【ビジネスとしての自衛隊】(14) 徹底解説! 防衛企業の得意ワザ

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防衛省が発表した2015年度の装備品の契約実績を見ると、上位には日本を代表する大企業がずらりと並んでいる。富国強兵を始めた明治時代に創業し、日本の国防を担ってきた企業が少なくない。ここでは、特に上位の企業を取り上げ、防衛産業にどのように関わっているかを見てみよう。2015年度の契約実績トップは『川崎重工業』だ。同年度の契約実績額の約15%を占める。年度によって潜水艦や航空機等、大型で高額な装備品の受注状況次第で、『三菱重工業』とトップが入れ替わることもある。同社で装備品に関わるのは、航空輸送システム部門と一般海洋事業部門。前者は、今年4月に航空自衛隊に配備された『C-2輸送機』等航空機を製造する。対潜哨戒機『P-1』と共に、国内で開発・生産を行っている。また、多くのファンがいる航空自衛隊のアクロバット飛行チーム『ブルーインパルス』が使用する『T-4中等練習機』の製造元も同社だ。後者の代表装備は潜水艦だ。潜水艦は神戸市の事業所で製造される。現在、国内で潜水艦は川崎重工業と三菱重工業の2社だけが建造している。日本の防衛民間転用や装備品の輸出に積極的になるべきとの機運が高まる中、川崎重工業はその先に立っていた。それは、C-2とP-1の開発・製造についてだ。両機種は同時に開発を進めることで部品の共通化を図り、開発期間の短編とコスト低減を目指していた。また、共に民間転用も進めることで、更なるコスト低減と需要先の拡大を狙っていた。防衛省が将来的に30機を導入する計画のC-2は、機内を改装することで民間機として活用できるようにして、輸出を始め、民間転用を強く念頭に置いていた。

しかし、大きな壁が立ち塞がった。民間機に必要な型式証明や耐空証明の取得問題だった。取得には数百億円かかり、また、それまでの開発トラブルにおけるコスト増を考えると、「民間で販売できるほどの価格にはならない」と予想され、計画は頓挫してしまった。更に、『エアバス』の『A400M』、『エンブラエル』の『KC-390』等ライバル機と比べて、魅力が乏しかったこともある。日本政府も武器輸出解禁(2014年)等環境作りを推し進めたが、莫大なコスト負担という現実に、川崎重工業は民間転用を断念したようだ。防衛産業といえば、先ず三菱重工業の名前が挙がるのではないだろうか。太平洋戦争で活躍した『零戦』等の戦闘機、長崎造船所で造られた戦艦『武蔵』等、歴史に残る装備品を製造してきたのが同社だ。防衛宇宙事業の売上高は約4000億円で、同社全体の売上高4兆円超の10分の1を占める。防衛省向けは約2000億円。現在では、航空自衛隊の次期主力戦闘機『F-35A』の生産業務委託を受けている。更に、日本初の国産ステルス戦闘機として話題になり、昨年初飛行を成功させた先進技術実証機『FX-S』の開発にも携わっている。川崎重工業と同じように、潜水艦の建造も行っている。北朝鮮情勢が緊迫する中、日本のミサイル防衛(BMD)システムへの関心が高まっているが、BMDの主役となるイージス艦を日本で初めて建造したのが三菱重工業だ。1991年にアメリカとの協力でイージス艦『こんごう』を、2005年には第2世代となる同『あたご』を建造した。また、艦船発射型弾道弾迎撃ミサイル(SM-3)も、『レイセオン』との共同開発・生産を進めている。神奈川県相模原市にある汎用機・特車事業本部では、陸上自衛隊で最新戦車の『10式』を製造する。1929年に戦車の開発を始め、太平洋戦争中に4650両を製造した。戦後も『61式』・『74式』・『90式』を製造している。なお、戦車の砲部は『日本製鋼所』が、発煙弾等の発射装置は『豊和工業』が手掛けている。日本製鋼所は戦艦『大和』の艦砲も製造、現在でも砲部の製造では実績のある企業だ。契約実績3位は、総合重機大手の『IHI』。航空・宇宙・防衛事業の売り上げは約5000億円(2015年)。全体の売上高約1.5兆円の3分の1を占める。IHIの強みは、航空機のエンジンの開発・製造だ。FX-SのエンジンもIHIが製造したものだ。IHIは1945年、日本初のジェット戦闘機『橘花』に搭載された『ネ20』を製造。『ボーイング』やエアバス等の民間航空機向けのエンジン部材を手掛けると共に、防衛省に航空エンジンの完成品を納入してきた。防衛省向けエンジンの主力工場は東京都西部の瑞穂町にある。実際に、自衛隊が保有する航空機のエンジンの多くがIHI製と言っても過言ではない。輸入を除いたエンジン生産では三菱重工業・川崎重工業と競い合うが、IHIのシェアが抜きん出ている。主力戦闘機の『F-15』・『F-2戦闘機』・T-4・P-1等にも同社のエンジンが採用される等、特に固定翼機ではほぼ独占状態だ。

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次期主力戦闘機であるF-35Aでも、エンジンに使われる部品の国産化はIHIが担うことになっている。今後は、究極のハイテク品と言われる戦闘機用エンジンの研究開発にも力を入れていくという。実戦の形が多様化する中、防衛面でもIT化・ハイテク化が進んでいる。ミサイル攻撃の重要性が高まり、レーダーや通信等、個別の装備を1つのシステムとして構築・統合してこそ、戦闘が可能な時代になりつつある。その点で、4位・5位につけた『三菱電機』と『NEC』が担う事業が重要となってくる。三菱電機は元々、旧三菱造船所(※現在の三菱重工業)から1921年に分離独立した会社だ。防衛装備では、『99式空対空誘導弾』・『03式中距離地対空誘導弾』・『シースパロー』等、ミサイルの製造が主力。同時に、イージス艦等新型護衛艦用のレーダーシステムの研究等、ソフトな装備品を手掛ける。戦闘自体がミサイル中心のものになっている現在、同社関連の防衛装備は益々重要になってくる。1899年設立のNECは、パソコンや携帯電話等で一般にもよく知られている。だが同社には、旧日本陸軍の無線や通信設備を手掛けていた歴史がある。現在では、自動警戒管制システム・衛星通信装置・地上マイクロ電装システムという通信分野での貢献が大きい。本来定評のある民生用の通信・ネットワーク技術を、軍事用にも応用している。経営危機に直面する『東芝』は誘導弾等を製造。空母のような甲板を持つ『ひゅうが』や『いずも』等、へリコプター搭載型護衛艦を建造する『ジャパンマリンユナイテッド』等も、防衛産業のメインプレーヤーだ。 (本誌 福田恵介)


キャプチャ  2017年5月13日号掲載

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