【大機小機】 中国は民主化しないのか

近く日本で公開予定の香港映画『十年』の試写を見た。5人の若手監督の短編からなるオムニバスで、地元の映画賞で最優秀作品に選ばれた。10年後を見据えた香港の近未来を描く。タクシー営業に中国の共通語“普通話”使用が義務付けられ、地場の広東語しか話せない運転手が頭を抱える。文化大革命期の紅衛兵に似た制服の少年団が言葉狩りに駆け回る一編では、漫画の『ドラえもん』まで禁書になっていた。“一国二制度”で高度の自治を保証された筈の香港が…。映像から、制作者の危機感がひしひしと伝わる。『十年』は、中国本土で上映を禁じられている。イギリスからの返還20周年となった今月1日、香港の記念式典で演説した中国の習近平主席は、「中央の権力への挑戦は決して許されない」と独立派や民主派を牽制した。中国共産党政権の民主化嫌いは今に始まったことではないが、習政権になってから反動ぶりが目立つ。人権派弁護士の拘束等は一例に過ぎない。先月施行された『インターネット安全法』は、“安全”の名の下、インターネット運営者への規制を強め、中国で集めたデータの海外移転を阻む等、情報の国家管理を一段と強化する内容だった。『Facebook』は先月末、「利用者が20億人を超えた」と発表した。世界人口の4人に1人強だ。Facebookの接続状況を光で見せる世界地図では、人口密度の高い地域が白く光り、極北の地やサハラ砂漠等が黒く見える。例外が黒い中国で、国内でFacebookを使わせないよう規制している。新聞の見出しで見ない日が無いほどのAI(人工知能)ブームだ。だが、薔薇色の未来ばかりではないAIの“両刃の剣”性は、夙に指摘されている。人間の自由な活動を支援する頼もしい助っ人にもなれば、息苦しい監視社会の看守役にもなり得る。「全人類の知能を超えるAIが出現するシンギュラリティー(技術的特異点)は2045年頃」と専門家が予測している。偶然だが、返還後50年の一国二制度の終点とほぼ重なる。“その時”を、言論の自由や法の支配が保証された社会で迎えるのか、そうではない体制下で迎えるかでは大違いだ。中国が民主化するのか、しないのか――。21世紀前半の世界の大問題だ。 (手毬)


⦿日本経済新聞 2017年7月12日付掲載⦿
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テーマ : 中国問題
ジャンル : 政治・経済

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