【シンゾウとの距離・改造前夜】(02) 麻生太郎…絶対的な“ナンバー2”

20170803 02
東京都議選から一夜明けた今月3日、副総理兼財務大臣の麻生太郎(76・右画像)は、自民党旧山東派等と合流し、麻生派の新たなスタートを切った。嘗て20人足らずで党総裁選に麻生を出馬させるのがやっとだった派閥は59人と、首相・安倍晋三(62)の出身派閥である細田派に次ぐ第2派閥になった。「野党が力を失う中、党内で2つ以上の大きな派閥が政策論争しなければ、政治に活気を取り戻せない」というのが麻生の持論。「人数に興味はない」とも語るが、他派閥からは「“ポスト安倍”に愈々動き出したか」との声が漏れる。「首相ってのは大変なポストだ。相当な準備が必要。俺はやったことがあるからよくわかる」。麻生は周囲に、「今、その準備をする気は無い。俺が安倍を支える」と話す。麻生にとって、今の派閥拡大は安倍を支える手段。副総理という地位に加え、“数”も手に入れ、政権の“絶対的なナンバー2”の立ち位置を得た。安倍も麻生を頼りにする。ドナルド・トランプ政権での日米関係の見晴らしを良くしようと新設した『日米経済対話』。安倍は日本側トップに麻生を指名した。4日に閣議決定した各省人事では、外務審議官に山崎和之(56)、経済産業審議官に柳瀬唯夫(55)を起用。財務官の浅川雅嗣(59)を続投させた。各省で経済対話の司令塔となるポストに就くのは、何れも麻生の首相時代の秘書官だ。

首相を退いて8年。2012年12月の第2次安倍政権発足から副総理として安倍を支えてきた麻生は、次の内閣改造でも留任の公算だ。ポスト安倍時代もキングメーカーとして影響力を持つ可能性が出てきた。気になるのは、最近感じる党内の嫌な空気だ。絶対的なナンバー2であればこそ、安倍政権が突如、瓦解するような事態になれば、首相のポストが麻生に巡ってくる可能性も高まる。それを警戒する声が俄かに広がる。麻生は、同じ旧宮沢派を源流とする岸田派との合流を探ったが、同派を率いる外務大臣の岸田文雄(59)は、麻生主導の色が濃いことを嫌気して、距離を置いた。前幹事長の谷垣禎一(72)は、自身の自転車事故で入院中に、谷垣派から新麻生派に合流する議員が出たことを知り、病院のベッドで「俺の寝首を掻く気か!」と声を荒らげたという。こうしたムードは、安倍を取り巻く盟友関係にも伝播する。中でも、麻生と官房長官の菅義偉(68)との間合いに耳目が集まる。神奈川県に18ある衆議院小選挙区の内、半数超の10人の衆議院議員が麻生派の所属となった。菅は何も言わないが、周囲は「気にならない筈がない」とみる。麻生にとっても、党内の若手無派閥議員と会食を重ねる菅は気になる存在に映ってくる。麻生が気にするのは、他でもない安倍だ。疑念を生まぬよう、派閥拡大にあたり仁義を通した。「(安倍に)対抗する意図は無い」と説明する麻生に、安倍は「いいんじゃないですか。どんどんやって下さい」と応じた。その安倍も昨年、76歳になった麻生に尋ねた。「西ドイツのアデナウアーは、73歳で首相になって14年務め、辞めて数年後に死んだ。そういう人生って幸せなんでしょうかねぇ?」。麻生が再び首相を狙うのか、探る気持ちはあるようだ。「政権を内部から蝕むのは、いつも互いの疑心暗鬼だ」。安倍の周辺は口を揃える。都議選惨敗で“安倍1強”に陰りが見え始めた今、中枢の些細なすれ違いすら政権内のバランスを崩す芽となりかねない。政権中枢への視線が厳しくなる時こそ、盟友関係の真価が問われる。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年7月13日付掲載⦿
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