【霞が関2017夏】(16) まとまらない日本の温暖化対策…戦略策定へ報告書3つ

経済産業省で先月末、2050年に向けて長期的なエネルギー政策を検討する有識者会合『エネルギー情勢懇談会』が始まった。地球温暖化対策の国際枠組み『パリ協定』への対応を睨んで、今年度中に報告書を纏める計画だ。だが、実は同じような狙いの報告書は、既に2つある。環境省は3月、審議会での議論を経て、『長期低炭素ビジョン』を纏めた。その1ヵ月後、経産省は有識者研究会の話し合いを基に、『長期地球温暖化対策プラットフォーム報告書』を公表した。国連は2020年までに、“今世紀半ば頃の温暖化ガス削減の戦略を提出する”ことを各国に求めている。いずれの報告書も、この国連の要請を睨んだものだ。主要7ヵ国(G7)の中では、ドイツ、フランス、カナダは提出済みで、アメリカもバラク・オバマ政権時に公表した。イギリス、イタリア、日本は未だ提出していない。既に纏まった経産省と環境省の報告書の違いは、大きく2点。1つは、政府が閣議決定している「2050年までに温暖化ガスの排出を80%減らす」との目標を、経産省は「日本企業等が国外で減らした分も算入すべきだ」としているのに対し、環境省は「国内だけで実現すべきだ」と主張している点だ。

もう1つは達成の手段。環境省は、企業等に排出枠を割り当てて過不足分を売買する排出量取引や、化石燃料に課税する炭素税の導入を訴えるが、経産省は「十分な効果が見込めず、必要ない」との立場だ。『地球環境産業技術研究機構(RITE)』の秋元圭吾主席研究員は、「両省の報告書は方向性が全く違う。内容を擦り合わせるのは難しい」と指摘する。本来ならば両省が同じ場で検討を進めるべきだったようにも見えるが、其々の道を突き進んだ。そして、今回始まったエネルギー情勢懇談会で、経産省には2050年戦略に関する報告書が2つ存在することになる。公表済みのものは産業技術環境局が主導して纏めた報告書で、最近議論が始まった懇談会は資源エネルギー庁が事務局を務める。同庁は「エネルギーの観点から2050年の戦略を考える」と説明するが、産技局の報告書との関係は明確ではない。今のところ、経産省と環境省が共通の方向性を明記した報告書を作ろうとする動きは無い。エネルギー情勢懇談会が報告書を纏めるのは今年度末。政府全体の立場を決める議論が始まるのは、早くても来年度になりそうだ。その議論が纏まるタイミングについて、「日本が議長を務める2019年の20ヵ国・地域(G20)首脳会議前に発表する」(有識者)との見方が多い。日本の中長期的な温暖化対策の議論は、他国と比べて大きく遅れ、纏まりも無い。嘗て、京都議定書を纏め上げた環境先進国の名声は失われつつある。 (竹内康雄)


⦿日本経済新聞電子版 2017年9月5日付掲載⦿
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