【Test drive impression】(32) 『トヨタ自動車 カムリG レザーパッケージ』――アメリカで15年連続乗用車販売台数1位のカムリが新型に!

『トヨタ自動車』の最上級FFセダンとして、1982年に販売を開始した『カムリ』。その後、1990年代にグローバルミッドサイズセダンとして世界に展開されると、2015年の世界累計販売台数は1800万台を超えた。日本ではセダンが不人気で存在感は薄いが、アメリカでは“食パン”や“バニラアイス”に例えられるほど、日常生活に無くてはならないものとして認識されている。その証拠に、カムリはアメリカの乗用車部門で15年連続販売台数ナンバーワンを獲得するほど、活躍しているのだ。大ヒットモデルの新型となれば、保守的な変更に落ち着きがち。しかし、今回のカムリは「前例の無い変革」と開発陣が口にするように、ちっとも保守的ではない。今回のカムリは正真正銘の新型で、土台となるプラットフォームから内装やエンジン等、全てが一新されている。最も変貌を遂げたのはスタイリングだ。安定感のあるセダンから、クーペ的な色気を滲ませるモデルへ。ボディーサイドに回り込むヘッドライトに加え、大開口グリルは水平方向に大胆に刻んだフィンが低く、ワイドな構えを強調している。デザイナーの思い入れが強く伝わるのが、ルーフからリヤエンドに流れ落ちるクォーターピラーの美しい曲面と伸びやかなサイドシルエットで、厚ぼったいセダンのイメージを払拭している。

このクラスのFFセダンには『日産自動車』の『ティアナ』や『マツダ』の『アテンザ』等が存在するが、それらと比較すると、カムリは“男気”と“色気”を併せ持つセダンと言えるのではないだろうか。絞り込んだシルエットはスタイリッシュに見えるが、気になるのは車内の快適性。低床化したカムリは乗員のヒップポイントを後方に低く配置して、セダンに相応しい頭上空間と、後席の膝回りにも足が組めるほどの広さを確保している。日本ではハイブリッド車のみが販売されるが、専用のバッテリーは従来の後席後方から後席下に移設。後席の背もたれは2分割式で倒せるので、長尺の荷物も積める。バッテリーの移設で荷室の奥行 きは従来よりも+190㎜増え、荷室幅は+50㎜も広がった。9.5インチのゴルフバッグが4つ+αの荷物が積める点は、ゴルファーにとって朗報ではないか。インパネ周りに注目してみると、右ハンドルと左ハンドルを造り分けるモデルにしてはかなり凝った造りと言える。ナビ周りのY字カットはシフト付近まで繋がる一体構造。化粧パネルは寄せ木調の他に、宝石のタイガーアイをイメージした素材が用意され、銅板を削り出したような艶感と立体的な凹凸を与えた造りだ。2眼メーターは、中央に7インチのディスプレイを配置。トヨタのハイブリッド車らしく、右側に速度計、左側はパワー、エコ、チャージのパワーフローを示すアナログメーターが配置される。純正カーナビは、ブラックのフラットパネルにモニターを理め込む体裁となるが、操作系は特に新しさはない。

ただ、スイッチにモダンな書体が採用されていたり、青白い間接照明がさりげなく仕込まれていたりするので、夜間のドライブでは先進感とおもてなし感を齎す光の演出が期待できそう。内外装や実用性が共にレベルアップしたカムリだが、走るほどに引き込まれるクルマに仕上がっていたこともお伝えしておきたい。カムリには、『プリウス』等で定評を得たTNGA(トヨタニューグローバルアーキテクチャー)の思想を採り入れた最新のプラットフォームが採用されている。低床低重心の設計は、美しいプロポーションを実現するだけでなく、走行安定性に効果を齎す。搭載するパワーユニットは、マツダの“スカイアクティブ-G”も真っ青の優れた熱効率と高出力を実現した新開発の2.5リッターエンジンにモーターを組み合わせたもの。1.8リッターのプリウスよりも出足のトルクに余裕があり、4名乗車で走りだしてもゆとりをもって加速できる。中間加速の伸びも心地良く、モーターの後押しが利くので、アクセルは軽い踏み込みで十分だし、イメージ通りに車速を高めていける感覚だ。特筆すべきは乗り心地の良さと静粛性で、クルマを操縦する気持ち良さを与えてくれる。徹底的な遮音対策でロードノイズを抑え込み、路面の凹凸の入力はさっと収め、うねりはタイヤを沿わせながら通過していく。ハンドルを切り増すと、安定した構えを保ちながらしなやかに向きを変え、姿勢の収まりもいい。「退屈なセダンなんて言わせない」――。そんなメッセージが伝わる乗り味になっている。


藤島知子(ふじしま・ともこ) 自動車ジャーナリスト・レーシングドライバー・『日本カーオブザイヤー』選考委員。1975年、神奈川県生まれ。文教大学女子短期大学英語英文科卒。レースクイーンやレーサーを経て、2002年より執筆活動を開始。『クルマでいこう!』(テレビ神奈川)にレギュラー出演中。


キャプチャ  2017年8月14日号掲載

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