【文在寅研究・政権100日】(上) 日韓合意対応、板挟み

韓国の文在寅大統領が今日、5月10日の就任から100日を迎える。80%前後の高支持率に支えられるものの、北朝鮮との対話を始め、持論の政策は行き詰まっている。文政権の外交と内政運営を検証する。初回は、先行き不透明な対日外交を取り上げる。

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「私が納得いくまで説明してほしい」――。文大統領は就任後、引き継ぎ期間で留任していた尹炳世外務大臣(※当時)を呼び、長時間に亘って慰安婦問題を巡る2015年の日韓合意の説明を求めた。尹前外相は、朴槿恵前政権下で合意を結んだ当事者だった。5月の大統領選前、慰安婦問題の“最終的且つ不可逆的な解決”を謳った日韓合意について、文氏は再交渉を要求する立場を貫いた。合意の“再交渉”は、大統領選の公約にも盛り込まれた。尹前外相への聞き取りは、文政権として慰安婦問題をどう扱うか方針を定める目的だったとみられる。10年以上の国連勤務を経て、6月に韓国初の女性外相に就任した康京和氏も、慰安婦問題に強い拘りを持つ。韓国紙のインタビューで、国連で人権問題に関わるようになった契機を、「慰安婦問題を巡る国際会議に出席したこと」と答えた。康外相は就任時、合意の再交渉が「選択肢の1つ」と答えた。ところが、文氏は就任後、公の場で再交渉には言及しなくなった。「韓国国民の大多数が、合意を感情的に受け入れていない現実がある」。ハンブルクで先月7日に行われた安倍首相との初の直接単独会談では、こう述べるに留め、「未来志向的な関係を構築したい」と日韓関係改善への意欲を見せた。康外相も同様の発言で歩調を合わせている。現実路線を取る背景には、専門家らの助言があった。康外相は先月末、日本に詳しい専門家や元外交官らを呼び、意見を聞いた。

出席者から、「合意の再交渉を持ち出せば、日韓関係は取り返しがつかないほどに悪化する」という意見が続出。日本大使館前の慰安婦を象徴する少女像についても、「先進国になった韓国は国際条約を尊重しないといけない」という声が上がった。康外相は「真剣に耳を傾けていた」という。出席者の1人は、「北朝鮮の挑発が続く中、“日米韓”の枠組みが決定的に重要だという点は、理解してもらったのではないか」と語る。ただ、このまま“再交渉”の公約を棚上げすることは、国内事情が許さない。「外交省は、(元慰安婦の)お婆さんが屈辱的だと言っている財団を解散するかどうか、明らかにしていない」。元慰安婦を支援する市民団体『韓国挺身隊問題対策協議会(挺対協)』の尹美香代表は昨日、日本大使館前の水曜集会で、日韓合意に基づいて元慰安婦を支援する『和解・癒やし財団』を存続させている文政権を批判した。与党の突き上げもある。共に民主党の秋美愛代表は今月12日、ソウル郊外の元慰安婦を支援する民間施設『ナヌムの家』を訪れ、「合意に盛り込まれた“最終的な解決”は日本の謝罪があった時だ」とし、「政府と与党は“再交渉”に向けて努力する」と強調した。文政権は年末まで、合意成立の過程を有識者らによる作業部会で“検証”することで時間を稼ぎ、対日関係の決定的な悪化を避けるつもりのようだ。日韓合意の履行を明言しない“曖昧戦略”だが、いつかは“良好な国際環境か国内支持者か”・“理想か現実か”の二者択一を求められる。“政治家”文在寅は、どちらを選ぶのか? 日本政府関係者は、「文政権に対日関係を改善しようという意欲は感じるが、最終的には“民心”に従って、合意の再交渉を言い出すのではないか?」と懸念する。韓国では、国民世論を“民心”と呼ぶ。毎週末の大規模デモで朴政権を倒し、政権に就いた文大統領は、常に自身の政権を「民心が作った」と自負してきたからだ。“民心”を重視する文大統領は、慰安婦問題に限らず、日本と国内世論の板挟みになる火種を自ら作ってもいる。文政権誕生後、日本植民地時代に朝鮮半島から動員された“徴用工”の補償を求める市民運動も盛んになっている。1965年の日韓請求権協定で、元徴用工に個人請求権が無いことは確認されているにも拘わらず、文大統領は一昨日の光復節演説で、日本政府に対応を求めていく可能性を示唆した。文大統領が現実路線を捨て、慰安婦合意の再交渉と徴用工への補償を日本政府に求めれば、日韓関係の亀裂は決定的になる。


⦿読売新聞 2017年8月17日付掲載⦿
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