【訪日消費第2幕】(下) 日本人ともっと話したい

20170906 03
シンガポールから来たイズワン・ダニエル(28)は、今月22日の夜、東京都渋谷区の焼肉店『牛門』に向かった。注文したのは3000円のセット。メニューには、イスラム教の戒律に沿った認証の表示がある。「これなら安心して食べられる」。同行した母とジュースで乾杯した。親子では初の訪日。出発前にインターネットでレストランや観光地の情報を念入りに調べた。ムスリムのダニエルは、豚肉や酒を口にしてはいけない。牛肉や鶏肉も、調理法等に“ハラール”というルールがある。驚いたのは、そのルールに対応した店が多いこと。「何年か前に仕事で来た時は、こんなに無かったよ」。最初の晩は、「初めて見た」というハラール対応の焼肉店を選んだ。ムスリム向けに情報を発信する『ハラールメディアジャパン』(東京都渋谷区)によると、ハラール対応のレストランは東京等の大都市中心に約800店ある。ここ1~2年で急増した。

最近は、モスクをスマートフォンで探せるサービスも登場。安心して滞在を楽しめる環境が整ってきた。訪日客といえば中国人の印象が強いが、伸び率が高いのは東南アジアや南ヨーロッパ等。イスラム教徒の多いインドネシア人も、今年1~7月に前年同期比35%増えた。訪日2回以上のリピーターが6割を超え、消費の主体は買い物から体験に移っている。国民性や宗教の違いに着目すれば、裾野は未だ広がる。「日本の鉄道が本当に時間通り来るのか楽しみにしていたんだ」。スペイン人のエマ・アレッシ(29)は、地下鉄の銀座線が時刻表通りに発着する場面を嬉しそうに振り返った。「スペインの鉄道は頻繁に遅れるから」。台湾から来たリー・レン・チェン(42)が感銘を受けたのは、道路やトイレの清潔さ。「日本は完璧過ぎる」と興奮気味に話した。感動のツボは様々だ。それがインターネットを通じて世界に広がり、訪日の連鎖を起こす。爆買い失速で沈滞ムードが漂った訪日消費。客数増と共に息を吹き返し、訪日消費額は1~6月に2兆円を突破した。政府は2020年、通年で8兆円の目標を掲げる。この流れを勢い付けるのに何が必要か? 観光で大阪に来たプエルトリコ人のオマール・パチェコ(29)は、こう言った。「英語を話せる日本人が少ないのは残念。日本人ともっと話をして、日本のことを知りたい」。 《敬称略》

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中山修志・栗本優・大林広樹・花田亮輔・下野裕太・山本紗世・西岡杏・平嶋健人が担当しました。


⦿日本経済新聞 2017年8月31日付掲載⦿
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