【アメリカ企業・トランプに反旗】(中) ユダヤ系、沈黙破り非難

20170913 05
“ネオナチ”等、特定の民族や人種への差別を煽るヘイト集団の台頭に、アメリカのユダヤ系の経営者らが神経を尖らせている。ユダヤ系の人たちに危害が及びかねないからだ。明確にネオナチを批判しなかったドナルド・トランプ大統領への不信感も高まっている。最高経営責任者(CEO)による大統領への反乱は、ユダヤ系にも広がっている。「アメリカが決定的な転換点を迎えている」――。人種問題を巡るトランプ発言に批判が集まる中、『スターバックス』のハワード・シュルツ会長は今月16日、社員向けの会合でこう語りかけた。ユダヤ人のシュルツ会長にとって、バージニア州で行われた白人至上主義者のデモを報道したテレビ映像は衝撃的だった。ネオナチや『クークラックスクラン(KKK)』のメンバーが、カメラの前でも顔を隠さずに堂々としていたからだ。トランプ政権の発足と軌を一にするように、反ユダヤの事件が急増している。アメリカのユダヤ人団体『名誉毀損防止同盟(ADL)』によると、今年1~3月期に発生した反ユダヤの事件数は541件と、前年同期に比べ86%増となった。「昨年の大統領選挙が(事件の)増加に重要な役割を果たしている」(ADL)。選挙戦でトランプ氏は“白人対マイノリティー(少数派)”の対決構図を掲げ、白人から大きな支持を受け、当選した。トランプ大統領は、政権に就いた後も排斥的な移民政策に意欲的で、白人至上主義者等の反ユダヤ感情の拡大を招いている。ユダヤ系アメリカ人は約600万人とされ、全体の人口に占める割合は2%程度に過ぎない。しかし、金融を中心に経済界でユダヤ系は強いネットワーク基盤を持ち、政財界への影響力は強い。

トランプ大統領の助言機関だった『戦略・政策評議会』でも、16人のメンバーの内、投資会社『ブラックストーングループ』のスティーブン・シュワルツマンCEOら4人がユダヤ系だった。助言機関の4分の1を占める一大勢力で、トランプ大統領の有力ブレーン集団でもあった。ユダヤ系CEOも当初は、ビジネス強化を掲げるトランプ大統領と協力関係を築いた。しかし、反ユダヤの事件が増加する中、ネオナチを容認するかのようなトランプ大統領の発言は、ユダヤ系CEOの許容範囲を超えていた。「偏見や人種差別主義は、一点の曇りも無く批判されなければならない」。投資会社『ブラックロック』のCEOでユダヤ系のラリー・フィンク氏はこう述べ、助言機関からの辞任を早々に決めた。他のメンバーにも辞任を働きかけたという。今月18日には、著名投資家のカール・アイカーン氏が、トランプ大統領の規制緩和の特別顧問からの辞任を表明した。選挙戦序盤からトランプ氏を支持してきたユダヤ系大物投資家も、トランプ大統領との関係を再考している。今後、ユダヤ系CEOで動きが注目されるのが、“カジノ王”の異名を持つ『ラスベガスサンズ』のシェルドン・アデルソンCEOだ。日本では、『ソフトバンクグループ』の孫正義社長とトランプ大統領との会談をお膳立てした人物として知られる。多額の献金をした為、トランプ当選の立役者と見做されているが、反ユダヤに対抗する運動に熱心な慈善家としての顔も持つ。アデルソンCEOがスポンサーを務めるロビー団体『共和党ユダヤ人連合(RJC)』は今月16日、「反ユダヤと人種差別を拒否する澄み切った道徳を持ってもらうべく、トランプ大統領に働きかける」との声明を発表した。アデルソンCEOはRJCを通じて、ネオナチやKKKを拒否する政治運動を展開するとみられる。「KKKがトーチ(松明)を掲げて行進する様子は、ナチスを思い起こさせる」(アメリカのユダヤ人人権団体『サイモンウィーゼンタールセンター』)。人種差別主義者が公然と行進し、最高権力者が明確に批判しない状況は、苦難の歴史をユダヤ系の人々に思い出させるのに十分なのだろう。ユダヤ系CEOは声を上げ始めた。RJC取締役のフレッド・ゼイドマン氏は、アメリカの政治情報サイト『ポリティコ』にこう語った。「沈黙を続けると何が起こり得るのか、我々は知っている」


⦿日経産業新聞 2017年8月24日付掲載⦿
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