【劇場漫才師の流儀】(05) 吉本の劇場における“トリ”の役割とは?

僕らは今、劇場だといつもトリで出演させてもらっているんですが、近い将来、『なんばグランド花月(NGK・約850席)』でトリを取れる後輩漫才師は誰だろうと聞かれると、『博多華丸・大吉』・『中川家』・『ブラックマヨネーズ』辺りでしょうか。『キングコング』や『チュートリアル』も上手いですけど、トリの漫才とはちょっと違うんですね。昔ね、いとこい先生(※夢路いとし・喜味こいし)に「トリって、どういう人間が取るべきですか?」と聞いたら、たった一言、「お客さんが『これで最後の漫才だ』と思える漫才師がトリを取るべきやね」と。これには色んな意味が含まれていると思うんですよ。知名度も人気も大事ですし、老若男女に受け入れられる人でないといけない。お客さんも、若手がトリで出てきたら「大丈夫かな~」って心配になるでしょ? それって、お客さんを引かすことになる。その点、華丸・大吉は上手いし、子供からお爺ちゃん・お婆ちゃんまで幅広い層にウケる。中川家も漫才歴20年以上とあって、安定感も抜群。だから、「もっと色んなネタを見せていってほしい」と思っているんです。ブラマヨも実力は誰もが認めるところなんやから、忙しいと思いますが、もう少し漫才に比重を置いてほしいですね。落語の寄席なんかは、前で演じる噺家さんたちは、トリが演じ易い雰囲気を作ることに心を配るといいます。

その意味では、好きにできるのはトリだけと言えるかもしれませんが、トリは前の演者のネタをちゃんと聞いておいて、ネタがかぶらないようにするというのも仕事なんです。また、NGKの公演は、前半が色もの漫才で、後半が新喜劇というパターンが殆ど。つまり、漫才のトリは新喜劇に繋げる役割も担っているんです。漫才のトリがウケないと、新喜劇に影響してしまう。お客さんを起こさなアカン訳です。“起こす”いうのは、「楽しいな~」「おもろいな~」っていう雰囲気を作って、「新喜劇の芝居も楽しみやな」という気持ちにさせなアカンということです。だから、僕らも舞台袖からその日のお客さんの様子を見ます。「今日は子供さんが多いな」と思ったら、子供さんが喜びそうなネタのほうにハンドルを切ったりします。NGKでも、年に何回か、何でか知らんけど、お客さんが重~い日があるんです。ついこの前もあってね、前に出る芸人さんも皆、困ってはって。「よっしゃ! ここは一発笑わしたろかえ!」と気合いを入れて出て行ったんですが、久々に僕らもすべりました(笑)。でも、すべったままトリが舞台を降りる訳にはいかないので、最後にちょっとネタから脱線をしまして、邪道とまではいきませんが、絶対ウケるボットン便所に携帯電話を落とした実話ネタで、何とかお客さんを起こして舞台を降りました。色々とトリにはトリの苦労があるんです。


オール巨人(おーる・きょじん) 漫才コンビ『オール阪神・巨人』のボケ担当。1951年、大阪府生まれ。大阪商業高校卒業後、1974年7月に『吉本新喜劇』の岡八朗に弟子入り。翌1975年4月に素人演芸番組の常連だったオール阪神とコンビを結成。正統派漫才師として不動の地位を保つ。著書に『師弟 吉本新喜劇・岡八朗師匠と歩んだ31年』・『さいなら!C型肝炎 漫才師として舞台に立ちながら、治療に挑んだ500日の記録』(共にワニブックス)。


キャプチャ  2017年9月18日号掲載
スポンサーサイト

テーマ : お笑い芸人
ジャンル : お笑い

轮廓

George Clooney

Author:George Clooney

最新文章
档案
分类
计数器
排名

FC2Blog Ranking

广告
搜索
RSS链接
链接
QR码
QR