【熱狂!アニメビジネス最前線】(15) 声優残酷物語…タレント化の光と陰

20170801 01
様々なキャラクターを演じ分け、声だけで強烈な印象を残す――。そんな声優は、志望者が数十万人とも言われ、憧れの存在だ。嘗ては黒子で表舞台に出る機会は限られていたが、今ではタレント・アイドル・歌手・ナレーター・DJ等、声優以外での活躍も目立つ。しかし、第一線で活躍できるスター声優はほんの一握り。声優だけで食べていける人は全国で650人程度と言われ、ナレーションの仕事等を掛け持ちするケースが殆どだ。業界団体の声優登録者は約6500人だが、現在は活躍していない人が多数含まれる。フリーやボランティアの未登録者も多い。思い立ったら誰でも声優になれる訳ではない。声優の専門学校を卒業後、8割程度は声優事務所が運営する養成所に所属。年30万~50万円を払ってレッスンを受け、テビューを目指す。国内最大の声優事務所である『東京俳優生活協同組合』には、毎春300人が入り、1年後に7~8人まで絞り込まれる。そこから事務所に所属できるのは3~4人だ。養成所があるなら専門学校は不要に思えるが、「いきなり養成所に入ると、周りは専門学校の卒業生ばかりで、スタートから差が付く。諦めて入学してから学び直す人もいる」(声優の専門学校幹部)。その一方で、「専門学校があるから、『卒業すれば誰でも声優になれる』と勘違いする。声優事務所も養成所のレッスン費用で経営しているようなもの」との批判もある。学費やレッスン料に数百万円を投じても、声優になれるのは100人に1人にも満たないのが現実なのだ(※左図)。「声優の仕事はハイリスク&ローリターン。芝居が上手でも売れるとは限らない。時流に乗って売れるかどうかは運次第」と、声優事務所『マウスプロモーション』の納谷僚介社長は警鐘を鳴らす。

実際、アニメの仕事量は限られる。昨年11月に放送されたアニメ作品は100本で、出演した声優は753人(※『日本声優事業社協議会』資料より)。5作品以上に出演する売れっ子は47人(※昨年10月)と、人気は集中していることがわかる。ギャラは給与でなく歩合制だ。業界の定めたランクがあり、新人は30分アニメ1本の出演料が1万5000円、時間割り増し等は付かない。3ヵ月の1クール分の収入は約18万円、ここから諸経費や事務所の手数料として20%が引かれ、税金を払った分が手元に残る。最高ランクは4万5000円以上だが、上げ過ぎると仕事が減るリスクがある。1本2万円で2作品のレギュラーが貰えるようになっても、1クール約50万円から費用が引かれる。賞与は無いが、再放送・DVD化・パチンコ・ゲーム等の目的使用料が入る。例えば、90分の全国公開アニメ映画に出演した場合、ギャラは“2万円×1.9(※時間割り増し)×250%(※劇場版アニメの目的使用料)”という計算式で9万5000円の収入だ。主役に抜擢されても手放しでは喜べない。「イベントの衣装は自前の為、出費が嵩む。業界には“主役貧乏”という言葉があるほど」(業界関係者)。深夜アニメは3ヵ月毎に入れ替わる為、収入は不安定だ。常にオーディションで新人が参入してくる為、競争も激しい。「ある程度の年齢になると、洋画の吹き替えやナレーション等多方面で活躍していけるよう、事務所側が勧める場合もある」(日本声優事業社協議会)。アニメに拘らなければ、カーナビの音声やイベント会場のアナウンス等、声の仕事は数多い。最近は、声優に求められる資質も多岐に亘る。「歌や踊り、イベント出演が前提で行われる声優オーディションが増えている。声さえ良ければいい時代ではなくなった」(日本芸能マネージメント事業者協会)。アイドル声優として脚光を浴びても、イベントの仕事に追われてキャリアを積めず、短期間で使い捨てにされるケースもあるようだ。人気声優ありきで制作される作品も増えており、「売れっ子は数年先までスケジュールが埋まっている。同じ事務所の似た声質の声優を起用してほしいが、受け入れてもらえない」と、ある声優事務所はこぼす。前出の納谷社長は、「数年後には“声優”という職業の境界線が曖昧になり、声の芝居が得意なタレントになっているかもしれない」と語る。アニメの仕事に恵まれなくても、ライブ・DJ・ナレーター等、活躍できる場は広がっている。大手芸能事務所による声優のへッドハンティングも増えてきたが、「オーディション情報は声優事務所じゃないと回ってこない。声優以外の仕事が増えたことを嫌がり、大手を辞め、声優事務所に戻る人もいる」(業界関係者)と複雑だ。声優事務所も、熱狂的なファンへの対応や、アイドル声優のガード、イベント会場での仕切り等に右往左往し、オーディションや売り込みが中心だった従来の仕事内容が様変わりしている。盛り上がる声優ブームに喜んでばかりもいられない。今年3月18日に開催された『第11回声優アワード』。その年度に最も印象に残る声優や作品が表彰されるが、2016年度の主演男優賞・女優賞は、映画『君の名は。』(東宝)コンビが受賞した。表彰された神木隆之介・上白石萌音は俳優であり、声優は本職ではない。これまでも、俳優や芸人が声優を務めたアニメ作品は数多いが、ここにきて存在感が一段と増しているようだ。声優になる夢を叶えるまでの道程は、一段と複雑になっている。 (取材・文/本誌 前田佳子)


キャプチャ  2017年4月1日号掲載
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