【霞が関2017夏】(12) “仕事人内閣”に戦々恐々…官僚もつらいよ

安倍改造内閣は、各省庁の副大臣と政務官が昨日決まり、本格始動した。トップの号令で仕事のやり方や職場の雰囲気が変わるのは世の常。「仕事人内閣」(安倍晋三首相)に仕える霞が関の官僚たちの表情を追った。

■内閣府…レクに行くのが怖い
「経済最優先といって大臣が代わったから、発信力は高まるかもしれない」――。茂木敏充経済財政再生担当大臣の就任に、内閣府では歓迎の声があがる。内閣官房の中堅職員も、「予想通りの大臣が就いた。成長戦略にも精通している」と持ち上げる。尤も、「アベノミクスの初期と比べて、PRすべき中身が無くなってきているのも事実。地道にやるしかない」(課長クラス)との見方は共通する。別の心配もある。茂木氏は仕事への厳しさで有名だ。「就任早々、雷を落とされた職員もいるようだ」との情報が駆け巡る。「政策にとても詳しいので、レク(※レクチャー、官僚による説明)に行くのが怖い」と話す官僚も。官僚も、上司の顔色を窺うビジネスパーソン。「我々自身が働き方改革と逆行しないか心配だ」との声が、複数上がっている。

■農林水産省…新大臣は農林族と異なるタイプ
「転校生が学級委員長になったみたい」――。ある農林水産省の中堅官僚は、斎藤健大臣をこう表現する。斎藤氏は経済産業省出身で、官僚時代にはITや日米自動車交渉を担当する等、産業政策に明るい。当選回数僅か3回での抜擢は、産業界の力を借りて農業の構造改革を目指す安倍政権の意欲がみてとれる。自民党の農林部会長や農水副大臣を歴任し、農協法の改正や生乳流通の自由化等に関わってきた。農水省幹部は、「農協(JA)と持ちつ持たれつの農林族議員とは全く異なるタイプ」と話す。「産業としての農業は、新しい展開を図らないとジリ貧になる」。斎藤氏は4日、農水省の講堂で職員に早速、発破をかけた。農協改革に意欲を示す奥原正明事務次官とも近い間柄。『JAグループ』は、「次はどんなタマが飛んでくるのか?」(関係者)と戦々恐々としている。

■総務省…予算確保に奮闘してくれそう
改造の目玉人事だった野田聖子大臣は、郵政大臣を務めた経験があり、総務行政に詳しい。総務省内では、「予算を確保する為に奮闘してくれそう」と突破力に期待する声が出ている。就任会見でインターネットの安全性を課題に掲げ、「サイバーセキュリティーへの意欲が強いのではないか?」との見方が出ている。「幾つか温めているもの(※政策)がある。お披露目するのを乞うご期待」と張り切る野田氏。“耳の痛いこと”を言われるのは、安倍晋三首相だけではないかもしれない。

■厚生労働省…“1000本ノック”の人に警戒
厚生労働省でも、新大臣に歓迎ムードが広がる。塩崎恭久前大臣は朝5時に大臣レクを始めるのが通例で、同じ案件で5回・10回とレクが繰り返されることもあった。ある局長は、「5時のレクが無くなるだけでも大歓迎だ」と真顔で話す。省内では、働き方改革を担当する加藤勝信大臣と塩崎前大臣の不仲は、公然の秘密だった。4日の事務引き継ぎでも、2人は目を合わせようとしなかった。塩崎前大臣は、3年弱の在任中に、受動喫煙対策を強化する規制強化を主張する等、孤軍奮闘してきた。事もあろうにぎくしゃくする加藤氏が後任とは、「若干気の毒ではある」(幹部)と同情の声も。旧大蔵官僚出身の加藤氏も、政策に詳しい仕事人の1人。ある中堅幹部は、「1000本ノックの人」と警戒する。過去に複数回、重要案件を説明したことがあり、「資料の内容が甘いと鋭い問い詰めが続く」。上司が代わっても緊張は解けそうにない。

■文部科学省…組織立て直しを進めたい
組織的な天下り斡旋や『加計学園』を巡る文書流出等、省内の問題で揺れ続けた文部科学省。5度目の入閣となる林芳正大臣について、科学技術系の幹部は「嘗て仕事をしたことがあるが、噂通りの政策通で頼りになる。新大臣の下、組織立て直しを進めたい」と歓迎する。若手職員は「“本業”の政策面で成果を出し、信頼を回復する転機にしたい」と話すが、野党の追及や獣医学部の設置認可等、加計学園を巡る問題は終わっていない。3日の就任会見では、加計問題に質問が集中。会見前には幹部らによる大臣へのレクが長引き、会見開始が予定より1時間遅れた。ある中堅職員は、「先ず加計の説明が先。それが片付かないと、他の政策には手を付け難いのではないか」とこぼす。

■経済産業省…河野大臣との関係は
経済産業省は、世耕弘成大臣の留任が決まって胸を撫で下ろした。政策の呑み込みが早く、「国会答弁にも安定感がある」と言われる為だ。尤も、成長戦略や通商政策で連携が欠かせない経済財政担当大臣や外務大臣が代わり、「どんな事を言い出すのか心配」との声も。原発再稼働を推進する“親原発”の経産省に対し、外務省の河野太郎大臣は根っからの“脱原発派”。来年には『日米原子力協定』の改定も控える。世耕氏は、「河野氏とは同学年だし、彼の総裁選出馬時は中枢で応援したこともある。折を見て意見交換をしていきたい」と話す。

■財務省…親分肌に安心ムード
麻生太郎大臣が留任した財務省は、安心ムードが漂う。第2次安倍内閣が発足した2012年12月から財務大臣を務め、当初予算だけでも5回編成した。連続在任期間は既に戦後1位。「官僚の気持ちをわかってくれる親分肌の大臣」(幹部)という。一抹の不安は政権の財政政策だ。来年中には、2019年10月の消費税率引き上げを予定通り実施するか決めなくてはいけない。「首相は『結果を出す』と言うが、その中に財政再建も含まれているのか?」。安倍政権は消費増税を2回延期した過去があるだけに、官僚は半信半疑だ。「弾力的な財政運営」「中長期的な財政再建」――。麻生氏が3日、首相から受け取った指示書には、こんな文言が並んでいた。取りようによっては、短期的な財政出動を容認しているようにも読める。与党内では、支持率アップに向けて大型の補正予算編成論が燻る。今年から来年にかけては、診療報酬と介護報酬の“ダブル改定”や財政健全化計画の見直し等、財政政策の節目が訪れる。何れも、首相官邸や与党との厳しい調整が待っている。


⦿日本経済新聞電子版 2017年8月8日付掲載⦿

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