【有機EL&半導体バブル】(07) 『ジャパンディスプレイ』、周回遅れで開発加速へ

20170807 11
スマートフォン向け有機ELで独り勝ちの『サムスンディスプレイ』を横目に、『ジャパンディスプレイ(JDI)』は液晶の機能を向上させる戦略で対抗してきた。しかし、この戦略はマーケット動向を見誤った教命的な判断ミスだった。「スマホの有機EL化への流れは止まらない」(『ディスプレイサプライチェーンコンサルタンツ』の田村喜男氏)中、今年度になって有機EL開発に軸足を移した。独自技術で捲土重来を期すが、先行きは不透明だ。JDIは有機ELの研究開発は進めてはいたが、技術的課題から量産化には至っていない。液晶の機能強化で薄型化や省電力化を進めており、今年1月にはプラスチック製の“曲がる液晶パネル”を開発し、有機ELに対抗する姿勢を見せていた。しかし、昨年からスマホメーカーで有機ELへの需要が急増。JDIの重要顧客である『Apple』が今年、サムスンディスプレイに有機ELパネル7000万枚を発注し、来年には『LGディスプレイ』にも発注することが既定路線となりつつある。結局、JDIは戦略転換に追い込まれた。有賀修二社長は、「スマホメーカーにとって有機ELが魅力的な商品になっている。大きなトレンド」と認めざるを得なかった。電機業界のトップアナリストだった佐藤文昭氏(『産業創成アドバイザリー』代表)は、「後発のJDIは、サムスンより高品質の製品を低コストで製造するラインを作らなければ意味がない」と指摘する。

JDIが起死回生の策に見込むのが、独自の蒸着方式だ。技術が確立すれば、サムスンやLGの方式に対して、高い生産効率・高精細・設備面積が小さい――といった利点が実現できる。JDIは、量産技術が確立すれば、中国等のディスプレイメーカーに技術を供与して、ライセンス料を取る新たなビジネスモデルも描く。その独自技術による有機ELは石川工場で試作しており、「性能では他社に追いついている」(有賀社長)。但し、畳大のパネルから数枚が取れるのみの“開発”と、年間数千万枚を供給できる“量産”では、難易度が全く違う。有機EL材料を畳大のパネルに傷無くムラ無く蒸着するのには、技術が必要だからだ。今後、茂原工場(千葉県)に量産ラインを作り、“2018年上期の量産開始”を謳ってはいる。しかし有賀社長は、「量産知識が無いので練習みたいなもの。本格的に量産するのは2019年か2020年」として、2018年中のAppleへの供給は不可能と認めている。サムスンでも5年以上はかかったという量産化の壁が、JDIの前に立ちはだかる。JDIは、『日立製作所』・『ソニー』・『東芝』の中小型液晶(※スマホや車載向け)事業が統合して、2012年に発足した。一方、ソニーと『パナソニック』の有機EL開発部門が統合してできたのが『JOLED』だ。医療用等の中大型有機ELを開発はしているが、量産の実績は無い。両社とも、『産業革新機構』の出資を受けている。また、JDIはJOLEDに15%を出資して、技術の情報交換等に役立てていた。昨年12月、革新機構は、①JDIにJOLEDの株式を譲り渡して完全子会社化させる②JDIに750億円を上限とする追加支援を行う――ことを明らかにした。革新機構は「有機ELの技術革新と、新たなビジネスモデルの構築に取り組み、産業構造の革新を目指す」と説明するが、苦境に喘ぐ両社救済の色合いが強いスキームとなった。 (取材・文/本誌 種市房子)


キャプチャ  2017年6月13日号掲載
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