【南鳥島に注目せよ!】(19) コバルトリッチクラストの発見と開発

20170809 07
開発に向けての気運が高まりつつある日本近海の海洋資源。海底に眠る鉱物資源だけでも、南鳥島周辺海域のレアアース泥に、沖縄近海で次々と発見されている海底熱水鉱床、第4回で詳しく解説したマンガン団塊等、先々の商業化が期待されるものが幾つもある。その内の1つが、第7回で少しだけ触れているコバルトリッチクラスト。マンガンクラストとも呼ばれるが、マンガン団塊とは似て非なるものなので、混同しないように注意したい。鉄とマンガンが主成分の酸化物であるのはマンガン団塊と同じだが、こちらは海山の斜面や頂上付近にある玄武岩等を、数㎜~数十㎝の厚さでアスファルト状に覆っている。右にその断面写真を掲載しているが、球形に近いマンガン 団塊とは形状が大きく異なるのが見てとれるだろう。その名の通り、コバルトを豊富に含んだ鉱物で、その含有量はマンガン団塊の3~5倍。それ以外にも、ニッケルや少量の白金、更に高濃度のレアアースまで含むという豪華な組成である。前述したように、厚さは無いのだが、海山の頂上付近を覆うように広範囲で分布している為、資源量はかなりのもの。但し、海山の起伏に富んだ地形は、開発の大きな障壁だ。これにどう対応するかは、コバルトリッチクラスト開発が抱える大きな課題。多様な資源を含んでいる為、陸上での分離・精錬プロセス確立も非常に難しい。商業化に至るには、まだまだ時間が必要だろう。

20170809 06
コバルトリッチクラストが世界で初めて注目を集めたのは、1980年代初頭のことだ。ドイツの研究グループが、「経済的ポテンシャルが期待できる海底資源」と発表。コバルト需要が世界的に伸びていた時期でもあり、多くの国がマーシャル諸島-ミクロネシア海域や、その北方の公海域で調査を行っている。日本も公海上を中心に、1987年から調査を実施。2008年からは排他的経済水域における調査も始まった。その結果、南鳥島の南南西に位置する拓洋第5海山でコバルトリッチクラストの存在を確認。因みに、この周辺は、高濃度のレアアース泥が大量に眠っている海域でもある。拓洋第5海山は、まさに“宝の山”だ。2016年2月には、『海洋研究開発機構』と高知大学が拓洋第5海山での試料採取に成功。水深3500mまでの現場観察や試料採取は、これまでにも行われていたが、水深5500mを超える深さで成功したのは、これが初となる。そして公海上でも、先々の開発を見据えた動きが見られている。日本と中国は2012年、コバルトリッチクラストの公海上での探査を『国際海底機構』に申請。これが2014年に認められ、南鳥島の東南東にある海山の密集地での15年間に亘る探査権を取得した。極めて有望な資源だけに、先ずは採鉱や揚鉱の実証実務までこぎ着けたいところ。困難は大きいが、楽しみはもっと大きい。


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