【混迷ホワイトハウス】(02) 「辞任する義務がある」

20170914 02
「他に誰かいたか?」――。先月30日、ミズーリ州。大統領のドナルド・トランプ(71)は、税制改革に関する演説で、『国家経済会議(NEC)』委員長のゲイリー・コーン(57)を冷遇するかのような態度を取った。商務長官のウィルバー・ロス(79)らの名を挙げて謝意を示したのに、経済政策の司令塔であるコーンには、同席していた主要政権幹部の中で唯一触れなかった。ユダヤ系アメリカ人のコーン。バージニア州での白人至上主義者と反対派の衝突事件を巡るトランプのネオナチ擁護とも取れる発言を批判していた。身の処し方を妻や親友に相談し、辞表の下書きまで準備した。トランプとは、進退について何度も膝詰めで話し合った。辞任を思い留まったのは、「国民を代表して仕事をする義務があるからだ」。ニューヨーク郊外のレストランでは、友人に大統領への不満を爆発させ、確執は誰もが知るところとなった。有力候補だった『連邦準備理事会(FRB)』次期議長の座は流動的になってきた。

財務長官のスティーブン・ムニューシン(54)も同じユダヤ系だ。イェール大学の同級生約350人から、公開書簡で「道徳的に辞任する義務がある」と糾弾された。「ユダヤ人への暴力や憎悪の長い歴史は理解している」と釈明したが、現役閣僚が辞めない理由を公に説明しなければならないのは異常な事態だ。「私は自由・平等というアメリカの価値観に基づき、発言する」。先月27日、国務長官のレックス・ティラーソン(65)は、テレビ番組のインタビューで強調した。「では大統領は?」と尋ねられると、「大統領は自分の意見だ」と切り捨てた。驚いた司会者は言葉に詰まり、聞き返した。「つまり、貴男と大統領は違うということですか?」。政権幹部のトランプへの困惑が深くなっている。意見が合わない高官が次々と更迭され、忠誠を誓う軍人か執事タイプが重用される。身内も介入する。「聞いて、酷いの」。長女のイバンカ(35)が、化学兵器で傷付いたシリアの子供の悲惨さを訴えると、巡航ミサイル発射を命じた。「どれだけ多くの出鱈目を潰してきたか、君たちは知らないだろ?」。ホワイトハウスに残る高官は漏らす。中国との貿易戦争、移民の大量国外追放、国境の壁建設。無茶な政策やアイデアを抑えるだけでも存在意義がある――。高官は、自分にそう言い聞かせている。 《敬称略》


⦿日本経済新聞 2017年9月6日付掲載⦿
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