【ドクターXは知っている】(12) 抗鬱剤の主流『SSRI』の効果は小麦粉と大差無し!?

20170912 02
厚生労働省が2015年12月に発表した『平成26年患者調査』によると、鬱病等の気分障害で医療機関を受診している総患者数は111万6000人。気分障害の調査が始まった1996年が43.4万人なので、約20年間で2.6倍という急激な増加となっています。受診患者増の背景には、精神科よりも受診に心理的抵抗感の少ない心療内科が、厚労省により標榜科(※外部に広告できる診療科)として認められたことや、製薬業界主導による“うつは心の風邪”をキャッチコピーにした鬱病啓発キャンペーンがあるようです。未だ受診はしていなくても、気が滅入っていて「抗鬱薬を処方してもらいたい」と考えている人も多いことでしょう。国内の大学病院で唯一、“薬に頼らない精神科”を謳う濁協医科大学越谷病院こころの診療科で診療部長を務める精神科医の井原裕先生は、「『自分は鬱病かもしれない』と疑った時、病院に行って薬を貰うよりも、先にすべきことがある」と指摘します。「鬱に関わる生活習慣は3つしかありません。睡眠不足・運動不足・酒の飲み過ぎです。この3つを改善すれば、憂鬱な気分や不安感は軽減や解消に向かいます。1日7時間、連日が無理なら週に50時間の睡眠を取り、1日7000歩、週に5万歩は歩き、酒は一旦止める。それを2~3ヵ月続けてみて、改善されないのであれば、次善の策として医者にかかるのもいいでしょう。悩み事があって憂鬱だとしても、それを以て病気とは言えません。例えば、職場でストレスを感じるのは当たり前ですし、ストレスを感じて憂鬱になるのは正常な反応です。自分が病気だと思い込まずに、先ずは生活を立て直すべきなのです」。また、「医師が鬱症状を訴える患者にすべきことも、第一には生活習慣の指導だ」と井原先生は考えています。

「慌てて最初から薬を処方するには及びません。抑々、海外の複数の論文で、『抗鬱薬は好意的に見ても2割の患者さんにしか効かない』という結果が出ています。つまり、8割の患者さんにとっては無意味なのです。ところが、多くの精神科医は『2割もの人に意味があるのなら出すべきだ』と考えて、薬を処方している」。更に井原先生は、現在、鬱病治療の第一選択薬として最も多く使われている『SSRI(選択的セロトニン再取り込み阻害薬)や『SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)』にしても、「巷間で言われるほど効くものではない」と言います。「私は、抗鬱薬を出す場合は、SSRIやSNRIではなく、四環系抗鬱薬のミルタザピンを使うことが多いです。でも、これも食欲増進等の副作用があるので、若い方が長く使うと太ってしまうという弊害はあるのですが…」。日本では2000年に保険薬となり、現在に至るまで代表的な抗鬱薬として使われているSSRIの1つであるパロキセチンについては、欧米で副作用が社会問題化しています。しかし、日本の医師の間では殆ど話題になりません。このことに憂慮するのは、新潟大学医学部名誉教授で医療統計学を専門とする岡田正彦先生です。「海外では、パロキセチンを服用した青少年を中心とする患者の自殺や殺傷事件が頻発し、訴訟も数多く起こされています。その過程で、『製薬会社が早い段階で重篤な副作用があることを掴んでいた』という証拠が出てきました。様々なデータの捏造も明らかになり、この薬とプラセボ(偽薬)とを比較したデータも見つかっています。結果は驚くことに、プラセボで症状が改善した患者のほうが多かった。製薬会社は、効果の認められない薬を売っていたということになります」。SSRIとプラセボを比較したメタ解析論文が、2008年(※イギリスのハル大学)と2010年(※アメリカのペンシルバニア大学)に発表されています。これらは『アメリカ食品医薬品局(FDA)』に眠っていた治験データを、未公開記録も含めて分析し直したもので、結果は、軽症及び中等症の鬱病では、SSRIとプラセボの有効性において有意差は認められず、最重症でのみ有意差が示されました。つまり、鬱病患者の大半を占める軽症~中程度の鬱病では、SSRIの効果は小麦粉(=偽薬の材料)と大差ないということになります。副作用を過剰に恐れる必要はありませんが、「鬱病の8割に薬は無意味」「偽薬程度の効果しかない可能性もある」という事実は知っておくべきでしょう。 (取材・文/フリーライター 浅羽晃)


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