一度捕まったら逃げられない、人生をドン底に突き落とす…痴漢冤罪から逃れる方法は存在するのか?

“痴漢冤罪”は、男にとって最凶最悪のテロ行為だ。いくら「やっていない!」と叫んでも、一度疑われたら最後。無実を証明するのは不可能に近く、変質者のレッテルを貼られて、奈落の底に突き落とされてしまう。痴漢冤罪から逃れる為にはどうすればいいのか? (取材・文/本誌編集部)

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「この人、痴漢です!」「違う、俺じゃない!」――。痴漢に間違われた男が、駅のホームで女性側とこんな押し問答を繰り返した挙げ句、線路に飛び降りて逃走する事件が相次いでいる。東京都内に限っても、JR新橋駅やJR池袋駅で痴漢を疑われた男が線路に飛び降りて逃走し、電車が遅延する事件が今年3月以降で9件も起きているのだ。5月には、東急田園都市線の青葉台駅で、痴漢を疑われて駅員室に連れて行かれそうになった34歳の男が、「俺じゃない!」と叫んで線路に逃走。電車にはねられて死亡するという悲劇も起きた。何故、痴漢を疑われた男たちは、線路に飛び降りてまで逃げるのか? それは、“痴漢冤罪”が恐ろしいからだ。痴漢冤罪とは、全く身に覚えがないのに痴漢の疑いをかけられ、警察に勾留された挙げ句、不当な処分を受けることだ。2011年に起きた三鷹バス痴漢冤罪事件をきっかけに、近年は痴漢冤罪が社会全体でも大きな問題となっている。これが恐ろしいのは、痴漢で捕まったという事実によって、仮に無実になったとしても、折角手に入れた仕事も収入も家庭も全て失い、そこで人生が終わってしまうことにある。いくら「自分は痴漢なんてやっていない」と叫んでも、その主張が認められるケースなど殆ど無い。痴漢で捕まって警察に勾留されたら、会社と連絡が取れなくなり、その時点でクビになる。クビにならないまでも、痴漢騒ぎで職場には居辛くなるだろう。あくまで冤罪を主張しようものなら、警察に罪を認めない犯罪者予備軍とされ、マスコミに実名報道されて社会的に信用を失う。その結果、被害者は精神的に追い詰められ、鬱病等を発症し、妻からも離婚を突きつけられ、家庭が滅茶苦茶になる。運よく無罪となって職場に復帰できたとしても、“痴漢で捕まった変質者”というレッテルが一生ついて回る。こんな悲劇が数え切れないほど起きているのだ。

その癖、「この人、痴漢です!」と告発した女性側は、1人の男の人生を滅茶苦茶にしたというのに、単なる勘違いで済まされ、特に被害を受けない。この理不尽の極みというべきものが痴漢冤罪だ。だからこそ、痴漢を疑われたら線路に飛び降りてでも必死に逃げようとするのだ。それでは、この痴漢冤罪という悪夢から逃れる為には、どうすればいいのか? 最初に言っておくと、線路に飛び降りて逃げるのは最悪と言っていい方法だ。確かに、3月以降に都内で起きた9件の線路飛び降り事件では、その内の8件で逃げた男が逮捕されていない。だが、これは単に運がよかっただけの話だ。痴漢冤罪に詳しい弁護士のA氏によれば、「先ず、線路に降りること自体が違法行為です。それで電車を遅延させれば、損害賠償請求されることもある」という。「しかも、最近は正義感の強い人が女性に加勢する例が多く、混雑した駅構内でそうした協力者や駅員を振り切って逃げ切れる可能性は低い。逃げると自分が痴漢したと言っているに等しく、防犯カメラで特定されて後日逮捕されることになりかねません」(A氏)。だからといって、女性側に「触ったでしょ!」と取り押さえられ、そのまま黙って駅員室に連れて行かれたら一巻の終わりだ。駅員室に行ったら、その時点で“私人逮捕”、つまり私人による現行犯逮捕となる。この時、駅員はマニュアルに沿った型通りの対応をするだけで、当事者の間に入って事実確認することすらしない。いくら「俺は触っていない!」と主張しても、駅員は痴漢を疑われている側の言い分など一切聞こうとしない。痴漢事件では、女性の言い分しか信用されないのだ。そして程なく、最寄りの警察署から警察官がやって来て、痴漢の容疑者として取り調べを受けることとなる。この“逮捕・勾留”というルートに一度乗ってしまったら、最早、最悪の事態から逃れる術は無い。「警察はきちんと捜査する筈」「司法は正しく判断してくれる筈」等というのは単なる幻想だ。実際、前述の三鷹バス痴漢冤罪事件では、痴漢に間違われた男性が「右手で携帯電話を操作し、左手で吊り革を持っていた」と無罪を主張。その様子がバスの車載カメラの映像に証拠として残っていたのに、裁判所は男性を訴えた女子高校生の供述のみを信用し、有罪判決を言い渡している。男性は最終的に逆転無罪を勝ち取ったものの、逮捕から3年近くも痴漢の濡れ衣を着せられ、その間ずっと休職を余儀なくされた。こんな目に遭わない為には、女性側に「触ったでしょ!」と言われて揉めても、絶対に駅員室に行かないことが極めて重要だ。その駅員室に行かずに済ます方法の1つが、“名刺を渡してその場を立ち去る”という対処法である。逃げるのに比べて、素性を明かしてその場を立ち去るのは穏便な方法で、身の潔白を印象付ける効果も見込める為、一般的にも有効な対処法とされている。しかし、一昔前なら兎も角、現在、この方法は通用しなくなっているという。刑事訴訟法では、30万円以下の罰金の軽微な犯罪の場合、「住所や氏名が明らかではなく、逃亡の恐れがある場合のみ現行犯逮捕できる」と規定されている。これが、“名刺を渡せばその場を立ち去ることができる”という方法の根拠だ。

