【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(51) 疑似家族だけじゃない? ヤクザとイタリアンマフィアの“共通点”

パレルモは、地中海の真ん中に位置するシチリア島北西部の都市だ。言わずと知れたマフィア発祥の地である。シチリアでマフィアが誕生した原因は、地政学的要素と歴史的背景にある。地中海の真ん中という貿易・軍事にとっての要衝であったシチリアは、有史以来、様々な国から侵攻を受け、支配勢力が度々変わっていった。その為、政治は不安定で治安も悪かった。そこで、自警団的な集合体として誕生したのがマフィアの起源だ。シチリアの住民も、政治的権力より安定したマフィアによる統治を歓迎した。これは、終戦後の荒廃した日本において、近代ヤクザが地域の自治に貢献したこととよく似ている。イタリアンマフィアは、“ファミリー”という疑似家族の形態によって構成されている。ファミリーへの加入には、自身の指を傷付け、流れる血を聖母マリア像に滴らせて燃やすという儀式を行う。この時に、ファミリーの責任者から“血の掟(オメルタ)”と呼ばれるマフィアの掟を教えられるのだ。日本のヤクザも、“盃”という儀式を神前で行う。文字通り、神の前で意思確認をすることで儀式は神聖化されるのだ。このように、イタリアンマフィアと日本のヤクザは、非常に似通ったアイデンティティーを持つと言えるだろう。アメリカへ移民として渡ったイタリアンマフィアが、社会階層の底辺から暴力で這い上がろうした姿も、同じように貧困と差別からの脱却を図ったヤクザとよく似ている。日本のヤクザも、国際社会ではマフィアに分類される。世界中にマフィアは存在するが、イタリアンマフィアとヤクザは、その成立過程と精神性から特に親和性が高い。

日本のヤクザを一気に近代化・合理化させたのは、3代目山口組の田岡一雄組長である。田岡3代目は、日本の高度経済成長を背景に山口組をコングロマリット化させ、巨大組織に育て上げた。一方、イタリアンマフィアの組織構造を近代化させたのはラッキー・ルチアーノである。彼は、イタリアンマフィアの古い風習や非近代的な組織運営を完全否定した。ルチアーノが従来のマフィアと一線を画したのは、積極的に政治と国際紛争に関わることで、麻薬と武器取引を主要なビジネスに育て上げたことだろう。彼は、ビジネスの為には『アメリカ中央情報局(CIA)』とも、キューバ政府や『パレスチナ解放戦線(PLO)』とも手を組んだのだ。紛争地で武器を売り、テロリストが製造した麻薬をヨーロッパで売る。そのカネをロンダリングする為に銀行まで設立したが、それは今でも順調に経営されている。因みに、彼らは“日本進出”さえ果たしているのも興味深い。銀座の一等地にあるオフィスビルは、ニューヨークのファンド会社所有だ。その会社を所有しているのは、ケイマン諸島に登記されたファンド会社で、株主はルチアーノ姓。このルチアーノこそ、ラッキー・ルチアーノの孫である。日本にアメリカのマフィアが上陸したのは1945年、『連合国軍総司令部(GHQ)』による占領と同時だった。先陣を切ったのはアル・カポネの配下で、占領軍相手のカジノや慰安施設の運営に当たった。勿論、GHQの要請によるものだ。このように、日本におけるマフィアの歴史は意外と古い。そして今、アメリカは共和党政権となり、再び日本でマフィアの活動が活発になってきている。「日本の金融システムは安定している。それでいて金融当局は甘い」――。丸の内にある法律事務所で、ユダヤ系の弁護士はこう言った。この弁護士もニューヨーク系マフィアの身内である。“反社”を錦の御旗に、日本の警察はヤクザを不当なほど取り締まるが、実はマフィアのような“海外勢力”も跋扈している。こうした現状を正確に把握する警察関係者を、筆者は知らない。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年8月1日号掲載
スポンサーサイト

テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR