井岡一翔の脱税疑惑に村田諒太の不当採点騒動…“総亀田化”する日本プロボクシングの惨状

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5月20・21日に2日連続でプロボクシングをゴールデンタイム中継したフジテレビの視聴率(※『ビデオリサーチ』調べ・関東地区)は、初日が前半9.5%、後半17.8%、翌日が前半8.2%、後半9.7%。突出している初日後半は、ロンドンオリンピックの金メダリスト・村田諒太(※ミドル級・右画像)の世界初挑戦で、数字は当然、時間帯トップ。それ以外も3位で、苦戦が続くフジにとってはかなりの朗報だった。2夜連続放送の懸念を覆す成功と言えるが、村田の判定負けの採点に異議を唱える声が多数で、ボクシング自体へのイメージダウンも大きく、ネガティブな要素も残った。村田が所属する『帝拳ジム』の本田明彦代表は「ボクシング界の信頼を損ねる」と激怒したが、抑々、この世界に信頼なんてあったのか? ボクシングや格闘技の興行は、あくまで“金儲けの為の見世物”というヤクザな世界であり、元は暴力団が取り仕切っていたもの。近年、ヤクザは排除されつつあるが、その世界観は変わっておらず、あらゆるところに不正が見え隠れする。八百長やドーピング等の絶対悪を除いても、スター選手を保護する為の特例措置や不公平な采配は珍しくない。嘗て亀田三兄弟も、採点疑惑や姑息なマッチメイクに批判が巻き起こった。その原因は全て“カネ”にある。タイトルを管理する団体は、高い承認料を積まれれば格下の対戦相手との試合を認めるし、期間中にジャッジやレフェリーの世話をするのは興行の主催者だから、接待は“暗黙の了解”だ。こうした悪習をできるだけ排除し、競技性を守る為に必要なのは第三者の介入で、ボクシングであればコミッションがそれを担うが、これも業界では決して強い立場にはないのが実情だ。

アメリカではコミッションが行政機関の下にあり、一定の強い権限が与えられているが、日本では興行を主催するプロモーターこそが神である。そして、その金儲けを手助けする最大のパートナーがテレビ局だ。テレビ局は基本、全ての番組を時間通り放送する為に“台本”を作る。スポンサー企業がお金を出して番組予算を立てるので、CM放送の時間枠を計算しておくのが仕事の柱となる。その為、本来なら勝敗の予測がつかず、アクシデントもある生放送の試合中継はコンテンツとして不向きで、リスクが高い。野球やサッカーであれば、競技自体が人気を持っている為に極端に上下はしないが、格闘技系は選手の人気に大きく左右される。強くても試合がつまらない地味なファイターでは視聴率は獲れず、局は人気選手のみゴリ押しして、別の形で“予定調和”を作り出すのだ。10年前に亀田三兄弟が誇った高視聴率は、彼らが人気者だったのではなく、TBSによるゴリ押しがあまりにも酷い為に、「八百長をしているのではないか?」と反発する“アンチ”が増えたことで数字を伸ばした皮肉なものだった。但し、TBSといったテレビ局にしてみれば、亀田が正統だろうが異端だろうが関係なく、“視聴率さえ獲れれば文句無し”という土壌ができ上がっていた。今、その路線を受け継いでいるのが、同じくTBSが売り出している井岡一翔だ。当初は“ボクシング界のニューホープ”としてファンが期待した存在だったが、今や亀田的な手法によって、“イオカメダ”という不名誉なニックネームが付けられるほど。その試合は、時間を引き延ばして視聴率稼ぎしているとさえ思われている。井岡は、元2階級制覇の世界チャンピオン・井岡弘樹氏を叔父に持つサラブレッドとして、アマチュア史上3人目の高校6冠を達成。2009年に弘樹氏の運営する『井岡ジム』からプロデビューした。3戦目で世界ランカーを下した井岡は、「強い選手とやってボクシング界を盛り上げたい」と語り、ジム会長の弘樹氏も「かませ犬とはやらせない」と公言していた。しかし、それは長くは守られなかった。2011年のデビュー7戦目では、当時、無敗のWBC世界ミニマム級王者であったオーレイドン・シスサマーチャイをKOし、当時の国内最速記録を更新する世界王座獲得となったが、この勝利には“注釈”が必要だった。井岡は本来ならばライトフライ級だったところ、減量して最も選手層が薄いミニマム級を狙ったのだ。3度目の防衛戦では、WBA王者の八重樫東との統一戦に勝って、高い実力は証明したが、一定の人気が出るや、井岡はあからさまに“TBSの犬”と化した。翌2012年、本来のライトフライ級で2階級制覇を果たすも、そのマッチメイクはまさに“亀田流”。当時のWBAチャンピオンは無敗の超強豪であるローマン・ゴンサレスだったところ、WBAがゴンサレスを“スーパー王者”に格上げして、無理にチャンピオンの空席を作成。井岡は5位の選手と王座決定戦に出て勝利。その上にゴンサレスがいるのに、“2階級制覇”等とは良く言えたものだった。WBAは翌年、この2人のチャンピオンに対戦の指示を出したが、井岡サイドは回避を申し出たのである。ある関係者によると、「井岡陣営がゴンサレス側にカネを払って対戦回避を許してもらった」という話で、井岡が強い相手から逃げたことにファンの批判は急増。しかし、TBSはそこには触れず、試合中継で井岡を絶賛し続ける為、更に開き直ったマッチメイクに拍車がかかっていった。

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井岡ジムがそのテレビマネーに浮かれ出した頃、不審な事態が起きた。トレーナーの父親である一法氏(※左画像右)が、新たに『井岡ボクシングジム』を設立して独立。元の弘樹氏によるジムは、『井岡弘樹ボクシングジム』と名前を変えた。このジム分裂の真相は後述するが、井岡はその後、フライ級で3階級目の王座獲得をしても、やはりその上のスーパー王者とは対戦しようとはしなかった。更に昨年の秋、井岡に持ち上がったのが“脱税”と“療養費詐欺”の疑惑だ。これが報じられて以降、井岡ジムは主催興行を別のジムとの共催に変えており、これは“万が一の際”に興行中止になったりしないよう対策を取ったと見られている。この2大疑惑は『週刊新潮』が報じたもので、『マルサに踏み込まれた3階級制覇チャンピオン 井岡一翔の金箔豪邸』(2016年9月29日号)『巨額脱税 井岡一翔父親に整骨院療養費詐欺疑惑!』(同10月13日号)と題された。前者は、一法氏が巨額脱税の捜査対象となっているというもの。国税局関係者の証言として、一法氏が代表を務める興行会社『一伸』が、チケット売り上げの大半を所得として申告していなかった疑いがあり、所得隠しの総額は7年前まで遡ると5億円にもなるとしている。一法氏が数億円かけたと言われる豪邸を建てているのに、銀行が融資をした痕跡が無く、費用をキャッシュで賄ったことも疑惑の一端。更に記事では、弟・弘樹氏の妻である絵美さんが、チケット販売で支払った額より少ない金額の書類を渡されたとする証言もしていた。既に国税局は、一法氏の愛人宅等関係先に踏み込んで、数千万円の現金を発見したと伝えられ、これに一法氏は「今、修正申告やっている最中」と答えている。

もう1つの詐欺疑惑のほうは、ジム内に併設された『ふれあい整骨院』で、患者を偽装し、健康保険組合から支払われる療養費を騙し取った疑いがあるというもの。一法氏の知人の下に身に覚えのない医療費の通知が届き、毎月のように施術を受けたことになっていたという。この知人は、以前にジムを訪れた時、「毎回保険証を持ってくるのは面倒臭いやろ?」と言われ、保険証のコピーを渡していたという。一法氏は一連の不正を否定しているが、大阪府警が情報を得ていることも記された。週刊新潮は日頃、ボクシングに詳しい記事を掲載している媒体ではなく、そこに証言者として絵美さんが出てくるのは、先のジム分裂と密接に関係していた。謂わば、身内のお家騒動で疑惑の一端が漏れた部分もありそうなのである。というのも、昨年の大晦日、井岡一翔の防衛戦が行われた京都での興行で、リングサイド席にいた絵美さんに対し、一法氏が所属選手の元東洋太平洋王者・山本隆寛に指示して羽交い絞めにさせ、会場外に連れ出すというトラブルがあったのだ。これは当日の前座試合中に起きており、一部の観客や関係者も目撃。複数の関係者に聞いたところ、「以前から両者の関係はかなり悪化していた」というから、それがジム分裂の真相でもあった訳だ。「一法さんは数年前、絵美さんに向かって椅子を投げて、それがパソコンに当たって壊れたことさえあったんです」(関係者)。その対立はさておき、若しも脱税&詐欺疑惑が事実なのであれば、テレビ局に推された世界チャンピオンを擁する有力ジムが、犯罪によってカネを得ていたということになる。コミッション規約には、こうした反社会的犯罪に対してジム資格を失う可能性も書かれており、重大な問題だ。にも拘わらず、スポーツマスコミは一切触れないという奇妙な様相になっている。この村社会には抑々、ジャーナリズムなど存在しない。臭いものには皆で蓋をする世界である。信頼などある訳もないのだ。TBSやスポーツ紙に至っては、まるで共犯者と言える関係ですらある。井岡の前回、4月23日の防衛戦は、日曜のゴールデンタイムに組まれ、視聴率は12.9%(※ビデオリサーチ調べ・関東地区)だった。そのことをスポーツ紙が“高視聴率”と持て囃したが、これは正確ではない。正しい数字は、番組の前半が7.1%、後半が12.9%。井岡の試合は19時から2時間の番組中、最後4分の3にあたる20時22分開始であることが決まっていた。1ラウンド3分、インターバル1分で計算すれば、9ラウンドあたりで放送枠の21時を過ぎて延長する見込みだった。

