【政治の現場・区割り改定】(02) 岩手…元師弟、共闘か対決か

20170801 03
今月8日の三陸沿岸は、夕日が傾いても蒸し暑かった。「どうなんだ。新しい3区で出んのが?」。岩手県陸前高田市議の菅野稔(71)は、市内の『食堂かもん』の座敷に入るなり、民進党衆議院議員の黄川田徹(63・当選6回)の秘書に尋ねた。秘書は、奥に座る黄川田に聞こえぬよう、小声で「誰にもわがんね。党本部が決めることだからさ」と応じた。市内では、2011年の東日本大震災で約1800人の死者・行方不明者が出た。黄川田はこの時、妻・長男・義父母を津波で亡くした。かもんも津波に呑まれたが、海岸線から約1㎞離れた高台に再建された。黄川田は震災前から足繁く通う。この日の出席者は16人を数え、ジョッキに注がれた生ビールが座卓に並んだ。黄川田は立ち上がると、先ほどの菅野の質問が聞こえていたかのように、今後の身の振り方を語り始めた。「私の任期は長くても来年の12月までだが、私は党本部で“お預かり”っちゅうことになっております。焼かれるか、煮られるか、生で食われるか…」。生ビールの白い泡が少なくなっても、ジョッキに手を伸ばす者はいなかった。定数削減を柱とする改正公職選挙法の施行で、岩手県内の選挙区は4から3に減る。陸前高田等旧3区に属していた南三陸を地盤とする黄川田だが、民進党県連は5月、黄川田を内陸部の新3区の総支部長とするよう、党本部に上申することを決めた。

県北部と三陸に跨る広大な新2区の総支部長には、県北部に地盤を持ち、旧2区で2回当選経験のある元衆議院議員の畑浩治(53)を擁立する方針だ。地盤の三陸から押し出された格好の黄川田は、支援者に「新2区では“畑”を“旗”にして頑張れっちゅうことだ」と冗談めかすなど、未練を見せない。ただ、胸中は複雑だ。このまま新3区で次期衆院選に出馬すれば、自由党共同代表の小沢一郎(75・当選16回)とぶつかる。前回衆院選は旧4区で当選した小沢だが、区割の見直しを受け、新3区に名乗りを上げている。黄川田と小沢の因縁は深い。中選挙区時代の陸前高田市は、小沢の強固な地盤で、黄川田の義理の祖父は、小沢の父である小沢佐重喜の熱心な支援者だった。黄川田は2000年衆院選で、当時、自由党(旧)の党首だった小沢に擁立され、初当選した。その後は民主党に移る等、小沢と行動を共にしたが、地元で起きた震災への対応を巡り、黄川田が小沢を批判。2人は袂を分かった。嘗ての師弟が注目を浴びるのは、岩手が民進・共産・自由・社民の4党による“野党共闘”の試金石だからでもある。小沢の側近は言う。「『自由党が新2区で民進党の畑さんを応援しようって時に、民進党県連トップの黄川田さんが小沢一郎と対決するのか?』って話だ」。不協和音は覆い隠せない。民進党岩手県連が先月、盛岡市で開いた県連大会に、共産・自由・社民3党の関係者は招かれなかった。小沢は強気だ。「政権取る為にどうしたらいいかっちゅう話だ。取る為には、野党が1つに纏まらないと勝てない。当たり前のことを、筋道を通して当たり前にやればいいんだ」。小沢は「岩手での野党共闘の成否が全国に影響する」と言わんばかりに、民進党や黄川田を牽制する。小沢が新3区内で配り始めた自由党のポスターには、自身の顔写真と共に“結集”の2文字が躍る。黄川田が下駄を預けた民進党本部の判断は、選挙直前まで縺れる見通しだ。黄川田の身を案じる地元県議からは、「比例だろうと何だろうと、議席だけは確保する取り組みを…」と悲鳴にも似た声が出ている。 《敬称略》


⦿読売新聞 2017年7月21日付掲載⦿
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