【教科書に載らない経済と犯罪の危ない話】(56) タイの国境近くに実在する偽札を“洗う”ゲストハウス

ラオスとタイの国境線は、メコン川の真ん中にある。狭いところでは川幅が100mほどしかない。両岸には小さな船着き場が数多くあり、渡し船による交易も盛んだ。近隣住民は船による日常的な越境を認められているが、外国人観光客は遊覧のみで、国境を跨いだ上陸はできない。旅行者がこの辺りの国境を越えるには、陸路でメコン川に架かる友好橋を渡るしかない。そこで便利なのが、国境を渡るインターナショナルバスである。バッグに大量の偽100ドル札(スーパーノート)を詰め込んだり2人も、無事にラオスの出国審査を終え、タイの入国審査へ向かった。タイ側の入国審査も簡単に終わり、先回りしていたバスに乗り込む。そして、メコン川に架かる友好橋を渡れば、そこはタイのノンカイという街だ。ここノンカイは長閑な街だが、リタイアした欧米人が多く移住している。海外からの旅行者にも人気の場所で、綺麗に整備されたメコン川沿いの遊歩道には、酒落たレストランやバーも多い。スーパーノートをバッグに詰め込んだ2人の男たちは、メコン川の畔にある広大な敷地のゲストハウスに入った。筆者も少し遅れて入ったが、欧米人の観光客に交じり、東洋人も何人かいた。このゲストハウスの経営者は、現地女性と結婚したアメリカ人だが、嘘か本当か、シ力ゴ系のマフィアだと言われている。2人の男はチェックインを済ませると、コテージ風の独立した部屋へ入って行く。その後から、インド系・アラブ系・マレー系の男たち数人も同じ部屋へ入っていった。筆者は少し離れたオープンレストランで、その様子を見ていた。その部屋で何が行われているのかは、2人組の男から聞いていた。

ラオスから持ち込まれたスーパーノートを、東南アジア各国から集まったマネーチェンジャー(両替商)に分配しているのだ。彼らは月に2回、ここに集合してスーパーノートを受け取り、タイ、マレーシア、シンガポールで他国の通貨に交換する。こうして偽100ドル札を市場に吸収させるのが目的だ。集まった各国の通貨は当然、真正なものだから、纏めて銀行へ入金し、指定の口座へドル建て送金する。東南アジアの至る所で見かけるマネーチェンジャーだが、ドルに交換する時には十分注意しよう。手数料は高めだが、ドルを求める時には銀行のほうがいいだろう。東南アジアでは銀行すら信用できないが…。2人の男からスーパーノートのロンダリングを教えてもらったのは、ラオスのヴァンビエンにあるレストランだった。金正男と初めて出会った店だ。この時は、シンガポールの知人からドルの両替を相談されたのがきっかけだった。レートが安い上にボリュームもあったから、興味を持ったのだ。ところが、ヴァンビエンで紹介された2人の男は北朝鮮の工作員。おまけに、ドルは1992年に発行されたナンバーのものである。1992年に発行された100ドル紙幣は、北朝鮮で偽造されたスーパーノートか、アメリカ政府が無効にしたものかだ。手を出したら、とんでもない目に遭うだろう。この時、筆者はイギリスと日本から国際指名手配されていた身だった。筆者は丁重に彼らの申し出を断った。それでも、興味をそそられたので詳しく話を聞き、図々しくもノンカイにまでついて行ったのである。北朝鮮は、偽造したドルを本物のドルに替えることに必死だ。何故なら、ドルでなければミサイルの部品も武器弾薬も売ってもらえないからだ。何より、最も重要な戦略物資である石油は、ドルでなければ買うことができないからである。 (http://twitter.com/nekokumicho


キャプチャ  2017年9月12日号掲載
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テーマ : 国際問題
ジャンル : 政治・経済

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