【霞が関2017夏】(10) 厚労省イクメン、育休取得3割の秘けつ

子供が生まれた時に取れる育児休業。男女共に権利があるのだが、実際に取るのは女性に偏る。実際、8割以上の女性が取得している。これに対して男性は、昨年度の全国調査で僅かに3.16%(※速報値)。ところが、厚生労働省では30%を超え、子供が生まれた男性職員の内、3人に1人以上が育休を取るという。霞が関では、男性も育休が取り易いのだろうか? 先ず、内閣人事局が纏めた2015年度の国家公務員育児休業取得状況を見てみよう。全体で男性の取得率は5.5%。全国平均よりも高いとはいえ、大きな差ではない。民間企業よりは僅かに取っているという程度だ。イメージ的には勤務日が不規則そうな防衛省や警察庁は、1%台に留まる。公務員の人事制度を管理する人事院は30%を超える。ただ、対象となる男性の数が10人あまりしかいない。意外なところでは、財務省が10%を超える。財務省では、子供が生まれる職員の直属の上司に“育児チェックシート”を配り、部下が育児休業を取れるか、取れないなら何故取れないかを記入させる制度がある。管理者が育休の取得に責任を持つことが、功を奏しているようだ。財務省よりも一際目に付くのが厚労省だろう。対象者が600人以上いて、その内の27%が取っていた。昨年度には更に上がって34.6%になった。これは、同省が少子化対策を所管しており、意識が高いというだけでは実現しない数字に見える。そう思って調べてみると、この背景には1つの取り組みがあった。「ちゃんと育児休暇をとって下さいね」。厚労省では、塩崎恭久大臣が毎月、子供が生まれた男性職員を大臣室に集めて、育休取得を促しているのだ。組織のトップから直に指示される意義は大きい。

省内では、「幹部が休業を勧めることで、かなり取り易くなった」という声があがる。塩崎大臣が2014年に就任する前は、厚労省で働く男性の取得率も10%程度だった。このような取り組みが始まってから、急激に取得率が上がり始めた。経済産業省も、省内で子供が生まれた人を集めた昼食会を開いて、育休取得を勧めているが、取得率は厚労省に比べて大きく見劣りする。塩崎大臣は、所謂“イクボス”。育児に理解がある上司(ボス)という意味だ。厚労省の若手職員は、女性活躍の方策を考える“ジョカツ部”という組織を作り、塩崎大臣にイクボスを宣言させた。ジョカツ部は、「省内の男性育休取得率100%を目指す」とも宣言している。省内の上からも下からも活動した結果、厚労省では男性が育休を取ることへの抵抗感は少なくなり、「休んでいる人の仕事を皆で分担する」という意識も広がっているようだ。認定NPO法人『フローレンス』の駒崎弘樹代表理事は、厚労省の取り組みを「他の省庁、更には民間企業にも広げてほしい」と話す。政府は、男性の育休取得率を2020年までに国全体で13%にする目標を掲げるが、その実現は、社内でのこんな意欲的な取り組みにかかっているのかもしれない。実は、男性の育休にはもう1つの課題がある。休む期間だ。この課題は中央省庁だけでなく、民間にも通じる。女性は半数が育休を1年以上取得する等、生まれた子供の世話の為に長く休むことが珍しくない。これに対し男性は、国家公務員の場合で半数が1ヵ月以下だ。中には1~2週間といった人もいる。昨年、育児・介護休業法が改正され、最長1年半だった育児休業期間が2年まで延長されることが決まった。「家で長い期間、面倒を見てもらえれば、保育所に入れない待機児童も減る」と、地方自治体が延長を強く要望した為だ。一方で、「女性が長く休むだけに留まるのではないか?」との疑問も出ている。 (矢崎日子)


⦿日本経済新聞電子版 2017年7月25日付掲載⦿
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