【薬のホント・健康食品のウソ】(04) “信号機カラー”でヨーグルト売り場独占! 『明治』の巧妙な宣伝手口

トクホや機能性表示食品でないにも拘わらず、『明治』の『プロビオヨーグルト』は如何にして“健康に良い”というイメージを獲得したのか? その巧妙な言伝手口に迫る。

20170822 09
「“R-1”という乳酸菌が、インフルエンザの予防に有効か?」――このR-1乳酸菌を含む食品は、日本に1つしかない。食品大手の明治が販売する『プロビオヨーグルト R-1』だ。2012年、情報番組『あさイチ』(NHK総合テレビ)が冒頭のように報道したところ、一躍ヒット商品となり、その年のインフルエンザ流行期には欠品が相次いだという“武勇伝”を持つ。明治はその後、R-1・LG21・PA-3の3種類の乳酸菌が入った商品をプロビオヨーグルトシリーズとし、“プロバイオティクス(※体に良い影響を与える生きた微生物)ヨーグルト”というカテゴリーとした。元々、同社のヨーグルトの主力はブルガリアヨーグルトシリーズだったが、今では同社の全ヨーグルトの売上高の半分以上をプロビオシリーズが占めるまでになり、2016年3月期に前記比22.4%増の1067億円、2017年3月期に前期比12.1%増の1196億円と、順調に推移している。現在、明治はヨーグルト国内シェアのトップを走り、実に3分の1強を占める。その半分以上がプロビオシリーズの売り上げなのだから、“日本で一番売れているヨーグルトブランド”と言ってもほぼ間違いないだろう。プロビオシリーズは現在、R-1・LG21・PA-3の3種類が販売されているが、其々“強さひきだす乳酸菌”・“リスクと戦う乳酸菌”・“プリン体と戦う乳酸菌”というキャッチコピーが付いている。“プリン体と戦う”のは理解できるが、“強さ”や“リスク”とは一体、何を指しているのだろうか? 今回、本誌では、これらのキャッチコピーが具体的に何を表現しているのか、そしてその科学的根拠について明治に質問した。その回答が以下だ。「“強さひきだす乳酸菌”・“リスクと戦う乳酸菌”・“プリン体と戦う乳酸菌”、これらのキャッチコピーは特定の効果効能を示すものではなく、当社の企業意思を商品に込めたものです」(同社広報部)。

しかし、同社の乳酸菌研究を紹介する明治ヨーグルトライブラリーというサイト内には、R-1乳酸菌は冒頭のようなインフルエンザを始めとする感染症に対する免疫機能の増強、LG21乳酸菌はピロリ菌の抑制、PA-3乳酸菌はプリン体への作用があると明確に記載されている。これに対しては、「当社では商品に関するコミュニケーションと、乳酸菌研究成果の情報提供活動は明確に唆別しております。乳酸菌研究成果については、科学的に確認した内容を基に情報を提供しておりますが、今般ご質問頂いている商品のキャッチコピーは、商品に込めた当社の意思を表現しているものであり、乳酸菌研究成果に呼応したものではありません」(同)との回答であった。要するに、其々の乳酸菌自体には何らかの健康効果があるという研究結果が存在するものの、プロビオシリーズに関しては特定の健康効果を謳うものではないということである。明治の回答は至極当然だ。プロビオシリーズは特定保健用食品(トクホ)や機能性表示食品ではない。何らかの効果効能を謳えば薬機法に抵触する。しかし何故、トクホや機能性表示食品にして堂々と健康効果を標榜しないのか? これに対する答えを、「コスト、この一点に尽きるだろう」と元競合メーカー社員は推察。“トクホ取得には1億円”というのは有名な話で、更にトクホや機能性表示食品は関与成分の含有量にも規定があり、消費者庁の定期的な抜き打ち検査もある。寧ろ、一般食品としておいたほうがやりたい放題できるのだ。R-1・LG21・PA-3各乳酸菌の効果を検証した試験の結果は、前述の明治ヨーグルトライブラリーだけでなく、報道でもしばしば取り上げられている。どれもマウスか、ヒト数十人程度による小規模なもの、若しくは同条件での対照群を設けていない等、科学的な信頼度の高くない試験(※左上図参照)だが、どんな試験結果であれ、乳酸菌自体の健康効果を折に触れて世間にチラつかせれば、いつの間にか世間から“体に良いヨーグルト”と言われるようになる。そこに巧みなマーケティングが透けて見えるのだ。「R-1乳酸菌にインフルエンザ予防効果がある」とテレビ番組で紹介され、R-1がバカ売れした冒頭のエピソードのように、消費者は乳酸菌の健康効果と、それを使用したヨーグルトの健康効果を別個に捉えることは、決してしないだろう。こうして、プロビオシリーズがトクホや機能性表示食品でないにも拘わらず、“健康に良い”というイメージを消費者に植え付けることに、明治はまんまと成功したのである。ただ、最近はそのやり口に眉を顰める向きが見られる。特に、R-1乳酸菌はここ数年、順天堂大学医学部の奥村康特任教授が、多くの媒体で免疫機能の強化作用をアピール。昨年末には、奥村特任教授が出演した地方テレビ局の番組におけるステルスマーケティング疑惑が、『週刊新潮』に報じられてしまった。また、市場に与えた影響も無視できない。プロビオシリーズが“健康志向”のヨーグルトとして成功を収めたのは明白で、トクホや機能性表示食品の“お墨付き”が、あまり意味をなしていない実状が露呈してしまったからだ。この消費動向を受け、市場調査会社やメディアは、健康を想起させるヨーグルトを纏めて“機能性ヨーグルト”という新たなカテゴリーで呼ぶようになり、科学的根拠の有無に拘わらず、一緒に扱われるようになってしまった。


キャプチャ  2017年6月17日号掲載
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