【変見自在】 真由子の真実

目に見える老化がある。数年前のよく晴れた日だった。庭に出ようとしたら、右から蚋みたいな小虫が目に飛び込んできた。咄嗟に目を瞑る。ぶつかった気配はなかった。そっと目を開けて驚いた。目に小虫が張り付いている。洗面所にいって目を洗う。それでも取れない。妻が覗き込む。首を振って、「歳だし、飛蚊症じゃないの」と冷たく言い放った。眼医者も同じ意見で、老いるとガラス体が歪んでその部分が黒い点になる。それが飛蚊症だが、「歪む瞬間を目撃したのは多分、世界で自分が最初ではないか?」と思っている。感触で老いを知ることもある。雨の降り出しは、路面にできる雨粒の滲みで知る。老いると、最初のポツリを頭頂部で知る。髪が細くなって頭頂部は疎らになる。雨粒が直撃し、時にぴちゃっと音も聞こえる。老いを強烈に実感させる。ただ、これは2年前に騙されたと思って使い始めた『持田製薬』のシャンプーが解決してくれた。髪が太くなり、頭頂部の毛も増えた。今は雨粒を直に感じなくなった。そんな改善があったところで、豊田真由子議員の「この禿ぇぇ」を聞いた。あれは、心配を持つ男性には最も聞きたくない言葉の1つだ。例えば、韓国に謝罪して見せたりする冷静な百田尚樹氏ですら、「あの一言で彼女を絶対許せなくなった」と言った。「あの秘書はどの程度の禿なのか知りたい」という人も結構いた。後退型なのかザビエル型なのか? 進行度はステージいくつになるのか? 自分と比較して彼女を許せるかどうかを考えたいのだろう。因みに、情報では、あの秘書はほぼ真正の禿で、以前は鬘を被っていたという噂もある。彼女の発言には概ね誇張は無いと思っていい。

で、あの一連の報道だが、こちらはシャンプー効果もあるから、偏見なく公正に事態を見つめられた。彼女は桜蔭から東京大学を出て、ハーバードの大学院にも行った。そして中央官庁の役人から代議士に。大変な才媛だ。「彼女は傲慢だ」という声を聞く。周りの男が馬鹿に見える、それが態度に出るとか悪評は言う。しかし、男だってそんなコースを歩めばもっと傲慢になっていないか? 彼女の歩みの半分も歩いていない舛添要一の傲岸さを見れば、よくわかるだろう。未だ彼女のほうがずっと可愛らしく見える。翻って、秘書のほうはどうか? 手紙を手配させれば47通も宛名を間違え、運転手をやらせれば訪ね先にも行きつけない。舛添だったら同病だから「この禿ぇぇ」とは言わないけれど、即座にあの前で噛みついただろう。秘書としては決してできるほうではない。彼女はそれでも政策秘書として雇い続けてきた。内面如菩薩に見えなくもない。あの秘書を許せないのは、隠れて録音を取ったことだ。隠し録りをやる者に真面なのはいない。知られたところでは、朝日新聞の本田雅和だ。「安倍晋三がNHKに圧力をかけた」という話を捏造した男だ。個人的な話だが、同じように隠し録りをやられた経験がある。発端は、上司に当たる男が嫌がらせでこっちの取材先を外部に漏らし、それで訴訟に巻き込まれた。皆の前で彼を卑劣漢と語った。暫くして「2人だけで話したい」と猫撫で声で挑発してきた。再び彼を詰った。彼はそれを録音して、当時のグループ会長に送った。「規律を乱す。更迭がベター」の添え状付きで。後に産経新聞社長となる幹部が調査して、会長が処分を下した。「以後、上司をお前と呼んではならない」。あの時の上司の猫撫で声が、彼女を激怒させた秘書の声音と酷似する。あれは人を嵌める時に出す特殊な声だ。彼女は嵌められたのだ。あの即興ミュージカルで見せた彼女の才気・語彙の豊かさ・声の張り。人材難の保守陣営には捨て難い素材に見える。自民に再考を望みたい。


高山正之(たかやま・まさゆき) ジャーナリスト・コラムニスト・元産経新聞記者・元帝京大学教授。1942年、東京都生まれ。東京都立大学法経学部法学科卒業後、産経新聞社に入社。警視庁クラブ・羽田クラブ詰・夕刊フジ記者を経て、産経新聞社会部次長(デスク)。1985~1987年までテヘラン支局長。1992~1996年までロサンゼルス支局長。産経新聞社を定年退職後、2001~2007年3月まで帝京大学教授を務める。『高山正之が米国・支那・韓国・朝日を斬る 日本人をますます元気にする本』(テーミス)・『アジアの解放、本当は日本軍のお陰だった!』(ワック)等著書多数。


キャプチャ  2017年8月3日号掲載
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