【劇場漫才師の流儀】(01) ポストダウンタウン

僕がこれまで芸人を見て衝撃を受けたんは、3回やね。最初は、(明石家)さんまさんと会った時。次が、(島田)紳助さん。2人とも僕の同期なんやけど、『世の中にはこんなおもろいヤツおんねんな』と思ったね。そして3回目がダウンタウンやね。NSC(吉本総合芸能学院)第1期生のネタ見せみたいなんがあった時に、確か紳ちゃんと一緒に見に行ってね。彼らが未だ入学して数ヵ月の時でしょう。そこにはハイヒールとか初代トミーズとか、10組ぐらいおったんやけど、ダウンタウンだけ、めっちゃ光っとった。未だ当時は、ダウンタウンというコンビ名じゃなかったですけど、「これは売れるかなー」とかやなくて、「絶対売れる!」って紳ちゃんと2人で顔を見合わせて言い合いましたからね。プロ野球でも高卒1年目で、いきなり10勝するような投手がいるでしょ。それと同じ感じがしました。技術的にいうと、彼らは、間を持てるんですよ。しかも、その間が心地いい。夢路いとし・喜味こいし先生なんかもそうやったけど、それが若手の時からできる漫才師は中々いません。これを下手な人がやると、2人のタイミングがずれて「間が空いちゃったのかな?」とお客さんに伝わる。そうしたら、おしまい。若手ほど間が空くのが怖いから、どんどんテンポアップしていってしまうんです。

うちのコンビも「スピード感がある」って言われますけど、正直言うと、間が空いてしまうのが怖いという部分もあるんです。「ダウンタウン以降、あれほどの衝撃を受けたことがあるか?」と言われると、どうなんやろうね? 確かに、輝いているコンビは沢山いました。ナイナイ(ナインティナイン)もそう、ブラックマヨネーズもそう、キングコングもあった。漫才だけやったら、ブラックマヨネーズはダウンタウンに匹敵するくらいのものがあると思いますね。やっぱり、コンビのどっちもおもろいところは強い。フットボールアワーなんかもそう。ボケの岩尾(望)君も、ツッコミの後藤(輝基)君もおもろいですし。これは、またの機会に話しますけど、彼らを見ていて思うのは、「昔はボケが華やったけど、つくづく今はツッコミ全盛の時代なんやろうなぁ」と。ともあれ、ダウンタウンを本気で抜こう思ったら、同じようにNSCを経て…というルートでは難しいかもわからんね。ダウンタウンのように、2人でゆっくりフリートークするみたいなんのを若手がよう真似しとるけど、彼らと同じ道を走っとったら、2人は遥か彼方先におるんやから、中々追いつけないでしょうね。脇道でも小道でもえぇから、違う道、探さな。ダウンタウンは2組はいらん訳やから。ダウンタウンを超えるコンビが出てきた時は、彼らとは全く違う形でしょうね。どういう形かって? それはわからん。わかっていたら僕がやる(笑)。


オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(共にワニブックス)。


キャプチャ  2017年8月14日号掲載
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