【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(52) アフガニスタンを巡るアメリカ、ロシア、マフィアの三角関係

数年前、シンガポールの『HSBC銀行』から口座凍結の通知が来た。マネーロンダリングやテロ資金対策を国際間で行う『金融活動作業部会(FATF)』の指示によるものだ。通知書に添付された書類には、筆者と同じように凍結された個人・法人の名前が並んでおり、日本人も私の他に3名が入っていた。凍結の理由は、『アルカイダ』並び『タリバン』関係者との金融取引履歴によるものだった。後からわかったことだが、筆者が行った国際送金の中に、バーレーンからアルカイダ関係者の口座を経由したものがあったようだ。アフガニスタンのタリバンにつ いては、昨年から急激な勢力回復傾向が見られる。今年3月にはアメリカの下院公聴会で、中央軍のジョセフ・ヴォーテル司令官がロシアによるタリバンへの軍事支援を証言した。この報道を受けて、ロシア政府は即座に事実を否定したが、ロシアによるタリバン支援は誰でも知っていることだ。アフガニスタンは、米露にとって地政学的にも兵器産業の市場としても極めて重要な国である。それと同時に、マフィアにとっても利権の楽園である。GDPの半分を麻薬が占める国であり、タリバンとの内戦は武器弾薬の大量消費を生むからだ。アメリカがタリバン政権と本格的に対峙したのは、9.11同時多発テロ事件からである。それまでは中央アジアの石油・天然ガスを供給するパイプライン計画があった為、タリバン政権を容認していた。ところが、ウサマ・ビン・ラディンを擁護するタリバンに業を煮やしたアメリカは、遂にアフガニスタン紛争に突入した。このアフガニスタン紛争で莫大な利益を得たのは、アメリカ政府とニューヨーク系マフィア、そしてロシアンマフィアの三者である。

アフガニスタンは、ケシ栽培と、そこから生成されるへロインが国家の主要産業である。タリバン政権も表向きはケシ栽培を禁じてきたが、政権を支えてきたのは麻薬産業なのだ。『国連薬物犯罪事務所(UNODC)』に興味深いレポートがある。アメリカ軍とNATO軍が侵攻してから、アフガニスタンでのケシ栽培が40倍に増加したというものだ。これは、ケシから生成されるアへンやへロインの量が40倍に増加したことを意味する。2010年、ロシアがNATOに対してアフガニスタンのケシ栽培を撲滅させる提案をしたところ、「地元住民にとって貴重な収入源である」との理由でアメリカが拒否したのも興味深い。その同じ年に、筆者はウズベキスタン経由でアフガニスタンへ入国したことがある。ウズベキスタンのテルメズから船でアムダリア川を渡れば、アフガニスタンのハイラタンという町だ。この時、ドバイの銀行が紹介してくれたアフガニスタン人のガイドは、『中央情報局(CIA)』の現地員だった。彼の任務は国境の監視ということだが、現実には麻薬輸送のコントロールが主な仕事だ。「アメリカ軍が占領してから、ケシ畑の警備兵もAK47からM16に変わりました」。アメリカは、タリバンから奪ったケシ畑の警備を反タリバン勢力に任せ、麻薬の生産量を拡大した。その麻薬をヨーロッパからロシアに販売するのが、CIAと結託したニューヨーク系のマフィアである。「ロシアンマフィアは、タリバン勢力に武器を売りまくっています」。ガイドの男が吐き捨てるように言ったのを、よく覚えている。CIAは現地での活動費を麻薬収入で賄っているが、それはアメリカ軍の戦費にも使われているだろう。アフガニスタン紛争が生む武器と麻薬の利権は巨大だ。だが、その恩恵を一番受けているのはマフィアでもアメリカでもなく、ドバイとロンドンの銀行かもしれない。何故なら、彼らに紛争のリスクが全く無いからだ。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年8月8日号掲載
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テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

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