【シンゾウとの距離・改造前夜】(03) 岸田文雄…時機を探る慎重居士

20170803 03
「次の総裁選、出るつもりなの?」――東京都議選で自民党が惨敗した直後の首相官邸。外務大臣の岸田文雄(59・左画像)は、首相の安倍晋三(62)から予想外の質問を受け、面食らった。自民党総裁選は来年9月。不意を突かれた岸田は、「出ない、出ない。出る訳ないじゃないですか」と繰り返した。安倍が何故、直截に尋ねたのか、真意はわからない。都議選惨敗で“安倍1強”が揺らいだ局面で、安倍が岸田を意識したことは確かだ。岸田の本音はどうなのか? 今年1月には、「安倍首相時代の後、何ができるか考えたい」と表明した。安倍と直接戦う訳ではない。政権を支え、3選を目指す安倍が退任した後に、“首相の座”を狙うのが基本戦略だ。今月4日、岸田が率いる政策集団『宏池会』の創設60年を記念する会合。岸田は、「今の経済政策における格差といった負の側面に適切に対応」「権力を謙虚に使うことが国民から信頼を得る」と語った。政権批判ともみえるが、ポスト安倍を争う石破茂(60)ほど舌鋒は鋭くない。「もっと踏み込むべきだ」。岸田派内では、若手から不満もある。一方で岸田周辺は、「発信できるギリギリ限界の線」と話す。2012年に第2次安倍政権が発足して以来、岸田は外務大臣で安倍を支え続けてきた。「安倍内閣の一員として政権を支えるのが役目」を口癖に、波を起こさずに来た。

嘗て4人の宰相を輩出した岸田派も、今は党内第4派閥。トップを窺うには、安倍を支える最大派閥の細田派や、財務大臣兼副総理の麻生太郎(76)が率いる第2派閥の新麻生派に気を配らねばならない。麻生が宏池会の流れを汲む勢力の結集に動いた際、岸田は合流を断った。主導権を握られたくないのは当然だが、周辺では「最大派閥の細田派とは喧嘩しない」との意見もあった。慎重居士の岸田の淵源は何か? 岸田周辺は、17年前の“加藤の乱”を挙げる。嘗て宏池会を率いた加藤紘一(※故人)は、当時の首相・森喜朗(80)に反旗を翻し、失脚した。首相の座に最も近い位置にいながら勝負を急ぎ、全てを失った。加藤側近の若手で加藤の乱に関わった岸田は、政治の厳しさを間近で見た。当時については、今も「政治家としての生き方に様々な影響を与えた」と話す程度。多くは語らない。安倍は今年4月の岸田派パーティーで、「岸田さんももっと上を目指してほしいが、もう暫く我慢してほしい」と語った。1強維持へ岸田は取り込み続けたい。来月初旬に迫った内閣改造・党役員人事。岸田は周囲に「党務をしたい」と話してきた。存在感を示すには、外務大臣とは違う立場や自由度が欲しい。岸田周辺からは幹事長職への期待の声もあったが、二階俊博(78)の留任が固まった。「政調会長を取りましょう」。今月11日夜。岸田派若手は焼き肉を囲んだ岸田を焚き付けた。「そんなに甘くない」。岸田は笑って受け流した。政調会長か総務会長か、それとも――。「安倍政権にいるからポスト安倍なんだ。閣外に出たら只の人だ。よく考えろ」。安倍に近いベテラン議員は最近、岸田に外務大臣続投を促した。岸田は迷っていたという。13日午後。岸田は官邸に安倍を訪ねると、「引き続き政権を支えます」と伝えた。「どういう展望を持っているか、よくわからない」。安倍に近い閣僚の1人は14日、岸田を評した。主義・主張が必ずしも近いとは言えない安倍を支えながら存在感を示そうとする戦略が、抱える宿命だ。内閣改造後、岸田の視界は晴れているだろうか? 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年7月15日付掲載⦿
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