【メディア・米国のいま】(下) 偽ニュース見抜く授業

20170801 06
マンハッタンの中高一貫校『デ・ラ・サール・アカデミー』。フェイクニュース対策として、ジャーナリストらで作る非営利組織(NPO)と協力し、社会科の授業にニュースリテラシー教育のプログラムを取り入れていると聞き、7・8年生(※日本の中学1・2年生に相当)の授業を覗いてみた。「この記事がおかしいと思った人は手を挙げて」。講師役を務めるジャーナリストのダマソ・レイエスさん(38・右写真中央)は、「アメリカは1952年に密かにイスラム教を禁止していた」というインターネットサイトの記事を示して呼びかけた。生徒の1人がさっと手を挙げ、イスラム教の聖典『コーラン』の単語を示して、「英語の綴りが間違っている」と指摘した。教室に笑い声が溢れたところで、レイエスさんは「では、合衆国憲法に照らして考えるとどうかな?」と問いかけた。今度は多くの生徒たちから声が上がった。「そうだ、“信教の自由”に反しているよ」「この記事、やっぱりおかしい」。レイエスさんが使ったのは、実際にあったフェイクニュースだ。記事は当時の移民法改正等も踏まえていたが、「事実を鏤めると本物のように見える。自分で情報の出典を調べることが大切だ」と注意した。同校の社会科教論であるエンジェル・ゴンザレスさん(32)は、「情報を客観的に分析する能力があれば、フェイクニュース対策に有効だ」と強調する。

拡散するデマに惑わされず、ニュースを正しく理解できるようになる為に、メディアに何ができるか? 『ワシントンポスト』は、SNSを駆使する10代の若年層に目を向ける。2011年からサービスが始まったスマートフォンの写真共有アプリ『スナップチャット』。利用者数は昨年時点で1億5800万人と、『Facebook』の1割足らずだが、圧倒的に若者が多い。同紙は逸早く、このアプリに専用チャンネルを開設し、専従スタッフを置いて、社内で制作した動画中心のニュースを配信している。その狙いは、できるだけ若い時からニュースに触れてもらうことだ。「利用者層の中心である10代が何を考えているのかを知るのは非常に重要。メディアの未来がここにあることは間違いない」。同紙デジタル部門のトップであるエミリオ・ガルシア・ルイーズ氏(46)は力を込めた。ニューヨーク市近郊のストーニー・ブルック大学は、約10年前から独自のニュースリテラシー教育に取り組んでいる。当初はジャーナリズムスクール向けだったが、全学生向けに改めた。今や、Facebook等でニュースを知人らと共有したり、気軽にニュースを拡散したりできる時代になった。つまり、誰もがニュースの“担い手”となる時代。だからこそ必修科目にした。「メディアの未来の為には、良きジャーナリストを育てるだけでは不十分だ。これからは情報の受け手も、彼らと同等の教育を受けてもらわなければならない」。同大学ジャーナリズムスクールのハワード・シュナイダー学部長(71)は、こうした取り組みを「フェイクニュースに騙されないようにする為の“予防接種”のようなものだ」と語る。ただ、「大学生からでは遅過ぎる」とも感じている。「社会に関心を持ち、スマートフォンを手にし始める年頃がいい。フェイクニュースの“ワクチン”を打つ最適の年齢は12歳からだ」

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ニューヨーク支局長 吉池亮が担当しました。


⦿読売新聞 2017年7月29日付掲載⦿
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