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ところが、A氏によれば、「2001年以降、東京都迷惑条例第5条は、痴漢は“6ヵ月以下の懲役または50万円以下の罰金”に引き上げられているのです」という。最早、痴漢は“30万円以下の罰金”の軽微な犯罪ではない訳だ。「この為、最近は駅員が同条例を持ち出し、『名刺を出しても帰れませんよ』と無理矢理駅員室に連れて行こうとするケースが増えています」(A氏)。逃げるのもダメ、名刺を出して立ち去るのもダメなら、どうすればいいのか? 痴漢を疑われた時の確実な対処法は1つしかない。それは、「痴漢!」と言われたら「名誉毀損で告訴する!」と伝える方法だ。「刑法230条には、『公然と人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、3年以下の懲役もしくは禁固、または50万円以下の罰金に処する』とあります」。そう話すのは、別の弁護士・B氏である。電車内や駅のホームという多くの人がいる場所で痴漢呼ばわりするのは、立派な名誉毀損にあたる。身に覚えが無いなら、この「名誉設損で告訴する」という対処法が一番有効だという。具体的には、先ず電車内で女性に痴漢呼ばわりされたら、「何を言っているんですか? 僕は何もしていません。人違いです」と何度も繰り返し主張する。これは、後で女性に「最初は弁明しなかった」と言われないようにする為だ。そして、次に重要となるのが、女性とのやり取りをスマホを使って録音し、「名誉毀損行為があった」「痴漢を終始否定していた」というのを証拠化すること。「女性は、貴男に『お尻触ったでしょ!』『胸を触った!』と詰め寄ってくるでしょう。それに対して、『どういう根拠で僕が痴漢したというんですか? 名誉毀損で告訴します』とはっきり宣言して下さい。それでも女性側が痴漢呼ばわりをし続ければ、故意に名誉を毀損していることになり、名誉毀損という主張の材料になります」(B氏)。その際、音声をパソコンに送信しておけば、万が一逮捕されて警察にスマホを没収された後でも、弁護士が確認できるので有効だ。

更に、この時、周囲に被数の人がいて、女性とのやり取りを聞いているかどうかを確認する。できれば、女性に許可を得て、現場の動画や写真も撮影したい。ここまでやれば、女性側が「若しかして自分が間違ったのかもしれない」と考え始める可能性があるという。また、ホームに降りて駅員が来たら、自分から車内の状況を冷静に説明して、「名誉毀損で告訴するので警察を呼んでほしい」と伝えることも重要だ。警察が来たら、もう一度車内の状況を説明する。手や指に女性の衣服の繊維片が付着しているかどうかを調べる為に、「徴物検査をしてほしい」と申し出ることも必要だろう。その上で、「多くの人の前で痴漢呼ばわりされて名誉を傷付けられたので、この女性を告訴します」と警察にもはっきり宣言する。「そうすれば、警察も『慎重に捜査したほうがいい』と思い始めるでしょう。また、自分から『繊維片が付いているかどうか検査してほしい』と言えば、現行犯逮捕にも躊躇するかもしれません」(B氏)。それでも逮捕されてしまった場合は、弁護士を呼んだ上で、あくまで無罪と名誉毀損を一貫して主張し続ける。その為には、日頃から刑事事件に強い弁護士事務所等の情報と連絡先を家族と共有し、スマホに登録しておくべきだという。但し、基本的に痴漢冤罪というのは、疑われたら最後だと思ったほうがいい。何しろ、三鷹バス痴漢冤罪事件のケースをみればわかるように、痴漢冤罪は無実の証拠があっても有罪にされてしまうような無茶苦茶な冤罪なのだ。従って、最も肝心なのは“痴漢の疑いをかけられないこと”となる。電車内で両手で吊り革を掴んだり、カバンを前に抱えたりする会社員が多いのは、その為なのだ。とはいえ、この“両手で電車の吊り革を持つ”という古典的な予防法は、最早、痴漢冤罪から逃れる上で大して役には立たない。両手で電車の吊り革を持つのは、痴漢で捕まった訳でもないのに、“最初からホールドアップの態勢を取る”という屈辱的な全面降伏のスタイルと言える。それなのに、「この人、痴漢です!」と女性に声を上げられ、社会的に抹殺される男たちは後を絶たない。直接触らなくても、「私の匂いを嗅いでいた」「耳に息を吹きかけた」等と言いがかりをつけられ、痴漢呼ばわりをされてしまうのだ。実際、被害妄想が強く、過敏な女性の中には、近くでちょっと深呼吸しただけで「キャーッ、痴漢!」と大騒ぎするタイプもいる。こうなると、いくら「手は使っていません」とアピールしたところで、痴漢冤罪から逃れることなどできない。「男性専用車両を導入すべき」という意見もあるが、痴漢の概念が広がっている以上、それも無駄だろう。「隣の車両からいやらしい目でジロジロ見ていた」等と意味不明の疑いをかけられることも、十分にあり得るのだ。世の中には、痴漢冤罪をでっち上げて、相手の男から数十万円もの示談金を騙し取るという恐ろしい女子高校生の痴漢詐欺グループも存在する。最早、“車内では女性から離れる”というだけでは、予防法として心許無い。究極の予防策は、電車やバスを一切利用しないことだ。それが無理なら、電車やバスに極力乗らない。残念ながら、現状では痴漢冤罪から確実に逃れる方法はこれしかない。嫌な世の中になったものである。


キャプチャ  2017年8月号掲載

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