【平成の天皇・象徴の歩み】(12) 障害者支援の輪、広げる

20170912 01
『天皇皇后両陛下 障害者にお心を寄せて』――。政府インターネットテレビで先月26日から放送が始まった番組名だ。1959年のご結婚以来、心身障害児を受け入れている施設への訪問を始めとして、障害者に寄り添われてきた両陛下の半世紀を、約50分の映像で辿ることができる。「重症心身障害児を持つ親たちの苦労は、今日からは計り知れないものがあったと思います」。天皇陛下が2004年6月、創立40周年を迎えた『全国重症心身障害児(者)を守る会』の記念大会で挨拶される姿も、番組は紹介している。この時、壇上で陛下のお言葉を聞いていた同会の会長・北浦雅子さん(96)の胸には、自身の苦難の歩みが去来した。終戦の翌年に生まれた次男は、生後7ヵ月の時に脳炎を患い、右半身麻痺等の重い障害を抱えた。「国は当時、『社会の役に立たない子にお金をかける必要はない』という姿勢だった」。北浦さんは我が子を腕に抱き、「自分が死ぬ時は子供も一緒だ」と悲壮な覚悟を決めた。同じ立場の親たちと当時の厚生省や大蔵省を回り、政治家に働きかけ、1964年6月、会の設立にこぎ着けた。

国民の憧れの的となった皇太子ご夫妻が、重症心身障害児の施設を訪れ、子供たちと交流される姿は、障害児の親たちの心の支えになった。会の活動により、『国立療養所』に重症児の病棟が設けられ、療育施設も拡大していった。「この大会に、重い心身障害の人たちが親の愛に支えられて参加していることを、嬉しく思います」。記念大会で陛下のお気持ちに触れ、北浦さんは長年の苦労が報われる気がした。「障害者や高齢者、災害を受けた人々、社会や人々の為に尽くしている人々に心を寄せていくことは、私どもの大切な務め」。即位10年を迎えた1999年の記者会見で、陛下は自身の考えをそう明かされた。宮内庁によると、両陛下がご結婚後に視察された福祉施設は、全国で延べ500ヵ所を超える。即位後は、こどもの日・敬老の日、毎年12月の障害者週間の前後に、関連施設を視察されてきた。子供と高齢者の施設訪問は、2015年から皇太子・秋篠宮両ご夫妻に引き継いだが、障害者の施設訪問は今も続けられている。昨年春の園遊会。招待客の1人で、聾者劇団を支援している女優の黒柳徹子さんが、手話の普及に一役買われた陛下に謝意を伝える場面があった。両陛下は1979年、黒柳さんがアメリカから招いた聾者劇団『デフシアター』の公演を観劇された。これをきっかけに、手話の表現力が注目を集め、日本で聾者劇団を設立する機運が高まった。「日本中で手話をやることが恥ずかしくなくなり、とてもありがたかったです」という黒柳さんに、陛下は「そうでしたか」と笑顔で応えられた。皇后さま自身も、聴覚障害者と手話で会話されることがある。秋篠宮妃紀子さまや長女の眞子さま、次女の佳子さまも手話を習得し、『全国高校生手話パフォーマンス甲子園』といった行事に毎年出席されている。天皇ご一家の中でも、聾者支援の輪が広がっている。


⦿読売新聞 2017年6月28日付掲載⦿
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