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そうなると、本来なら21時から始まる予定だった人気ドラマ『小さな巨人』を観ようとしていた視聴者がチャンネルを合わせる。こちらのドラマは13%(※同)で同時間帯2位の視聴率だったから、その分を井岡のものと錯覚させる手法だった訳である。実際、井岡はこの試合で格下相手に異様なほどKOを狙わない安全運転で、フルラウンドの試合を展開。まさにダーティービジネスだ。一連の疑惑について、渦中の一法氏に見解を聞こうと、4月中旬から連日に亘って電話をかけたが、ジム側は「こちらには来ていません」と言うばかり。「では何時頃に来ますか?」と聞いても「わからない」の繰り返し。別の連絡先を聞いても教えてもらえなかった。そこで、身内である絵美さんに連絡を取ると、「私は全然隠すことも何もないですし、全部本当のことを喋っても私が不利になることはひとつもない」と、全面的に取材に応じてくれた。「同じ井岡一族として、経営のほうも同じようなことをやっていると思われてしまうじゃないですか。このままだと私たちも巻き添えになってしまう」と、自分たちのジムを守る危機感からだという。「一法さんは、ドラえもんでいうジャイアンみたいな人で、主人(※弘樹氏)に対しても脱税の件で責任をなすりつけようとしてきたんです。『売上の一部をこっちで隠していたという風に言ってくれ』みたいなことを頼まれました。国税に対して主人に嘘を吐かせようとした訳です。そんなことをしたら、私たちも脱税に関与してしまうことになる。だから、私は『そんなんできません』と伝えたんです」。何と、決裂の原因の1つは、一法氏が捜査への隠蔽工作を断ったからだというのだ。「一法さんは口が上手いんで、主人に対しても洗脳しようとする。やっぱり兄弟なんで、主人も『可哀想かなぁ』って思ってくるじゃないですか」。弟の弘樹氏を利用する一法氏を食い止めていたのが絵美さんだった訳だ。

結果、絵美さんは一法氏にとって邪魔な存在となり、大晦日の“羽交い絞め事件”に至ったようだ。「会場に行ったら、『お前、いらないから帰れ!』と一法さんに怒鳴られて…」。当初は、この暴行について警察に被害届を出そうとしたというが、身内のことでもあって取り止めたという。ただ、過去にもトラブルは多くあり、「10年以上前から皆、色々やられていて、でも、誰も反論もせず、泣き寝入りしてきた」という。「私は仕方なく、防御する為に、こうしてお話ししているんです。そうじゃないと、いつまでもやられるだけじゃないですか。あの人と私たちとは、生き方自体が全く違います。できるだけ真っ当に生きていこうとしているか、そうではないか、そこの生き方が根本的に違うのです」。結局、ボクシング興行の世界というのは、リング上の熱い戦いの裏でダーティーな行為をする人間も多く、それに抵抗するのは並大抵のことではない。メディアがそれを一切伝えないことも、その原因だ。5月20日の村田の世界タイトルマッチは、抑々同じ階級にスーパーチャンピオン(※無敗のゲンナジー・ゴロフキン)がいるのに、王座決定戦がマッチメイクされており、これまた試合の組み方自体は“亀田流”。試合直後、WBAのヒルベルト・メンドサ会長は、「自分の採点は村田の勝利だった」としてジャッジを非難。本来ならルールで禁じられている即再戦を指示した。しかし、これもおかしな話で、採点はプロのジャッジが判断したものだ。それを、協会会長1人が会議もせずに、「俺の採点は違った」と覆すのだから、あまりに軽々しい。「メンドサ会長は嘗て、父親の下で修行していた時代、村田所属の帝拳ジムの接待で日本に長期滞在していたことがある人ですからね。興行の主催者は、その帝拳ジム。カネを払う日本の大手ジムに怒られたから、慌てて取り繕ったんでしょう」(業界関係者)。まるでヤクザ組長へのご機嫌伺いである。この採点についても、帝拳はこれまでWBAではなく、途中で公開採点のあるWBCを主体に組んできたから、経験不足な点があった。当然、メディアはそういったことは伝えず、“組長”のご機嫌取りで「不当採点だ」とばかり報じている。救いは、敗者の村田がこの敗戦を受け入れ、「もっと打てる場面があってもよかった」と清々しく語っていたことだ。汗をかく選手に罪は無い。それを手玉に取る連中が、あまりにこの業界を私物化し過ぎていて、誰もそれを指摘しないのは異様という他ない。絵美さんの言った「できるだけ真っ当に生きていこうとしているか、そうではないか、そこの生き方が根本的に違う」というのは、一法氏のみに当て嵌まることではないように思える。常識人が悪者扱いされるなんて、公平なスポーツマンシップとは程遠い世界ではないか。 (取材・文/編集プロダクション『NEWSIDER Tokyo』 片岡亮)


キャプチャ  2017年7月号掲載

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