【訪日消費第2幕】(中) 新鮮な地方、SNSで共鳴

20170906 02
「これは絶景だ」――。眼下に広がる真っ青に澄んだ海。今月中旬の週末、沖縄県本部町の喫茶店『花人逢』には、昼の開店前から数十人が列を作っていた。何人かが時々列を抜け、スマートフォンのカメラを店の奥に広がる海に向けている。店があるのは、那覇市から車で2時間弱の山の上。車1台がやっと通れる細い道を抜けていかないと辿り着けない。それでも、来店者の半数はアジアからの旅行客だ。台湾から家族で来た黄琮祺(37)は、SNSで店を知った。中国・大連に住む友人からも景色の良さを聞き、「沖縄に来たら立ち寄りたいと思っていた」。魔よけ像のシーサーが置かれた赤瓦を見上げ、「独自の文化がある沖縄を感じられる」と満足顔だ。東京や大阪を一通り楽しんだ訪日客の関心が、地方での特別な体験に向き始めた。日本人が素通りする場所でも、彼らには新鮮で特別なものに映るのだろう。

“お薦め情報”は口コミで世界に拡散し、思わぬ人気スポットが相次ぎ誕生している。藤の花が名物の『あしかがフラワーパーク』(栃木県足利市)には今年、ピークの4~5月に15万人の訪日客が押し寄せた。インターネット上で人気となり、3年前の約1万人から急増した。特に伸びが目立つのは、タイやベトナムの人たち。運営会社社長の早川公一郎(36)は、「東南アジアの人は兎に角、花が好き。花は強力な観光資源になる」と話す。垂れ下がる鍾乳石が幻想的な鍾乳洞も特別な場所だ。山口県美祢市の秋芳洞を訪れる外国人も、昨年度に5年前の4倍に増えた。韓国から訪れたペ・ユンギョン(28)は、「地方にこんなに素晴らしい場所があったなんて。韓国語の音声案内もあり、楽しめた」と驚く。“千本鳥居”を目当てに世界中から観光客がやって来る伏見稲荷大社(京都市)。境内を観察していると、あることに気付く。中国人も日本人も、多くは稲荷山の麓まで来て帰るのに、欧米人たちは果敢に山を登っていく。頂上への往復は約2時間。アメリカから来たザック・マシューズ(25)は、「インターネット上に『登るべきだ』と書いてあった。時間はかかったけれど、景色がとても美しかったよ」と笑顔で話した。多様な嗜好をどう刺激するか? 観光地が魅力を発信し続ければ、高齢化による日本人観光客の減少を補ってあまりある新たな需要が広がる。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年8月30日付掲載⦿
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