【ドクターXは知っている】(10) コレステロールの“悪者論”と“基準値主義”を疑うべし!

20170802 01
“善玉”と呼ばれるHDLコレステロールと、“悪玉”のLDLコレステロールに分かれるコレステロールについては、リスク評価の議論が続いています。どこまでを正常値とすればいいのか、研究者でも判断が難しいようですが、血液中のLDLコレステロールが増え過ぎると動脈硬化が進行するのは事実。現在、高LDLコレステロール血症の診断基準は、主としてLDLコレステロール値にあり、検査値が140以上の場合は治療の対象とされています。このように基準値が定められているものの、総合内科・循環器専門医の池谷敏郎先生は、「数値だけを基にして投薬するのは間違いだ」と言います。「先ず、男性と女性は分けて考えるべきでしょう。女性は、女性ホルモンのエストロゲンによってLDLコレステロールの代謝が円滑に行われますから、本来、数値はあまり高くなりません。しかし、閉経後は女性ホルモンの働きが無くなる為、自ずと数値は上がります。これは病的なものではないので、投薬治療の必要はありません。ところが、勉強不足の医師は、数値だけを見て『160あるから薬を出しておきましょう』ということになる。数値だけで判断することなく、動脈硬化等他の病気のリスクを調べてから、状況に応じて投棄するのが正しいやり方でしょう。男性は、コレステロール値と動脈硬化が強く関連する為、数値が高ければ積極的な治療が必要となります。その場合も、数値が高過ぎない限り、先ずは生活習慣を改善すべきであり、投薬はそれでも下がらない時の手段です」。

内科医の長尾和宏先生も、「コレステロール値だけを見た女性への投与には違和感がある」と言います。「LDLの高さを気にして、閉経後の女性が来院した場合、念の為に頸動脈エコーをしますが、動脈硬化が無ければ、たとえ200あっても薬は出しません。コレステロール値が高くても、良性であれば問題は無いのです」。実は、「コレステロール値は少し高めでも問題無い場合が多い」という“容認派ドクター”は少なくありません。精神科医で、高齢者医療にも長く携わった和田秀樹先生もその1人です。「特に高齢者では、『コレステロール値が低い人よりも高い人のほうが、自分で買い物に行ける、一定の距離を歩けるといった日常生活能力が保たれる』というデータがあります。また、鬱病予防にもコレステロールは大切。体内の細胞膜やホルモンを作る材料でもありますから、一概に悪者扱いしていると、却って健康を損なうことになりかねません」。前出の長尾先生は、「コレステロール低下薬は年齢に応じた使い方も大事だ」と問題提起します。「スタチンという種類の薬はエビデンスが豊富で、心筋梗塞や脳血管障害の予防に効果があることは明らかですから、特に壮年期の40代・50代で動脈硬化が起きている人は飲んだほうがいい。過去に脳梗塞や心筋梗塞を起こしたことがあるなら尚更です。しかし、80代・90代になったらいらないと思いますね。グループホームに入っている80代・90代の方は、ほぼ全員と言っていいくらいスタチンを飲んでいるし、大学病院でも同じです。ところが、データによると、スタチンを飲んでも死亡率が僅かに下がるだけで、正直な話、効いている実感はありません。現在、問題となっている多剤投与の一因はスタチンであり、使用を減らすべきでしょう」。スタチンは1970年代に日本で開発され、現在は世界各国で使用されている薬です。日本の医薬品開発力の高さを示す薬という訳ですが、医療現場では、個別のケースに応じた適切な使い方が求められています。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃)


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