【東京五輪後の地方経済を読み解く】(11) 2020年東京五輪後、五輪競技開催地から破綻する!?

総額3兆円超――。2020年東京オリンピックの費用負担を巡り、国と東京都、地方の押し付け合いが始まっている。元々は国・東京都・組織委員会(『東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会』・森喜朗会長)が負担という話だったが、予算が逼迫している政府側も、麻生太郎財務大臣は「東京オリンピックは“日本オリンピック”ではない」「東京都と国際オリンピック委員会で協議してもらうのが一義的なことだ」と述べ、国の費用負担に消極的な姿勢を示した。かといって、年間予算は約13兆円に上る東京都とて、余裕がある訳ではない。また、オリンピックの開催にあたっては、組織委員会の権限が不明確で、コストマネジメントの意識も低く、費用も膨張し始めたという問題がある。組織委員会の権限が不明確な点は以前から指摘されており、2015年12月には『トヨタ自動車』の豊田章男社長が組織委員会の副会長職を辞任したこともある。その理由は不明だが、それまで豊田社長は公式エンブレムの白紙撤回問題を受けて発足した改革チームを率いていただけに、「組織委員会の内情に嫌気が差して辞めたのではないか?」と見られている。東京都政に詳しいジャーナリストは、こう解説する。「抑々、オリンピック開催決定時に国と都が費用負担を決めなかったのが問題です。新国立競技場を都が500億円負担する話も、元々、2016年晴海計画で当時の石原慎太郎知事と森会長が内々で話していた話なのです。何故か『2020年大会でもこの負担の話が生きている』と組織委員会が持ち出した為、当時の猪瀬直樹知事が反発。事態が拗れ始めた。組織委員会側が猪瀬知事と話を纏めようとした矢先に、猪瀬知事は金銭スキャンダルで辞任してしまい、その後の舛添要一・小池百合子と知事が次々代わる中で、組織委員会の森会長のワンマンぶりだけが力を持ってしまった。森会長としては、『自分は国から指名を受けた組織委員会の会長なのだから、地方自治体の東京都は従うのが当然』という考え方。しかし、今や地方自治体は予算が不足しており、国のいうことなど聞いていられないというのが実情なのです」。つまり、1964年の東京オリンピックの感覚で、「自分たちのコスト管理がザルでも国や自治体が負担してくれる」という古い考え方(※組織委員会)と、予算の余裕が無い中で、選手村から半径8㎞に競技会場を集中させる“コンパクト五輪”を目指したい東京都の対立の構図なのだ。

20170807 03
「小池百合子知事が掲げる“大会運営の透明化”を目指す東京都は、組織委員会に対し、収支に対する都の調査権限が強まる“監理団体”の指定に応じるよう要請をしていますが、組織委員会側は既に国際オリンピック委員会(IOC)から強い関与を受けていること等を理由に、都の監理団体化に難色を示しています」(同)。2013年1月に招致委員会がIOCに出した立候補ファイルでは、“コンパクト五輪”を前提に、会場の整備費は「仮設施設は組織委員会、常設は(主に)東京都」と明記されていた。ところが、組織委員会が受け持つ仮設の予算がオーバーし始め、約5000億円とされる組織委員会予算内で賄い切れなくなってきたのだ。東京都内で開催するコンパクト五輪の筈が、いつの間にか“広域開催”に様変わり。負担も広域負担へと拡大しつつある。「東京都が言うことを聞かないのであれば、東京都以外の自治体に負担してもらおう」と、問題は実際の“開催地負担”の方向に動きつつある。小池百合子知事が選んだ調査チームも、開催地負担に言及している。東京オリンピックの競技は、都以外に北海道・宮城県・千葉県・埼玉県・神奈川県・静岡県の6道県で開かれる。開催地負担の動きに、この6道県は猛反発。緊急要請を行った。「費用負担が未解決なのは異常な事態。このままでは、大会開催に支障が生じかねないと危惧している」「恒久施設は自治体、仮設は組織委員会としか聞いていない。そうじゃないなら、開催自治体を含めた協議の場を作ってほしい」と語るのは、神奈川県の黒岩祐治知事だ。神奈川県は、『横浜国際総合競技場』(※サッカー)・『横浜スタジアム』(※野球、ソフトボール)の他、江の島がセーリング競技の会場となるが、憶単位になるとみられる大会期間中の漁業補償をどこが負担することになるのか、不明確なのだ。神奈川県の年間予算規模は2兆円と大きくない。

年間予算規模は8000億円(※震災予算を除く)と小さい宮城県も、『宮城スタジアム』がサッカーの候補地だが、オリンピックの基準に合わせる為には、現在のスタジアムに照明器具や大型スクリーンを増設する必要があり、村井嘉浩知事は「これらの整備費が数十億円になる」と試算しているのだ。「実は、費用負担な等は、2015年11月に設置された都・組織委・競技会場所在自治体による“関係自治体等連絡協議会”で検討する予定でしたが、舛添氏の途中辞任や小池氏の開催計画見直し提言が重なり、作業が大幅に遅れており、1年間開催されていないのです。こうした流れに宮城県は負担が大きく、強い反発の声が出ているのです」(地方財政に詳しいジャーナリスト)。バスケットボールとサッカーの2会場を抱える埼玉県も、客席を車椅子対応にする等、改修の要望が出てくる為に、職員配置や予算措置等の影響を懸念する。『幕張メッセ』(※フェンシング、レスリング、テコンドー)等で競技が行われる千葉県も、「仮説の費用は組織委員会が負担する」との説明を受けて、関連予算として4年間に最大180億円を見込んでいる(※仮設の費用は含んでいない)。こうしたオリンピック施設は、レガシー(遺産)とは言いながら、嘗ての長野オリンピックのハコモノのように、財政に負担をかけた廃墟になりかねない。「長野オリンピックでは莫大は借金に苦しめられます。大会運営費は1093億円で、これ自体は黒字に終わりましたが、施設整備費1300億円、道路2000億円等の資金を投入し、大幅な赤字でした。長野県は実質公債費率20%超となり、公債発行が制限されました。長野市も苦しめられます。1992年度に127億円だった長野市の市債借入額は、1993年度には406億円と3倍強となり、1992年度は724億円だった市債残高は、開催年の1997年度には1921億円まで膨らむのです。市債の元利返済額である公債費は、1992年度の76億円から増え続け、ピークの2004年度には229億円に達し、最近まで200億円を超える高水準で推移していたほどです。また、長野市内に新設された競技施設は6施設あり、第三セクターを中心に大会施設を運営してきましたが、年9億4000万円超という維持管理費が発生しました」(同)。また、これらの施設は、建設から30年程度が経過する2025~2030年頃には、多額の更新コストが発生することが見込まれている。レガシーが財政を圧迫するのだ。国と東京都、組織委員会の押し付け合いに、“開催地負担”という形で近隣県が巻き込まれる。組織のマネジメントができていないが為に、責任を押し付け合う――。まさに、これまでの30年の失敗と同様のことが繰り広げられている訳だ。 (取材・文/本誌編集部)


キャプチャ  キャプチャ

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

都知事失格/舛添要一【1000円以上送料無料】
価格:1404円(税込、送料無料) (2017/8/6時点)

[商品価格に関しましては、リンクが作成された時点と現時点で情報が変更されている場合がございます。]

遺書 東京五輪への覚悟/森喜朗【1000円以上送料無料】
価格:1620円(税込、送料無料) (2017/8/6時点)

スポンサーサイト

テーマ : 地域のニュース
ジャンル : ニュース

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR