【ビジネスとしての自衛隊】(13) 自衛隊と防衛企業との深い関係…大口受注先は固定化、中小は市場性に危機感

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2017年度予算の防衛予算(防衛関係費)は約4.8兆円。その内、装備等の購入に充てられる一般物件費は1兆円弱。前年度以前の契約に基づき、2017年度に支払われる“歳出化経費”の1.9兆円を含めたとしても、日本の防衛産業は約2.9兆円規模となる。この市場でのプレーヤーは、ほぼ固定化されている。防衛省の調達先を金額順に見ると、上位10社には知名度が高く、日本を代表する企業がずらりと並ぶ(※右表)。また、トップ常連は『川崎重工業』と『三菱重工業』だ(※上位企業の詳細については次回)。防衛省と直接契約する企業は“主契約企業”と呼ばれるが、その下には数千社の企業が防衛産業に従事している。例えば、護衛艦1隻を建造する為にも、約2450社もの企業の協力が必要だ。戦車や哨戒機の主契約企業は1社だが、1000~2000社超の企業が製造する部品や製品があってこそ、1つの装備品ができ上がる構造だ。だが、防衛産業には常に先行き不透明感があった。産業の性質上、市場は限られ、国の予算次第で受注動向も変わる。また、競争も他の産業と比べれば少ない。そうした市場故に、防衛産業に存在する数千社の中には、安定した利益を得る企業がある一方で、中長期的に安定的な事業運営ができるのかという不安を抱える企業も少なくはない。参入企業の業績にも濃淡があるということだ。

その為、「限られた予算、限られた発注を当てにしているだけでは、事業を畳む時期も遠くはない」(岐阜県の航空関連部品メーカー)という声は、決して一部だけの声ではない。利益は確保できるものの、研究開発や人材育成を安定的に行うまでには至らない中小企業が多いのが現状だ。防衛省は2012年、省内に『防衛生産・技術基盤研究会』を置いて、国内での防衛産業基盤と技術継承等の安定・発展を目指す方策を議論した。安倍晋三政権は、長期安定的な予算執行や防衛産業の育成強化や、外国との共同開発の実施・検討を進め、更に武器輸出を規制していた“武器輸出三原則”から“防衛装備移転三原則”へ移行し、武器輸出解禁も行った。その先駆けとして、『そうりゅう』型潜水艦のオーストラリアへの輸出や、インドへの輸出が検討されている飛行艇『US-2』等が出てきたが、前者はフランスとの受注競争に敗れ、後者は未だ輸出に至っていない。防衛産業は専門性が高いこともあり、自衛隊と企業の関係は深い。その為、自衛官OBが所謂“天下り”として関連企業に就職することがある。特に1佐以上の高級幹部は、定年退職後に大手企業の顧問として再就職するのが普通だ。企業側もそういった人材を受け入れることで、防衛省・自衛隊とのパイプを太くしておき、将来のビジネスに役立てようとするのは言うまでもない。とはいえ、再就職した元自衛官がビジネスの世界で活躍できるか、天下り先の企業の業績に貢献できるかどうかは本人次第だ。「元将補なら年収800万~900万円だが、それには2億円以上の実績を上げないと、企業としては見合わない」(元自衛隊幹部)という。また、「『年収500万円でもいいから、複数のOBを受け入れてほしい』と言われることもある」との声の他、「顧問は新聞を読んで時間を潰すだけ。偶に外に出れば、自衛隊の後輩がいる企業を回って雑談ばかり」との恨み節も関連企業から聞こえてくる。一方、「防衛大の理工系出身で30代ならば、民間で腕を振るうこともできる筈。そんな人材を有効に使ったらどうか?」という声もある。

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■天下り先は防衛産業と保険会社
自衛隊の高級幹部は、退職してどこに再就職しているのか? 一番多いのは意外な団体だった。防衛省の資料を基に、2011年4月~2016年12月に再就職した陸海空の1佐以上の自衛隊員の勤務先を集計したところ、1位だったのは『損害保険料率算出機構』で35人が就職していた。同機構は、『損害保険料率算定会』と『自動車保険料率算定会』が統合して設立された団体で、損害保険会社が加盟している。自動車損害賠償責任保険での事故調査が主業務だ。現場の調査にも従事し、「ここに勤めるのは優雅な天下りという訳ではない」(元1佐)という。2位以下には、『東芝』・『NEC』・『三菱重工業』・『IHI』・『三菱電機』・『富士通』といった、装備品で直接取引のある防衛企業が並ぶ。こうした企業に“顧問”として迎え入れられるが、具体的な業務は無いことが多い。「技術指導や開発へのアドバイスを期待して」というのが表向きの理由だが、実質的には「偶の御用聞きと、何かあった場合に備えての顔繋ぎ役」(防衛省内局関係者)だという。防衛産業ではないが、再就職先に頻出するのは損保・生保の保険会社。『東京海上日動火災』・『日本生命』・『三井住友海上』・『第一生命』等が並ぶ。自衛隊は働き盛りの男性が多く、保険の開拓先として有望な職場。保険会社の顧問には、師団長や司令官等高位ポストの経験者が目につく。直接保険を勧誘することはないが、保険会社は駐屯地や基地に営業職員が出入りし易くなることを期待しているとみられる。 (取材・文/本誌 福田恵介)


キャプチャ  2017年5月13日号掲載

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