【東京五輪後の地方経済を読み解く】(10) 日本が本当に分権化する為には都道府県を廃止すべきだ

20170731 07
“平成の大合併”による市町村合併の先に見据えられていたのは“道州制”だった。道州制の議論が政治的課題として浮上するのは、2005年、都道府県合併が可能になるよう地方自治法が改正されたことだ。法改正により、合意に達すれば都道府県は合併できるようになった。翌2006年には、内閣府の地方制度調査会が「道州制を導入することが適当」と答申を出し、第1次安倍政権では道州制推進本部を設置して担当大臣まで置かれていた。2010年の参院選では、自民党・公明党・みんなの党が道州制の導入を公約に掲げている。『日本経団連』・『日本商工会議所』・『経済同友会』といった財界も、2012年に『地域主権と道州制を推進する国民会議』を開催し、道州制の導入を盛んに訴えていた。しかし、2012年12月の第2次安倍政権が誕生する総選挙の直前の11月、町長や村長からなる『全国町村会』の強い反対があった。「現在の道州制論議は、国民的な議論がない中で、道州制の下での町村の位置づけや税財政制度など、道州制が町村や町村仕民にどのような影響をもたらすのか明らかにされないまま、あたかも今日の経済社会の閉塞感を打破しうるような変革の期待感だけが先行していると言わざるをえない」「道州制は税源が豊かで社会基盤が整っている大都市圏への富の集中を招き、地域間格差は一層拡大する」「町村にとって存亡にも関わる危機」と、反対の立場を鮮明にした(『道州制の何が問題か』)。これを受けた形で、2014年10月、自民党道州制推進本部の佐田玄一郎本部長が、『道州制推進基本法案』を事実上、白紙撤回したのだ。

更に、この道州制に対しても、嘗ての地方分権推進の牽引役で、平成の大合併の“失敗”を認める東京大学の西尾勝名誉教授は否定的だ。2015年3月、国の統治機構に関する調査会の参考人質疑において、西尾氏は自身を「道州制の慎重論者だ」と述べた上で、「道州制議論には反対だ。何でも自治体に権限を下ろせばいいというものではない。国に残す権限と地方自治体に下ろす権限の分け方をしっかり考えるべきだ」とした。その上で、「『自治体数が多過ぎるので、更なる合併を進めよう』という議論は非現実的。平成の大合併の失敗を繰り返すことになり、地方自治体からの反発は避けられない」としたのだ。このトーンダウンの背景には、平成の大合併を合併特例債という(※実は激辛な)アメを使って押し進めた総務省と、その出先機関と化した都道府県への地方の反発があるようだ。更に、市町村合併への危惧の声も大きくなった為だろう。しかし抑々、市町村の合併と道州制の議論は目的の違うものであった筈だ。市町村合併は行政の効率化、最適な行政規模を維持することで、サービスレベルの全国的な均一化を目指した一方で、道州制は行政の効率化と共に、中央省庁の縦割りの規制行政からの脱却、広域な行政需要に対応することが求められた為ではなかったか? 例えば、日本は道路整備が進み、大型ショッピングモールを中心にしたモール生活圏ができ、市町村どころか府県境を感えて生活に影響を及ぼしている。「現行の都道府県は、1871年から1880年頃にかけて、明治維新の廃藩置県によって定められた制度。当時、日本には自動車(や飛行機)等は殆ど無く、鉄道が漸く敷設されつつあった時代だ。その頃、人が1日に行動する領域は、平均で6㎞ほどだろう。昭和の(市町村)大合併の頃は、自治体の規模も学校まで徒歩30分圏内が想定されていた。現代は買い物エリアさえ自動車を利用し、20~30㎞圏内まで延びている。通信も発達し、瞬時に世界を繋ぐことも可能だから、市町村の在り方の議論を深めないといけないし、明治時代の都道府県の範囲では狭く、大胆な合併が必要ではないか」。そう言うのは、埼玉県狭山市長から衆議院議員(自民党)となり、第1次安倍政権で総務副大臣や内閣官房副長官等の要職を歴任した、地方行政に詳しい大野松茂氏だ。また大野氏は、都道府県は明治次代以来、“中央集権”的な性質が変わっていないという。「多くの都道府県は、地方交付税交付金にに頼らなければいけません。その為、国に対して報告義務がある。制度面から実質的なコントロールを受け易い体質になっている。これでは、地方の歴史や伝統を踏まえた“地方分権”が行えないのではないか」。現在の中央集権の枠組みの中で、求められる“地方創生”を行うことができるのか――。 (取材・文/本誌編集部)


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