァイト』のシニアエディターだったミヒャエル・ハラー氏が主導したこの調査は、ドイツのメディアが移民危機をどう扱ったかを最も総合的に分析している。調査は、「新聞各紙が、急進右派と、難民の流入で政治的な不安を抱いたり『社会に取り残された』と感じた世間一般の人々とを、全く区別しようとしなかった」と指摘。「(移民政策に)批判的な報道をするどころか、ジャーナリストは単に“政治エリートの見解やスローガンを取り入れた”だけだった」という。メルケル首相は2015年夏の終わりに、シリア、イラク、アフガニスタンでの戦争から逃れてきた何十万人もの難民の為に、ドイツの国境を開放する決断を下したが、ドイツのメディアのほぼ全てがこの決断を称賛した。各紙は、新たに生まれた“歓迎文化”に関する記事で埋め尽くされた。これを象徴するのが、2015年9月にミュンヘン駅に集まった群衆が、ハンガリーから到着した難民を出迎えて、お菓子や玩具を手渡す姿だ。報告書は、「歓迎文化は普通の庶民を“(窮地にある人を助ける)良きサマリア人”に変え、新参者に親切にするよう促す時にメディアの一部の部門が使う“魔法の言葉”のようになった」としている。だが、2015年の大晦日にケルンで起きた、主に北アフリカ出身の男たちによる女性への集団性暴行事件は、報道の転機となった。報告書は、「難民に関する記事の論調は、“より控えめ”で“懐疑的”になった」と指摘している。 (Guy Chazan)


⦿フィナンシャルタイムズ 2017年7月25日付掲載⦿
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