【シンゾウとの距離・改造前夜】(01) 菅義偉…ポスト安倍の渦中

8月の内閣改造・党役員人事や、次期衆院選のキーパーソンと首相との関係を描く。

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「政権運営には影響しない」――。東京都議選の自民党惨敗から一夜明けた今月3日。官房長官の菅義偉(68・左画像)は、周囲にこう言い切った。党内の動揺を収める為に言ったのか、本心からそう思っているのかは定かでない。菅の発言は常に耳目を集める。都議選後、党内でぴたりと止まった噂がある。来月の内閣改造・党役員人事での“菅幹事長”構想だ。「本人も乗り気だ」との風聞が実しやかに流れていた。結局、首相の安倍晋三(62)が9日、菅の官房長官留任を表明した。「怪文書みたいな文書だ」。菅は5月の記者会見で、学校法人『加計学園』の獣医学部新設を巡って、“総理のご意向”等と記した文書の存在を否定した。安倍に火の粉が降りかからないよう、防衛ラインを遠くに設ける戦略だった。これが裏目に出た。文部科学省の“岩盤規制”に焦点が当たらず、文書の存否に関心が集中。その後の文科省の追加調査で文書が発覚し、菅は“怪文書”発言の修正を迫られた。都議選敗北の一因とも言われた。2012年12月、安倍の首相再登板のレールを敷いたのが菅であることは、衆目が一致する。2014年11月、安倍が前回衆院選から僅か2年で衆議院解散を断行し、圧勝に導いた背後にも、菅の進言が囁かれた。この“小刻み解散”は、「いつ衆議院解散に打って出るかわからない」という議員の恐怖心理に結び付き、安倍の求心力が増した。その後、「政局に不安の芽がある」とみれば、安倍と菅は解散風を吹かせ、その芽を摘む手法を取った。野党や党内の非主流派に付け入る隙を与えない政局運営は、安倍と菅の二人三脚の賜物だ。

問題は次期衆院選の日程だ。安倍の悲願である憲法改正と、3選がかかる来年9月の党総裁選が複雑に絡む。都議選での大敗により、組み立てが難しくなった。衆議院議員の任期は同12月。改憲の発議に必要な3分の2議席を持つ衆議院の議席を減らす危険性を嫌えば、衆院解散は来年の通常国会閉幕後になる。この日程は限りなく任期満了になり、“追い込まれ解散”のリスクが高くなる。2009年8月、当時の民主党に政権交代を許した衆院選を想起させ、自民党内には慎重論も少なくない。菅をみる党内の目は、安倍の支え役としてだけではない。菅が薫陶を受けた梶山静六は、官房長官として仕えた橋本龍太郎が1998年に首相を退陣すると、自民党総裁選に出馬した。次の小渕内閣で官房長官を務め、“陰の総理”と称された野中広務(91)は、2001年の党総裁選で待望論が浮上した。「霞が関の政策と人事を仕切る官房長官を1年もやれば、『自分が政権を動かしている』という思いに駆られる」。官房長官経験者の弁だ。ポスト安倍の本命が不在という事情もあり、菅がいくら打ち消しても首相への意欲を勘繰られる。「毎月やろう」。菅は今春、自身を支持する参議院の無派閥議員の会合で、こう呼びかけた。半年や3ヵ月間毎に開いていた会合の頻度を上げた。5月には、秋田選出の衆議院議員・御法川信英(53)が麻生派へ加入する意向を伝えると、菅は「同じ秋田じゃないか」と冗談めかして翻意を促した。“派閥”活動の目的は、来年の党総裁選での無派閥議員の“安倍票”固めだが、永田町でそれを額面通りに受け止める空気は無い。菅が纏める“安倍票”は、安倍が首相を辞めれば“菅票”にもなり得る為だ。「安倍政権を作った」との自負がある菅は、安倍後を語りたがらないが、その菅もポスト安倍の渦中にいる。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年7月12日付掲載⦿
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